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02話 この愛すべき世界

ほぼ説明回。読み流すが吉。え?

 この世界についての話をしよう。


 まず世界を統治する国々の話。

 俺がいるスプレマ国は、この前話したように、この大陸随一の規模を誇る大国だ。この大陸は正式名称を、ユラジン大陸といって、現在ヒトが確認している大陸では最も大きな面積を誇る。

 つまり、スプレマ国は世界一の大国といっても差し支えないということ。

 大陸は現在確認されているだけだと九つ。

 小国レベルの小さな大陸から、ユラジン大陸に比肩する大陸もある。

 国々は争っていたり、友好関係を結んでいる国もある。大陸規模でもこの話はあてはまる。その日暮らしの流浪の身だった俺は、ここら辺の知識は(うとい。すまないな。


 次のこの世界に住む生き物の話。

 まずは俺たち言語を使うほどに知能が発達した生物――ヒト。

 ヒトにはいくつもの種族が存在する。

 ヒューマン・アニマ(獣人)・エルフ・ドワーフ・ピグー(小人族)・マーメイド(魚人族)・アマゾネス(女人族)などが一般的に知られているが、未発見の種族も存在するだろうというのが、どの国にも一致している見解だ。

 世界は広く、未開拓の場所がまだまだ世界にはあふれているから。

 ちなみに俺はヒューマン。特徴をあげろと言われれば、特徴がないこと。それがヒューマン。ヒューマンの俺からしたら、アニマやエルフなどは亜人と呼ぶ。逆にアニマから見たヒューマンも亜人と呼ぶわけだ。

 例外的に……かなりの少数だが、特亜人とよばれる種族も存在する。代表的なのはハイエルフだが、他にもいくらかいる。俺が遭遇したのがこの種族というだけだ。


 で、俺たち人に仇なす存在である魔物。

 これは種類も何もかもがばらばらで、ヒトなんかより、よほど種類が豊富だ。中には人語を介する魔物もいるって話だが、俺は出会ったことがない。

 ヒトを見れば襲ってくる存在――そう考えておけば、魔物に対する見解はおおむね正しい。

 代表的な例でいえばやはりゴブリンやインプだろう。あとは、たまにトロールを未整備の道や森で発見するぐらいだな。


 そして世界各地に建っている・あるいは埋没しているダンジョンという存在。ここには無数のモンスターがあふれていて、主に冒険者稼業を生業とする奴らが、このダンジョンに潜り込む。なんでわざわざ危険をおかしてまで潜るかというと、そこにお宝があるから。

 主には魔石。ダンジョンは外界と比べて、総じて場に漂う魔力素が濃い。だから、魔石が結構な頻度で転がっているんだ。

 魔石はヒトにとって欠かせない存在だ。生活用具などの日常品から、街を構成する城や家などの建築物、夜を照らす街灯などもその多くが魔石製品。さらには武器に至るまで……あらゆるモノに魔石は応用されている。

 つまり魔石がないと、ヒトの生活は成り立たないわけだ。


 俺が愛用していく予定だった水属性の魔石が組み込まれた水筒も、その一つ。

 俺も傭兵だが、ダンジョンには数回潜ったことがある。苛烈なモンスターの襲撃に嫌気がさして、早々に俺は足を洗ったが。チームを組んでいるならまだしも、ソロでやるとなると無理があった。


 魔物の成り立ちに関係するのではと、各国の研究機関が冒険者からダンジョンの欠片を買いとったりしているが、成果がどれほど上がっているかはわかんねえ。門外漢なもんで。


「それに……」


 俺はため息をついた。

 しばらくは、外の空気を吸うことすら出来そうにないからな。。。


 ……ああ、そうだ忘れていた。

 ヒトに発現し得る奇跡の力、アビリティのことについて説明するのを忘れていたな。

 アビリティっていうのは、簡単に言うとヒトが超常現象を扱えるようになることだ。


 ……また忘れていた。超常現象といえば、まずは魔法について説明しないとな。

 魔法は、主にエルフが得意とする技術で、火や風をおこすことができる。エルフは排他的な種族としても知られていて、秘匿している魔法技術もたくさんあるという噂だ。精霊魔法だとか、召喚魔法だとかな。

 属性を限定されるが、ドワーフは土属性を、マーメイド水属性を得意とする傾向にあり、その属性に限ってはそこらのエルフよりも巧みに扱うヒトもたくさんいる。


 アニマやアマゾネスはそれほど得意という話は聞かない。身体能力が高いから、戦闘能力ではエルフなどの魔法を得意とする種族にも全く引けを取らない。


 ヒューマンは……器用貧乏だな。魔法は人によっては扱えて、身体能力も鍛え方によって違う。正直な感想を述べれば、ヒューマンはそういった能力では他種族に後れを取るかもな。

 俺は身に染みるほど、差を感じたことも、苦労や嫉妬をおぼえたこともないけど。


 さて、話を戻してアビリティの話だ。

 これは、すべての種族であるヒトに発現し得る奇跡の力で、その種類は千差万別。戦闘系に特化した能力もあれば、遠くの物音を聞けたりする隠密用に使えそうなアビリティもある。

 魔法と違うのは、詠唱を必要としないことだ。これは魔法と大きく違うところ。特に戦闘にはその効果は絶大だ。アビリティによっては念じただけで、アビリティを行使することが出来る。


 そして、魔法は魔力を消耗するのに対し、アビリティは精神力を消耗する。これは正直、そんなに重要な知識じゃない。魔力も精神力も似たようなものだと考えていい。

 筋肉の種類が、速筋と遅筋に分かれている程度の認識で構わない。

 確かに違うが、それほど意識して使い分けることはないだろう? そういうことさ。


 ……で、だ。俺の発言したアビリティはというと……正直、今のところはさっぱり見当がつかない。

 こういった事例は聞いたことがなかったから、こんな事態になって自分でも想像以上に戸惑っている。アビリティに目覚めたら、自然と自覚するものらしいし、能力がどういったものかまで本能が理解するらしい。

 俺にはそれがなかった。

 

 なぜだ?


 俺をめた商人プルマンは、俺のアビリティの片鱗を見たのだろうが、俺にはその自覚が全くない。

 アビリティ感知機器に手をかざしたら、反応した。

 だから、とりあえず俺にはアビリティが扱える。今のところはそれだけしか分かってない。


 アビリティは特別だ。

 ヒトが生涯で目覚める確率は1%に満たない。もしかしたら0.1%にも満たないかもしれない。

 ちょうどここ、ビジボル闘技場の年生存率と同じくらいだ…………。嫌なこと思い出しちまったじゃねえか。自分語りで後悔してたら世話ねえや。はは、笑えねえ……。


ストレスなく読んで頂けたなら、いいのですが(;^ω^)。

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