六話 エルフ+メイド服=ヤバイ!
「じゃ〜ん。」
「「おぉ〜!」」
住谷さんの声と共にシシルが部屋に入ってくる。瞬間、俺と爺ちゃんの目はシシルの姿に釘付けになる。シシルはなんとメイド服を着ていたのだ。スカートは膝より少し上くらいのフリルが付いたミニスカで、腕や肩、うなじなどの肌の露出が多く、身体のラインがハッキリとでるタイプだ。脚には網タイツを履いており、スカートから除くガーターベルトが細い太ももの肉にムッチリと若干食い込んでいるのがたまらない。そして、片手でスカート、もう片手で胸の部分を抑え、股をムズムズとさせながら恥じらいで顔を赤く染めた姿がなんとも愛らしく、かなりエロい。その姿を見ているだけで俺の息子は…
「っておい!なんでメイド服!?」
「そうだよね。シシルちゃんかわいいよね。」
「いや違うから!言葉のキャッチボールが成立してないから!これ住谷さんの私物だったよな!なんでこんなん持ってんだよ!」
「いやー。研究所の後輩に彼氏が出来たらしくてね。そのお祝いにプレゼントしたんだけど返されちゃってねー。なんでだろうね?」
あんた後輩に何してんだよ!んなもん返されて当然だろうが!なんでだろうね?っじゃねーよ!
「まぁ、それはそれとして。シシルちゃんの姿、かなりグッとこない?」
「そ、そんなわけ…」
いや、あるけどさ!俺も健全な高校生男子なんですよ?グッとくるに決まってんじゃん!破壊力高すぎだろ!だからと言ってそれを本人の目の前で言うのは恥ずかしいじゃん!
「と、というかさ。なんで他にまともな服とか持ってこなかったんですか?」
「…」
…いや、話題変更が無理矢理なのはわかってますよ。だけどさ!それに乗ってくれるっていう優しさは無いの?
「…ないわぁ。」
…ねぇ、それどっちの意味?無理矢理の話題変更?それとも俺の心の声を読んで俺に対する優しさは無いってこと?はははっ。どっちにしても酷すぎんだろ!マジで誰でも良いんで俺に対する優しさをくれぇぇぇぇぇぇ!
「…ま、まぁ、それは冗談として…」
なに、今の間!?それと言葉もなんか拙いし!なにか?そんなに俺をイビるのが楽しいか!
「もちろんまともな服も持ってきているよ。」
………
「…はぁ!?え、なに?じゃあなんでメイド服なんて着せたの?」
「もちろんおもしろそうだったから。」
「…なに?住谷さんは他人を着せ替え人形かなにかと勘違いしてんの?」
あー、なんだろう。この人スッげーイライラするんだけど。なぁ、そろそろマジギレしてもいい?
「ちょ!?涼くん、顔が怖いって!ほ、ほら。人間、笑顔は忘れちゃいけないと思うんだよ。そ、それにさ、涼くんも満更でもなかったでしょ?」
「!?…べ、別に…。」
…なんだろう。イライラが一気に罪悪感に変わっていくんだが…。
「それじゃあ私はシシルちゃんの着替えを手伝ってくるねー。」
住谷さんは再びシシルの手を引いて部屋を出ていってしまった。
「…」
それはそうと、さっきまで喋ってなかったから爺ちゃんの存在を忘れてた。なんか固まったままボーッとしてるんだが…。
「おーい、爺ちゃーん。戻ってこーい。」
「…は!?ま、まさかエルフのメイド服姿を見れるとは…。」
…あ、そっちね。シシル本人じゃなくてエルフに固執してたんだ…。
それから十分。こんどは普通の服装をしたシシルが部屋の中に入ってくる。と言っても、今度は普通すぎる気が…。…だって、なんの飾りっけのない白いワンピースだぞ?いやまぁ、かわいいと言えばかわいいんだけどさぁ。ほら、なんかあるじゃん。こう、キラキラした感じとか。…え?曖昧?…まぁ、気にすんな。
「よし。それじゃあ始めるかの。」
「ん?爺ちゃん、なにかすんの?」
「もちろん!名付けて第一回、異世界人に質問!のコーナー!」
…え?なにそのウェブラジオ的な喋り方。てか第一回って第二回、三回があんのか?
…というわけで、俺達はシシルに何気ない質問をしていくのであった。