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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
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僕らのダンジョン探索録 21(終)

 ダンジョンから脱出して、地上に戻ってきた。

 隣にちゃんとヘーテルがいることを確認してから街へとファストトラベルすれば、視界が一瞬暗転して街へと……たどり着かなかった。


 俺たちが現れたのは草原地帯で、正面、それなりに離れた場所にプレイヤーが3人ほどいて俺たちを見て驚いた顔をして、それからこっちにこいと手招きしている。


「試し射ちにちょうどいいわね」


「えっ?」


 それを見たヘーテルが何を思ったかダンジョンで手にいれたばかりの魔法弓を構え、三度魔法の矢を放った。

 確かにこの状況ならPKを疑うだろうが、決めつけるのは早くないか?


 そう思うのも束の間、ヘーテルが放った矢がプレイヤー前方へと突き刺さり、瞬間地面が爆ぜた。


「あんなバレバレの罠に引っ掛かると思ってるのかしらね」


「あー、罠が見えていたのな」


 それなら、PKだと断定するのもおかしくはないか。

 爆発により舞い上がった土煙を見ながら納得する。

 そして、相手の姿も分からぬままにヘーテルは再び弓を構え素早く土煙の向こうへと何度も矢を放つ。

 その連射速度はかなり速く、それはいちいち矢をつがえなくてもいいというのもあるのだろうが、半分以上はヘーテルの技量によるものだろう。

 俺は地面をほじくりながらそれを見て、大したものだなと思った。


「んー、違うわね。これはこれで間違ってはいないと思うけど……」


 だがヘーテル的には気に入らないようで、眉を寄せながらそんなことを呟いて連射をやめてしまう。

 てっきり向こうのプレイヤーを牽制するためだと思っていたのだが違うのか?


「……あ、もしかして……こう?」


 そういってヘーテルは弓を手のひらが下を向くようにして構えて弦を引く。

 すると青白く輝く魔法の矢が同時に5本現れた。

 そしてその5本の矢は放たれると、綺麗に5方向に分かれて飛んでいった。


「ぐえっ!?」


「くそっ!?」


 どうやらヘーテルの攻撃が止んだとみて近づいてきていたようで、土煙の向こうからそんな声が聞こえてきた。

 それからほどなくして土煙の中から二人のプレイヤーが飛び出してきた。

 どっちも男でその表情から察するに作戦が尽く失敗して大層お怒りのようだ。

 だが、だからといって諦めた様子もなく確かな自信があることを感じさせる雰囲気だ。


 それを見てヘーテルに後ろに下がってもらい、俺も彼女を庇うようにしながら下がって距離を取ろうとする。

 下がりながらもヘーテルが牽制に矢を放つが、しっかり見えている状況であればそれを避けることぐらいはわけないようで、どんどん距離を詰めてくる。


 いやーほんとナイスアシストだな。


「がぁ!?」


「うっ!?」


 矢を避けて駆けていた男たちが先ほどまで俺がいた場所まで来たところで突如地面が爆発し、男たちを吹き飛ばす。

 何が起きたかといえば話は単純で、先ほどあいつらの仕掛けた地雷が爆発して土煙で視界が遮られた時に、俺も地雷を仕掛けておいたのだ。

 まあ、地雷とはいっても本来は投げて使うためのものであったが、起爆に必要なのは一定の衝撃であって投げることではないので、地雷の代わりにもできるのだ。

 ソロでダンジョン挑んでたとき、逃げ切るのに何度もお世話になっていました。


 で、そんな簡易地雷だがヘーテルの誘導もあって見事引っ掛かってくれた。

 彼女も俺が仕込んでいる姿は見ていたから、打ち合わせはなくてもそれぐらいのフォローはしてくれる。


 だが、吹き飛んだ男たちはよろよろと立ち上がり始めた。

 簡易地雷は元々は投擲アイテムで威力自体は低いからな。


「く、くそ……!」


「ふざけやがって!」


 だが、立ち上がった男たちは悔しげに言葉を吐きながらもその場から動こうとしない。

 というよりも動けないのだろう。

 威力が低いとはいえ爆発によるダメージはかなり大きい。

 そしてこのゲームにおいてはダメージは『重さ』として反映されるようになっている。


 つまり、今彼らは岩がのし掛かっているかのように体が重くなっているのだ。

 これは一度に受けたダメージが大きいほどに重くなるので、今の彼らはさぞ辛かろう。


 その後、結局男たちは動けぬままにヘーテルに射ぬかれて、重みから解放されたのだった。

 後一人、土煙の先で射抜かれたプレイヤーがいたはずだが、どうやら運悪く急所を射抜かれていたようで装備だけ散らばっていた。

 そうして、三人の男たちが持っていた装備を確認してみたがどれもさして価値のあるものではなかったので、そのまま放置して今度こそ街へと帰還した。






「あーなるほどな」


「ん、どうしたの?」


 町にたどり着き酒場で軽く食事しながらPKに関して調べていると、その方法について見つけ思わず口に出した言葉にヘーテルが反応する。


「いや、PKってどうやってやるんだろうなってさ」


「ああ、それが分かったのね」


 そういう彼女に俺は頷く。


 このゲームでPKをするなら二通りの方法があるようだ。

 まず、1つ目はダンジョンで偶然出くわしたときに敵対しPKするという方法。

 合流したからといっても協力する必要はないからな。


 そして二つ目の方法が、どこかのフィールドでローグモードで待機することだ。

 これにより、ファストトラベルで街に向かうプレイヤーをPKのいるフィールドにランダムで引き寄せることができるようで、俺たちはこれに引き寄せられたってことらしい。


 これだけだと街への移動時に別の場所に出たらPKと判断できそうだが、どうやらマルチだとファストトラベルする度に一定確率で他のファストトラベルしていたプレイヤーと合流するようになっているようだ。


 さっきのPK達も最初に友好的な演技をしていたのはそのあたりのシステムを利用してのことだったのだろう。


 そのようなことをヘーテルに説明すれば、彼女はなるほどと頷き、それから、


「なかなか嫌らしいわね」


 と呟いた。


「というと?」


「ダンジョンで出会っても友好的な相手じゃないかもしれない。街へ移動中に出くわした相手はPKなのではないか。そうやって人を疑心暗鬼にさせる気満々じゃない」


「ああ、なるほどな」


 言われてみればそうだ。

 そうやって煽ることで、ドキドキハラハラ感を大きくしているのかね。

 結構このゲーム人気みたいだから、結局そのシステムは成功しているんだろうけど。


「ま、それはそれでいいと思うけどね。でも作った人は絶対ひねくれてるわ」


「かもな」


 そんな会話をしながらダンジョン探索による疲労を癒した後はギルドへ向かい手に入れたアイテムを鑑定&換金してもらった。

 驚くことに、宝物庫から手に入れたアイテムは全てオークション必須の高額アイテムで、鑑定を担当したミュラさんが1つ鑑定する毎に狂喜乱舞で大変鬱陶しかった。


 ので、3個目辺りで後は全部15日後でオークション処理しておいてと頼んで退散した。

 ギルドを出て適当な広場のメンチに腰掛けたところでヘーテルが呟く。


「あのテンションは異常よねえ……なによ」


「いえ、別に」


 それをヘーテルが言うんだ、なんて思っておりませんよ。








 さて。

 これでこのゲームの要素は概ね紹介しきったのではないだろうか。

 というわけで当ゲームのプレイログはここで終了ということにしたい。

 このゲームはかなり気に入ったので今後もヘーテルとともにプレイしていくつもりだが、ログとしては残さない。

 ま、やってること自体は難易度などが変わっただけで同じことの繰り返しになるからな。


 ここまでプレイしてきてだが、とにかく面白い!

 VRであるがゆえに五感に訴えてくるダンジョン探索がもたらす緊張感はずっしり重厚。

 その状態で罠を切り抜けたり敵を倒したり、あるいはやり過ごしたりしながらアイテムを見つけた時の喜びは言葉にはできないものだ。

 これは特に序盤で強く感じることだろう。


 それから豊富なランダムイベントが単調になりがちなダンジョン探索のいい感じのスパイスになっている。

 後で調べたところ宝物庫もその1つのようで、これはトラップダンジョンで罠を解除せず、3秒以上立ち止まること無く進み続けていると低確率で発生するイベントだったらしい。

 この確率は進んでいる時間が長ければ長いほど上がるようになっているようだ。


 ちなみになんとこの情報、どこからかと言えば公式のF&Qに載っていた。

 宝物庫のような特殊条件で発生するランダムイベントについてその条件を全部公開しているようだ。

 その方式が成功しているのは、そのランダムイベントの数が3桁を超えるからだろう。


 そんな感じで豊富なランダムイベントによって飽きさせないこのゲームはかなり面白い。

 最序盤の軌道に乗るまでがやたらときついが、そこを乗り越えればどんどんハマっていくと思うので、是非頑張って乗り越えて時間をダンジョンに捧げよう。

あくまで主人公が公開しているプレイログという体なのでこんな終わり。


また、これを持って「VRゲームで遊ぼう」そのものを完結設定とさせていただきます。

執筆に疲れてしまったのとネタ切れによるもので、多分これ2ヶ月以上次の連載ないな、という判断からです。


またひょっこりアイデアが湧き筆が乗るかもしれませんが、その時はひっそりと更新したいと思います。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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