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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
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僕らのダンジョン探索録 10

 次の日、ゲームを再開したわけだが無事テント内からスタートだ。

 このテントは魔物避けエンチャントレベル2が付加されているのでテント傍に敵モンスターがいるなんてこともない。


 情報によればこのエンチャントがされてないテントでも中断ログアウトはできるらしいが、その場合再開時に極稀に死亡していたり、テント傍にモンスターがいて出た瞬間にハメ殺しされたりする可能性があるらしい。

 またこのエンチャントもエリアに対応したレベルというものが存在していて今いる最初のダンジョンの中層エリアであればレベル2無いと先に説明した状況が発生するようだ。


 楽しい探索のためにはこの辺りはケチらないほうが良さそうである。


 さて、とりあえずテントを出るとまずはテントを片付ける。

 割りと簡単に片付けられるようにはなっているし、魔物避けエンチャントの効果でモンスターも近寄ってこないが一応警戒しながら片付けた。


 片付け終わったところでなんとなく腹が減ってきた感覚があったので携帯食料を食べておく。

 うむ。

 高かった分、それなりにうまい。

 最初に買った携帯食料とは違うな!


 どれくらいかといえば最初に買った携帯食料をただの水とするのならこれは砂糖を一摘み入れた程度にはうまい。

 うん……値段が高い理由の大半は中層に対応したアイテムだから、であって味が改良されたからでは無いんだよね。

 そこは別に味も改良してくれても良かったんじゃないかなと思う。


 はー、まっず。






 目をそらしていた味について正しく認識した後は普通に探索再開だ。

 通路を歩き、部屋に出たらトラップを警戒しつつ物色。

 まあ、警戒っていってもトラップを見つけるようにと言うよりはトラップに引っかかったかどうかを瞬時に把握できるようにっていう類の警戒だ。

 僅かな差異からトラップを発見だなんて俺には無理だ。

 でも、踏んでからの超速反応で避けることはできる。

 いつごろからかこういう反応速度はかなり良くなっていたからな。

 多分慣れただけであってナニカサレタわけではないと思うんだけどよくわからん。


 まあ、そんな反応速度も毒ガスだとか地雷系トラップに引っかかったらほぼほぼ意味ないんだけど今のところトラップは矢が飛んでくるのばかりだからな。

 昨日部屋に閉じ込められるのが唯一別のトラップだった。


 これは俺の運がいいのか最初のダンジョンだからか。

 ……両方かなあ。


 ただ、後から思うとこの時こんなこと考えるべきではなかったことは確かだ。


 トラップについて考えつつも俺は通路を進み、見つけた部屋を探索していたのだが……。


 ――カチッ


「っ! わ……あばばばばばばばばばばばばばばばば」


 なにやらスイッチを踏みそれに気づいて即座に逃げるより速く足元から凄まじい衝撃が身体を突き抜けたのだ。

 ここに来てスタン地雷に引っかかり俺はしばらくブルブルと震え、前のめりに倒れた。

 おまけに身体が麻痺してたから手を付くなんてことはできず鼻面から思いっ切り倒れてかなり痛かった。


「やええ……こおああじ……」


 舌もしびれてまともにしゃべれない。

 とりあえずこの状況はやばい。

 帰還水晶で地上に逃げることもできないし、モンスターが来たら確実に死に戻りだ。


 気絶状態にならなかったのは幸いだが、動けないのでは大差ない。

 動け!

 俺の身体動いでくれ!

 などと念じながら気合を入れて立ち上がろうとするが少し手が動くだけでうまく立てない。


 いつモンスターがやってくるかという恐怖の中ひたすらに立ち上がろうと苦戦して、ようやく身体からしびれが抜けて動けるようになったのはだいたい5分後ぐらいのこと。

 モンスターが来なかったのは不幸中の幸いだったが、かなり危なかったな。

 あまりフラグになるようなことを考えるのはやめておこう。


 さて、ダメージ自体はそこまで負ってない感じだし先へ進もう。

 この部屋には特にアイテムはないようだし。

 そう思って通路へと向かったのだが――






 ――カチッ


 ――ドオォォン


「へ? うわあああああああ!?」


 何かを踏んて瞬間視界は閃光に包まれ、衝撃と強烈な熱が俺の身体を襲った。

 吹き飛ばされ地面を転がり、身体を強く打ち付けて痛みに耐えつつなんとか立ち上がろうとしたところで力尽き、視界は暗転した。









「やっちまった……」


 酒場に復活して最初の一声がそれだった。

 ふっ……まさか即死とはな。


 などと黄昏れている場合ではない。

 回収期限は24時間だ。

 すぐにアイテム倉庫に預けていた背負袋、煙幕玉、携帯食料を持ちだしてダンジョンへと出発する。


 駆け足でダンジョン内を進み、次の階層へ向かう広場を探す。

 が、スタミナアップの指輪が無いからかすぐに息が切れてしまう。


 ここまでの差があるとは……。

 いや、待て。

 指輪取得前でもここまでひどくなかったような?

 やはり、プレイに応じてステータスは向上していたってことか。


 そして死んだらそのステータスも初期の状態にリセットされると?

 ぬおおお、また難易度が1つ上がったじゃないの!

 死亡リスクかなり高いなこれ。


「はぁ……はぁ……ちょっと限界。一旦休まないと……」


 考えながらも脚は止めてなかったのだが、流石に胸が苦しくて一旦休憩を取る。

 立ち止まり、壁に寄りかかって息が整うのを待つ。


 と、その瞬間寄りかかっていた壁がガコンと外れた。


「わっ、ちょ、えぇっ!?」


 まさかの自体に俺はそのまま後ろ倒れてしまい、尻もちをつく。


「ってぇ……なんだ、ここ」


 お尻をさすりつつ立ち上がり周りを確認すれば何だか小さな小部屋って感じの空間だった。

 壁は相変わらずむき出しの岩壁ではあったが、他の広場に比べるとどこか整備されているような印象を受ける。

 それから後ろを向けば、部屋の中央にかなり特徴的な形をした物体があった。


「お……これってもしかしなくても宝箱?」


 今は中層に残したアイテム回収に急いでいるわけだがだから言ってこれを無視することはできない。

 ひどく重厚で金細工で装飾されたいかにもな宝箱がそこにあった。


 隠し部屋らしき部屋で見つけた宝箱。

 これは開けずには、いられない。

 恐る恐る手を伸ばし、宝箱の蓋に手をかける。

 そして覚悟を決めて思いっきりその蓋を持ち上げた。


「はーい開けた! そして罠でしょ? 知ってた知って……? おおう……マジか」


 いや、もうホント疑心暗鬼になってどうせ罠だろって思って開けたのだが、なんと罠などはなく普通にアイテムが入っていた。

 相変わらず拾う前はキラリと光るだけでなんなのかは分からないがこうして宝箱から出てきたというのなら本当に期待してもいいだろう。

 ワクワクとしながらそれを拾い上げると、そのアイテムはたちまち形を変えて、いつの間にか短槍へと形を変えていた。


「おお? おおおおおお? 武器じゃん! 間違いなく武器じゃないか!」


 これは嬉しい。

 ハイドタイプは換金アイテムや消費アイテムばかりドロップするけど確か、まれに装備を手に入れた時はかなり優秀なものが手に入るって話だし、しかもこれは隠し部屋の宝箱から出てきたんだからかなり期待できる。


 しかし形から短槍だとは分かってもどれぐらいの代物なのかは判断つかないな。

 長さは1mぐらいで、刃も柄も同じ金属からなる一体型の槍。

 だというのに重さはそれほどじゃなくて、普通のショートソードと同じぐらいだ。

 特徴的なのは刃が雷マークのような形になっていること。


 そういう形の刃をしただけなのか、それともこの槍の能力を表しているのか。

 とりあえず試してみるしかないだろう。


 短槍を構え、とりあえず試しの一突き。


「すぅ……ふん!」


 弓のように身体全体を引いてから全身を伸ばすようにして突きを放つ。

 瞬間、身体の中から何か力が抜けるような感覚を感じると共に刀身に雷光が走り、突いたのと同時にバチバチと雷が前方へと伸びた。


「お、おお……!」


 大体刃先から1メートルのところまで届いたところで消えてしまったが、俺はその結果に興奮した。

 現段階では間違いなく一級品だ!


 しかも所謂マジックアイテムだとか魔槍だとかその類の代物!

 これは素晴らしい。

 ただ、放った瞬間に身体から何か抜けた感覚があったから、あまり調子に乗って使わないほうがいいかもしれない。


 この感覚は多分魔力とかそれに類するものだな。

 じわじわと抜けた力が回復しているのも感じられるし、それなりの頻度で使っていくことは可能だろう。


 ふふ……これなら中層に残したアイテムだってなんとか回収できそうだ……!

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