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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
60/72

僕らのダンジョン探索録 9

 通路を進んでいくと前方から足音が聞こえてきた。

 柱の影に隠れて耳を澄ませばその足音は徐々にこちらに近寄ってきているようだ。


 チラッと顔を出して通路の先を見ていると次第にぼんやりと敵モンスターの影が見えてきた。

 かなり小さいな。

 俺の膝ぐらいの高さしか無いし、あの影の動きは……爬虫類っぽい。


 それだけ確認してすぐに顔を引っ込めて息を潜める。

 剣は逆手にもって起き、敵モンスターの接近を待つ。


 ペタペタと足音が近づいてきていよいよすぐそこに来たところでバッと身体を捻りながら柱の影から飛び出して、すぐさま剣を突き下ろした。


「ギィーーーッ!?」


 それは敵モンスター……ミドルリザードの頭部へと突き刺さり、ミドルリザードは突然の攻撃に驚いたような鳴き声を上げたかと思えば、急所へのクリティカルヒットによって息絶えて動かなくなった。

 死体もすぐに消えてさあ、先へ進もうと思ったのだが。


「おっと、アイテムドロップか」


 ミドルリザードが消え去った後、そこにはキラリと光る物があった。

 拾ってみればそれは涙の形をした拳大の綺麗な水晶だった。

 キラキラと光りを乱反射してまるで星のようにきらめいている。


「やっぱモンスターからのドロップもあるのか」


 何気にこれが初ドロップである。

 結構確率が低いのか、それとも落とす敵と落とさない敵がいるのかはわからんが珍しげな敵がいたら倒していったほうがいいのかもしれないな。

 まあ、無理することはないからサーチアンドデストロイなんてことはせずに今までどおり必要であれば倒すくらいでいこう。


 さて、どんどん行きましょう。

 エンチャントによって背負袋はまだまだ余裕があるし、それなりにアイテムを回収していきたいところだ。

 どこかで一旦帰還して中層におけるアイテムの換金率は確かめておきたいから程々にするとしてとりあえずは背負袋の容量の半分を目処にアイテム回収しながら探索を進めることにする。


 通路を抜けて部屋へと出る。

 やはり本棚とか机が散在しているが、それ以外には何もない。


 下手に調べてトラップに引っかかったら笑い話にもならないのでさっさと次の部屋を目指す。

 そう思い、とりあえず正面の通路へと行こうとして部屋の中央まで来たところで何かを踏んで、同時に通路にガシャンと鉄格子が落ちてきて閉じ込められた。


「考えた傍からこれかよ……」


 幸い天井が落ちてくるとか毒ガスが出てくるとかは無くて一安心だけどあっさりトラップに引っかかって情けない。

 ホント笑い話にもならんな。


 天井の一部が崩れ落ち、そこから何か丸いものが落ちてきた。

 それは無数のヘビが絡みあい蠢く、蛇の球であった。

 名前はスネークボーラー。

 でも言いづらいから蛇球と呼ぼう。

 で、直径1メートルくらいあるそれから無数の蛇の頭がニョロニョロと動き、赤い目がこちらを睨む。


「キモいんですけど!?」


 そんな俺の叫びに反応してかその蛇の集まった球は俺の方へと猛烈な勢いで転がってくる。


「うわっ!?」


 慌てて避けるとそれは壁に激突して止まった。

 ええ……あの状態のまま攻撃してくるの?

 

 すごい嫌なんだけど。

 蠢く姿が怖いんですけど!


 幸い、蛇が散らばったりなんてことはないようだからそこだけは安心かな。

 っと、また来た。


「せい!」


 とりあえずそれを避けて、壁にぶつかったところに剣を振るう。

 余程防御力の硬い相手でも無い限り弾かれることはないため振るった剣はあっさりと蛇球を通りぬけた。

 その際に無数の蛇の身をブチブチと断ち切った感触がまた気持ち悪かった。


「シャァアアアアア!」


「っ!?」


 ダメージを与えたからか蛇球は転がるのではなく、無数の蛇の頭を伸ばして攻撃してきた。

 驚きながらも即座に反応してバックステップでそれを避ける。

 先程まで俺がいた場所を多くの蛇の頭が噛み付いていて、隙だらけなそこへ剣を振るった。


「「シャァア!?」」


「よし!」


 ミドルリザードもそうだったが、このゲーム急所というものがあって頭とかは大概急所でありうまく攻撃を当てれば一撃で倒せるようになっているようだ。

 今も無数の蛇の内何体かを首から断ち切ったので大きなダメージを与えることができたようだ。

 一撃で倒せなかったのはやはり無数の蛇の集合体であるからだろうか。


 ダメージを受け怒ったのか、先程よりも多くの蛇が伸びてきて襲いかかってきた。

 それをなるべく引きつけてから横へ避けて剣を縦に振り下ろせば、今度は先程よりも多く蛇の頭を落とすことができた。


「「「「シャアアアアアアアアアア!?」」」」


 その分ダメージも大きかったのだろう、より多くの蛇の頭が一斉に鳴き叫ぶ。

 今度はまた蛇球が丸ごと突進してきたのでそれを避けて追撃にっ……!


「っぶねぇ!?」


 避けた蛇球が壁にぶつかるのと同時に再び突進してきたのを見て、無理やり追撃に行こうとしていた身体を動かして回避。

 それからも連続して蛇球は突進してきたので俺は回避し後も蛇球動きを注視して攻撃のチャンスを伺った。

 そうして何度目かの突進の末、蛇球の動きが止まったのを見て覚悟を決めて駆け寄る。


「シャー!!!」


 それはやはり罠だったのか、駆け寄った俺にこれまでにない数の蛇が襲い掛かる。


「けど、それは予想済み!」


 だからこそ俺は真っ直ぐ駆け寄ることはせず、散在していた机の方へと向かっていて、多数の蛇の頭が迫るよりも先に机を持ち上げてそれを盾に蛇の頭へと突っ込んだ。


 そして、接触の瞬間俺は机を軽く放り投げつつもスライディングで蛇の下をくぐり抜ける。

 盾代わりの机は蛇の頭突きによってボロボロに壊されたが、既に俺は蛇球の傍まで近づいていた。


 蛇球を構成していた蛇の殆どが一方向に伸びたために密度が低くなり、中心部に何やら赤黒く丸い結晶体を発見したのでそれに剣を突き入れれば、それは粉々に砕け散り、同時に蛇球は動きを完全に止め消え去ったのだった。


「ふぅ……今のが核みたいなものだったのか」


 息を整えながらを呟く。

 中々疲れる戦闘だったな。


「おっと、またまたアイテムドロップ~」


 でもアイテムドロップしたから結果オーライ。

 いやむしろこれを狙ってトラップ踏んだから計画通りですわ。


 さて、ドロップしたアイテムはなんじゃらほい。


「ガラス瓶? なんか入ってるな」


 これは換金アイテムじゃなくて消費アイテムか?

 何か液体が入っているが……見るからに毒々しいな。


 持ってても仕方ないし敵に投げつけて見るか。

 もし毒々しい見た目の回復薬だったとしたら勿体無いけどその時は敵に存在を気づかれるだけで大きな問題では無いはずだ。


 それにしても先程の戦闘は中々激しい戦闘だったが意外と疲れてないな。

 もちろん多少体力を消耗した感じはあるが、まだまだ余裕がある。


 最初の頃はこんな動きしたらかなり息切れしていたはずだ。

 と、そういえばスタミナアップの指輪を装備してたっけか。

 これのおかげだな。

 となるとこれ、結構効果高いんだな。


 後はステータスに表示されないだけで、スタミナとかもプレイに応じて向上しているのかもしれない。

 なんとなく以前よりも素早く動けるようになってる気がするし。


「っと、通路も開放されたな。んじゃ先へ行きますか」


 ステータスについての考え事も通路の鉄格子が消えたのを見て中断。

 ま、とりあえずある程度動きやすくなってるとだけ把握していればいいだろう。

 

 そう結論づけて俺は探索へ戻った。

 それから10部屋以上探索してアイテムを6つほど回収したところで一旦プレイを中断することにした。

 もう、結構な時間プレイしていたからな。

 1つの階層がやたら広いから探索にどうしても時間がかかる。

 今回は1階層からこの6階層まで来ていたからその分余計に時間がかかっていた。


 ま、だからこそ魔物避けエンチャント付きのテントを購入していたわけだ。

 これを広げることで安全にログアウトが可能になる。

 逆に言えばこれがないとダンジョン内でプレイ中断してのログアウトは不可能である。

 というのは語弊があるな。

 可能ではあるがアバターは死亡扱いになり酒場スタートになる。

 深い階層に行くときは必ず持って行きましょう。


 というわけで程よい感じの部屋にテントを広げ、この日はプレイを終了した。

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