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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
57/72

僕らのダンジョン探索録 6

 さて、前回ログより3日経った。

 この3日俺は程々にプレイして少しずつ装備などを整えていったわけだが、今日は楽しみにしていたアレの結果発表の日だ。

 つまりオークションだ。


 ゲームを開始した俺は早速ギルドへ向かい、受付さんは話しかける。

 今回はギルド登録時に担当してくれた人だった。


「オークションに出したやつもう結果でてます?」


「ん……ああ、ヒュージさん! ええ、もちろんもちろん。探索者になって次の日には高額アイテムを手に入れて生還とは素晴らしいです! おかげで、登録を担当した私の評価もうなぎ登りで、ラッキー……いえ、私の目に狂いはなかったと鼻が高いです! ありがとうございます!」


「お、おう」


 なんか初日の事務的な対応どこいったのかってくらいテンション高いな。

 しかも、なんだか好意的?

 ただ、その好意的態度の理由が透けて見える。

 現金な人だなこの人。


「それで……」


「はい、オークションの結果ですね! 準備期間が短いのもあってあのアイテムを目的として集まった人は少なかったんですが、その代わり集まった人達は皆、是が非でも手にいれたいと強い熱意を持った方々! 当然、入札競争は荒れに大荒れしてその迫力足るや戦場を彷彿とさせる勢いでした!」


 なんか始まった。

 まあ、暇だし聞いておこう。


「値段はどんどんと上がっていき一人、また一人と脱落し最後に残ったのは二人だけ。やっとこの争いが終わるのか、見物人がそう考えてホッと息をつきます。


 しかし、戦いはまだ終わってはいませんでした!

 むしろ今までのはただの準備運動だとばかりにヒートアップしたのです!


 残った二人は火花を散らしてにらみ合いながらお金の弾丸を撃ち合い、入札額をはね上げました! 

 その様相に見物人も釣られて盛り上がり、会場は熱狂で包まれます!


 ですが!

 そんな熱き戦いもついに幕を閉じる時がやって来ました。

 かの人が、幾度の撃ち合いから疲れきりながらも声を絞りだし告げた金額に、相手は苦渋に満ちた表情でしばし悩み、やがて首を小さく降って崩れ落ちたのです。


 ……とても、長く、熱く、感動的な戦いでした。

 勝者は喜びと費やしたお金に対する涙を流し、敗者は手に入れられなかった悔しさと、手元に残った大金への安堵が入り交じった涙を流していました……。


 うう……いい話です……グス……」


「長い、三行で」


「オークションは大成功

 今回のアイテムにおける過去最高の高額落札

 おめでとうございます!」


 うんうんと頷きながら聞いていたが、ほとんど右から左へ流していたので短くまとめてと頼めば、直前の涙はなんだったのかと思うほどの切り替えの早さでまとめてくれた。

 かなりノリのいい人だ。


 それにしてもオークションに出すと毎回このノリで対応されるのか?

 開発なに考えてんだろう。


「であれば、受け取りたいんですけど」


「はい、ではカードの方お預かりいたします……はい、入金完了です! あと今回の結果を受けてランクがEランクを飛ばしてDランクへとランクアップです。おめでとうございます!」


 とりあえず金を受け取るとついでとばかりにランクアップしたと伝えられた。

 説明を忘れていたが、お金は全部データ処理で現金でやり取りすることはない。

 システム的に盗難されることもないので安心だ。


「って、Dランク? 二階級特進とかあるんだ」


「ええ、結果を出したらその分公正に評価するのが我々ギルドの役目ですから。でも調子に乗って新しく公開された難しいダンジョンに準備なしに飛び込んでお亡くなりになる探索者もおられるので残念ですね!」


 残念ですね! って、めっちゃ笑顔なんですけど。

 え、何、怖い。


「なんか軽いですね」


「それはもう、死んだところでその時持っていた装備とアイテムと所持金を全部無くすだけで、すぐ復活しますからいちいち気にしてもしょうが無いじゃないですか。それにしても探索者の方々はどうして復活すると麻の服とボロボロな靴姿なんでしょう? 不思議です」


「へえー」


 って、あれ。

 サラッと大事な事言わなかった?

 死んだら装備してるアイテムも何もかもロストするのか!?


 ……いや、よく考えたら普通か?


「ちなみに死んじゃって無くしたアイテムって二度と回収できないんですか?」


「いえ、死んでから24時間以内にもう一度同じダンジョンの同じ階層に行けば回収できますよ? けどそれまでにもう一度死んだら今度こそ完全に紛失です。愛着のある装備とも永遠のお別れです。噂では死んでも装備を失わない秘術があるらしいですけど、多分装備を無くしたどこかの探索者が現実逃避に流した嘘でしょうね」


 聞けば回収のチャンスはあるようだ。

 うん。

 やっぱり普通だ。

 ダンジョン探索ゲームにはよくあるシステムだった。

 むしろその辺りは数あるダンジョン探索ゲームの中では回収できる分やさしい方だろう。

 ついでに聞いた噂話も多分実際にあると思う。

 となればますますやさしいゲームじゃないか、と思うが無駄にリアルな身体能力がなあ。


 結構サクサクとプレイできていると思うかもしれないが、本当に厳しいのだ。

 それでも今のところうまく行ってるのは「The Endless War」での経験のおかげだろう。

 そのゲームも結構リアルな設定で、そんな中俺はかなり重い荷物背負って極限環境の中行動してきたからこういうリアルな感覚に耐性が付いているというわけだ。

 あとは疲れにくい動き方とかが身に付いているってのものあるな。

 ちなみにそちらのゲームのプレイログも過去に残しているのでよければ見てみるといいだろうと宣伝もしておく。




 さて、そんな事はさておき、得られた収入は……え、520万ゼフ?

 最序盤のダンジョンで得られたアイテムでそれってありなのか?


 そう驚くがこうして入金されているということはありなんだろう。

 そういえば、先にも説明したが所持金は全てデータとして管理されどこぞにお金を預けるような施設があるわけでもない……つまりは全財産を常に持ち歩くわけで、死んだらそれをロストするのか。

 その状態で24時間以内に回収するのって結構難易度高くないか?


 ……気づいてよかった。

 確か街にアイテム倉庫はあったから、死んだ時にすぐにダンジョンにもぐれるように最低限の装備を置いておこう。

 このアイテム倉庫は大きさ問わず10個までアイテムを預けることができるのだが、アイテムを預けている間ずっと維持費を払う必要がある。

 その額、一日5000ゼフ。


 決して高くは無いと思うが微妙に手を出し辛い価格設定だったため、今まで利用していなかった。

 うむ。

 これまで死ななくてほんとよかった。


 尚、アイテム倉庫にもランクみたいなのがあって投資することで預けられるアイテムの数が増える。

 そしてなぜか維持費も増える。

 投資してやったのに維持費を増やすとか悪徳である。

 だから520万ゼフ得ても油断したらすぐ破産するだろう。


 上を求めたらホント青天井だからな。

 しかもそんなお高いアイテムを用意しとかないとダンジョンの奥なんて探索できないときた。


 というわけで軽量化エンチャント・レベル3に収納拡大エンチャント・レベル2を施された背負袋を購入。

 グッバイ120万ゼフ。

 それから魔物避けエンチャント・レベル2を施されたテントに60万ゼフ。

 中階層で使用できる帰還水晶に30万ゼフ。

 中階層の敵にも通用する煙幕玉@5万ゼフを3個。

 中階層でも腐らない携帯食料@3万ゼフを10個。

 ひとまず探索にほぼ必須のアイテムはこれぐらいでいいだろう。

 

 それから装備も更新だ。

 重量負荷軽減エンチャント・レベル2付きブーツを60万ゼフで購入。

 そしてスタミナアップの指輪を50万ゼフで。

 さらに軽量化エンチャント・レベル1付き鋼のショートソードに40万ゼフ。

 ブラックウルフの革胴鎧が40万ゼフ。


 全部合わせて445万ゼフ。

 それからアイテム倉庫に50万投資してランクを1つ上げ、更に予備の携帯食料5個と煙幕玉5個に低級の10万ゼフぐらいの背負袋も預けておく。

 アイテム倉庫に預けたアイテムは死んだら全力で駆け抜けてなんとか回収できたらいいな程度の備えだがないよりはマシだろう。


 これで総計545万。

 絹織物で得た金は無くなったし、この3日で稼ぎ貯めこんだお金も後5万ほどしかない。


 そしてこの5万もアイテム倉庫の維持費が一日1万になったことですぐに消える。

 というか先払いで5日分払ったので消えました。


 後は端数でいくらか残ったのみだが、まあお金をただただ持っててもしょうが無いから問題ないだろう。

 いくらお金を持ってても死んだら全ロストして回収するまでは使えないのだから使えるときに使って装備を強化しておくべきだ。


 そんなわけで準備も整った俺は探索者ランクがDになったことで開放されたより難易度の高いダンジョン……ではなく初回からずっと探索している最初のダンジョンの中階層を目指すことにした。

 どうやら余程ランクに差がない限りは難しいダンジョンの浅い層よりも簡単なダンジョンの中階層のほうが難易度も高く儲けも大きくなるようなのだ。


 今回はオークションで纏まった額を手に入れたので段階を飛ばしていこうというわけである。

 では張り切って行くとしよう。

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