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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
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僕らのダンジョン探索録 5

 さて、無事に街に帰還した。

 さっさかギルドへ向かい手に入れたアイテムを換金しましょう。


「ダンジョンで手に入れたアイテムの買い取りってここで大丈夫?」


「はい、大丈夫ですよ。ではまずカードの方をお預かりいたします。ランクFのヒュージ様ですね。まずは初めてのダンジョン探索からの無事生還おめでとうございます。では換金したいアイテムをこちらのボックスに入れてください」


 ギルドへと到着し受付で声をかける。

 登録時に担当してくれた人とは違う女の人だ。

 彼女に言われるままにカードを渡すと柔らかな笑顔で生還したことを祝してくれた。

 それから何やら箱を取り出してそれに換金アイテムを入れて欲しいと言われる。


 乱雑に入れていいのか? と思ったけど箱をよくみたら何やら俺が手に入れた換金アイテムが丁度ハマるような大きさに区切られていた。

 つまりこれに合うように入れろってことか。

 なんとなくこういうのは綺麗に嵌めこみたい質なので一つ一つ丁寧に置いていく。


「さすがハイドタイプの方ですね。どれも大変貴重で品質の良いものです」


 受け渡したアイテムを一つずつ確認していった受付さんがそうこぼす。

 それから一層真剣な目でアイテムを確認して何やらメモを書いている。

 鑑定も受付の人がやるのか。


「こちらの五つはどれも品質も良くなかなか貴重な物なのでそれぞれ5000ゼフ、合計で25000ゼフで買い取らせていただきます」


 全てのアイテムを見終わった受付さんが布以外をまとめた5つを指してそう告げられた。

 まあ初期投資の5000ゼフに比べれば結構な額であるし問題はないと思う。

 それにしてもなぜ布は別なんだろう。


「それでこちらの布ですが」


 そう思っていたらちょうど説明してくれるようだ。


「こちらでは買い取ることは出来ません」


「えっ……な、なんで!?」


 換金アイテムだよな?

 なのに何でダメなんだ?


「こちらは天の羽衣とも呼ばれる貴重な絹織物で多くの人がこれを求めておられます」


「……? つまりそれだけ価値があるものなんじゃ……」


 それなのに買い取れない?


「はい。非常に価値が高く本当に貴重なもので、それ故に相場が存在せずこちらでは買い取ることは出来ないのです」


 と、残念そうな表情を浮かべながら受付さんは説明してくれた。


 なるほど、価値が高すぎてここでは取引できないと。

 どうやら結構な当たりを引いたようだ。

 だが、いかにこの布の価値が高くとも換金できないのではな。


「さて、そこで提案なのですが、こちらのアイテムをオークションに出してみませんか?」


「ん? オークション?」


「はい。この手の貴重なアイテムはオークションに出せば最低でもアイテムの価値と相応の金額で取引されますし、場合によれば価値以上の金額で取引されることになります」


 ほう。

 最低でも価値相応で換金できるのか。

 いいことずくめじゃないか?


「但し、オークションに出した場合その結果が出るまで最低でも3日程かかりますし、落札額から5%を紹介料として差し引かせていただくことになっています」


 デメリットもしっかり有るようだ。

 即時換金ができないのはなかなか焦れったいし、紹介料もなんだか損した気分になる。


「オークションに出した場合はって言うからには他の換金方法もあったり?」


「ギルドではなく個人のツテで売り払えば即時換金も可能ですよ。ただ、その際の交渉などはヒュージ様自身ですべて行う必要があります。また、ギルドを介さないで取引した場合は当然、探索者ランクの評価対象外となります」


 即時換金するなら自分で売り手を見つけてどうぞ、というわけだな。

 その場合は買い叩かれる可能性もあるし、ランク評価からは外されてしまうと。


「んじゃあオークションに出品で」


「かしこまりました。出品はどの開催日にしますか?」


 とりあえず個人で交渉など面倒でしかないのでオークションに出すことにした。

 すると出品するオークションの日にちに付いて聞かれ同時にウィンドウが現れ選べる日付が書かれていた。


 どうやら一番早くて3日後。

 そこから3日毎にオークションが開かれていて最長15日先のオークションに出品できるようになっているらしい。


「えっと、これ日付毎になんか違いがあったり?」


「そうですねえ、開催日までの日数が長ければ長いほどその分このアイテムを出品するという宣伝を行えます。するとそれを求める人達がより多く集まりますので結果的に高額取引になる傾向があります」


「傾向ってことは逆に短い日で出したほうが高くなったりすることも……」


「あります。ただ、やはり準備する期間が短いとどうしても高額取引になりにくいのは確かです」


 ふむ、一応短いほうが高くなる場合もあるが基本的には準備期間が長ければ長いほどより高額で取引されるってことだな。

 多分マジで俺の知らないところで本当にオークションが開かれるとかじゃなくて開催日毎に高額になる確率とかが設定されているんだろう。ゲーム的に考えて。


 じゃあ、どうする?

 最長の15日後のオークションに出品すればその分高額で取引される可能性も高くなるが、それまで利益は確定せず使えない。

 最短の3日であればわりとすぐにそのお金を使い、一層準備を整えてダンジョンに潜ることができる。


 悩みどころだが……まだこのゲームは始めたばかり。

 ならまずは先立つモノがないと話しにならない。


「よし。3日後でお願いします」


「かしこまりました。では、こちらのアイテムは3日後のオークションに出品させていただきます。お金は3日後の午後以降から受け取り可能です」


「はい、なるべく高く頼みます」

 

 そう言って俺はギルドを後にした。

 もう用事はないからな。

 ……今更チュートリアルを受けるのもなんか負けた気分だし。


 そんなわけでギルドを後にした俺が向かったのは武器屋だ。

 やはり基本ステルスプレイするにしても咄嗟の時に応戦できるに越したことはないからな。


 とりあえず手持ちの資金は2万と5000ゼフ。

 まあ、余裕を見て使えるのは2万ゼフか。

 つまり一番安い短剣しか買えないので迷う必要はない。


 同じようなサイズの刃物で言えば道具屋に包丁が3000ゼフで売ってたのでなんかぼったくられている気分だ。

 じゃあそれ買えばと思うだろうが武器は武器、道具は道具とハッキリ分けられているようで武器屋の短剣には攻撃力が設定されているが道具屋で売っている包丁にはそういったものは設定されていないので無駄である。


 ネットで調べてみれば試してみたものがいるようで泣いていた。

 先駆者に敬礼!


 さて、何事も無く短剣を購入できたので次は消耗品の補充だな。

 煙幕玉は便利だったが頻繁に使う機会があればそれは立ち回りの問題だと感じたので常時2個ぐらいでいいだろう。

 松明は使ってないから補充の必要は無し。

 食料は味と効果が上がった分高くなったものを二つ買っておく。

 ここまでで1500ゼフを使い残りは3500ゼフ。


 今回の探索でダンジョンでのアイテムによる収入がいくらか分かったので使い捨てだが使うとダンジョンの外へ転移できる帰還水晶を購入しよう。

 これ1つ3000ゼフだったから最初は手が出せなかったのだ。


 さて、探索準備はこれで大丈夫だろう。

 今日はまだまだ時間もある。

 てなわけで、準備を終えた俺はその後再びダンジョンに潜った。

 武器も手に入れかなり安定していたのでサクッと生還だ。


 成果は普通の換金アイテムを6個、消耗品の刺激爆弾を1個。

 刺激爆弾は要するに催涙グレネードで相手を怯ませることができるアイテムだった。

 逃走時に使ったが、その効果は絶大で煙幕玉以上に敵を足止めできるものだった。

 但し自爆した時の被害も煙幕玉以上だろう。

 換金アイテムの方はどれも一律5000ゼフで換金できて合計3万ゼフを得た。


 案外サクサクとクリアできるなあとは思うが、言ってみればチュートリアルダンジョンに何度も潜ってるようなものだから当然といえば当然だろう。

 結構換金によってもらえるお金は多いが、それに付随してか武器とかもいちいち高い。

 武器のランクが1つ変わるだけで桁が最低1つ変わる。

 消耗品だってより品質のよいもの、効果の高いものを求めると青天井だ。


 そうなるとやはりより難度の高いダンジョンを探索してより良いアイテムを回収する必要がありそのためには探索者のランクを上げるためもっとダンジョンを探索せねばならない。

 人によってはこれは作業に感じてしまうかもしれないが、俺はかなり気に入った。

 ダンジョンを探索し敵にに怯えつつアイテムをかっさらう。

 その臨場感をVR技術が極限まで高めている。

 生還したときの達成感を体験したらもうやめられない。


 そう強く思う。

 まあ、それはそれとして今日はこれでプレイをやめることにした。

 面白いけど、ずっと探索してると疲れるのだ。

 ちょっとロボットにのってレースして気分転換してきます。

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