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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
僕らのダンジョン探索録(ダンジョン探索RPG)
53/72

僕らのダンジョン探索録 2

 街中の探索終わりました。

 何気にこの街、やたらと精巧に作りこまれていて尚且つべらぼうに広かった。

 とてもじゃないが全てを網羅することはできないね。

 ひとまず武器、防具、消耗品を売っている店をそれぞれ発見。

 それから街の至るところに広場が点在していて、その広場にある掲示板に貼られている紙からクエストを受けられることが分かった。

 内容はダンジョンで◯◯を手に入れてきて欲しいといったものから、作業員募集といった街中での求人まで様々だ。

 試しに触れてみればそのどちらも「クエストを受けますか?」とウィンドウに表示されたのでどちらもクエストという扱いでいいらしい。

 ダンジョン探索ゲーなのに街中で仕事するのか……。

 気にはなったが、その時は街中の探索を優先したので結局クエストは受けなかった。


 そうして街中の探索をしていると自然とわかったことがある。

 このゲーム、キャラの性能が現実にかなり近いのは間違いないようだ。

 要するに歩けば疲れるし、腹も減る。

 今は最初の酒場に戻ってきている。

 どうやらここが復活ポイントらしいです。


 そう、俺は死に戻りしたのだ。

 それも空腹で倒れで餓死である。

 こんだけ無駄にリアルにしといて空腹からの餓死の速さは嫌にゲーム的だなおい!

 いや、空腹を感じたんなら飯を食えって話だけど金が無いので。


 金が、無いので。


 大事なことなので二回言いました。

 空腹を放置するとすぐに死ぬ。

 けど空腹を満たすためには金がいる。

 なんてこったい。


 ダンジョン潜って金を稼ごうにも空腹問題先に解決しないと話にならない。

 だって潜ってる間に餓死するし。

 なるほど確かにハードだ。

 でも俺難しいってのはダンジョンの難易度だと思ってたんだが……。

 無事ダンジョンに潜るまでが難しいとか聞いてない!

 というか頭おかしいだろ!


 まあ、でも街を探索しといてよかった。

 解決策は当然ある。

 これはゲームだからな。

 クリアできるように作られているのは当然だ。

 頻繁な確率で搭乗したロボットの脚が折れてゲームオーバーみたいな本当にクソなゲームは早々ないのである。


 ってことで広場へと移動。

 掲示板から求人クエストを選択して引き受けて所定の場所へと向かえば、そこには何やら作業着を来た一団がいた。


「求人見てやってきましたー!」


「おう! よく来たな! それじゃあ作業着と斧を貸してやるからさっさと準備しろ!」


 大声で声をかければ詳しい説明もなく作業着と斧を渡された。

 急いで着替えて一団に交じると、号令がかかり何処かへと移動する。


 そうして辿り着いたのは街の外。

 辺りに切り株が乱立している森の前であった。


「よーし! 作業始め!」


「「「「うおおおおおおお」」」」


 リーダーらしき男が指示を出すと作業員たちが怒声を上げて森へ向かい、思い思いに木を切り倒していく。

 そう、引き受けた求人クエストとはずばり木こりである。


 何かがおかしい。

 なぜダンジョン探索ゲーで木こりをせねばならんのか。

 生計を立てるならダンジョンを探索して生計を立てるべきだろう。


 けど、とりあえずダンジョンを探索するのに十分な食料ぐらいは買える程度に金がいるのだ。

 もしかしたらどこぞに無料で食べ物をわけてくれるおばあちゃん的なNPCがいるのかもしれないがそれを探している内にまた死ぬ自信があるからな。


 仕方なし。


「お金のために! せいっ! やっ! オラァ! お金のために! もう! いっ! ぱーつ!」


 だから必死に声を上げながら斧を振るうのだ。

 全てはお金のために!

 そして楽しいダンジョン探索のために!


「おーし! 作業一旦止め! 飯だ!」


「「「「うおおおおおおおお」」」」


 しばらくたってリーダーの号令に作業員たちが叫ぶ。

 俺も叫ぶ。

 そして気づけば腹の虫も叫んでいる。


 超うめえ!

 食べ終わったあとは再び木こり作業。

 終わったら夕食も頂いた。

 ゲームだけど精も根も尽き果てたところでこの飯は最高だ!

 また、給料として5000ゼフもらった。

 携帯食料は一つ300ゼフなので一応これでダンジョン探索もできるだろう。

 だがまあ、今日はこれぐらいにしておこう。

 クタクタである。

 実際に身体を動かしているわけでもないのににな。

 そして肝心のダンジョンに潜ってもいないのに。


 兎にも角にもこうして「僕らのダンジョン探索録」、略して僕ダンのプレイ一回目は終わったのである。







 VR世界から帰還する。

 軽く背伸びして少しだけ凝った身体をほぐしてから立ち上がってリビングへと向かう。

 ヘーテルは先にプレイしていたゲームを切り上げてご飯を作ってくれているようだ。

 いい香りだな。


「ん……おかえり。で、どうだったの?」


「ああ、めっちゃ木を切り倒してきたぞ」


「……ダンジョンを探索するゲームよね?」


 リビングに入ってきた俺に気づいたヘーテルが笑いながら、ゲームの感想を聞いてきた。

 俺はドヤ顔で今日のプレイを報告したのだが、困惑した様子でこちらを見てくる。

 ……うん、ダンジョン探索がメインのゲームのはずだ。

 なのにやっていることは木こり。

 全くおかしな話である。


 だが。


「予想外だったけど結構面白かったよ。最後はもう腕の感覚がかなり無くなってプルプル震えてたけど」


 VRゲームで筋肉疲労を感じるというのも中々おかしな話だが、案外その辺りの感覚までリアルなゲームは多い。

 そして俺はそれが嫌いではなかった。

 むしろ結構好きなほうだ。

 ゲーム内でいくら疲れ果てても現実に帰るとあっという間に開放される。

 VR世界での感覚を引きずることもなく綺麗サッパリとだ。

 どういう理屈でそれを可能にしているのかは知らない。

 だが、その感覚の差が現実の身体をすごく軽く感じさせて心地よいのだ。 


「……なるほど? まあ、楽しめてるのならいいわ。それにタイミングも丁度良かったし。はい、ご飯できたわよ」


「おう、ありがとうな」


 やはり聞くだけでは理解し難いものなのかヘーテルは肩をすくめつつも笑みを浮かべて、出来立ての愛情たっぷりなご飯を並べてくれた。

 今日はカレーライスか。

 うまそうだ。

 ……はて、何か忘れてるような?

 こう、なんていうか結構重要な事をポッカリと忘れているような気がする。


「じゃ、いただきます」


「いただきまーす。 ぐふぅ!?」


 なんだっけと思いつつも、カレーを口を含み、思い出した。


 ざんねん ヒュージの ぼうけんは ここで おわってしまった。 


「ふふ、気に入ってくれたようで何より。残さず食べてね?」


 彼女はそんな俺に天使のような笑みを浮かべてそう告げるのだった。

 悪魔だ……!

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