VRSS 車輌エディション
シミュレーションゲームというジャンルには面白いゲームがいっぱいある。
いや他のジャンルもそうだけどね。
どのジャンルにも面白いゲームがいっぱいだ。
当然である。
それなりに人気であるからこそジャンルが定着するのだから。
ただシミュレーションゲームほど混沌渦巻くジャンルはなかなかないと思う。
シミュレーションゲームというジャンルにはなんでこんなの作ったのかと言いたくなるゲームもいっぱいある。
それも単にシステムが甘いとかではなく発想がそもそもおかしいゲームに溢れているのだ。
例えばそれはヤギだったり、あるいはパンだったり。
まあこの二つは古き時代では一部界隈でカルト的人気を得ていたようだし、バカゲーとして十分楽しめる内容だったらしい。
だが中には石になってまったく動けないシミュレーションだとか木になるだけでまったく動けないシミュレーションなんていうものすらあった。
一体なにを思ってそんなシミュレーションゲームを作ってしまったのかおおいに謎である。
そしてその系譜は現代までしっかりと受け継がれ、一層リアルになったVR世界においてもカオスなシミュレーションゲームは溢れている。
そんなわけでこれからプレイする「VRSS 車輌エディション」もまた発想がおかしいシミュレーションゲームだ。
何がおかしいのか、それを伝えるために早速プレイ開始といこう。
さてまず最初にすることは何かというとプレイする車輌の選択だ。
今回はベーシックに普通の四輪自動車を選択した。
これでプレイ前の設定等は全て終了だ。
そう選べるのはどの車輌かにするかだけなのである。
ということで確認ボタンを押してゲームスタートだ。
とある町のとある家。
その家には車を駐車するための車庫があり、俺はその車庫の中にいた。
それはなぜか。
今から車にのってドライブするため?
違う。
ドライブじゃなければ車を整備している?
それも違う。
俺は車に乗ってどこかへ行こうとしているわけでもなく、何かをしているわけでもない。
俺はただただそこで待っていた。
ふと、ガチャリと音がする。
それは家に繋がっている扉からだった。
扉が開かれ現れたのはアロハシャツを着こんだ恰幅のいい……というかデブなマンであった。
こちらとしてはウーマンでない時点でげんなりなのに、それに加えてデブという要素にテンションだだ下がりである。
そんな男がノシノシと俺の傍まで歩いてきて、電子キーを取り出すとスイッチを押す。
すると鍵が開かれる感覚が生じたので俺はそれに抵抗して鍵を開けさせない。
「あ、あれ? おかしいなぁ」
男は再びスイッチを押すが尚も俺は抵抗。
そうして何度もやっていると男は、
「クソっ! このポンコツが!」
などと言って強く叩いてきやがった。
いってえなこの野郎と俺はドアを唐突に開くことで反撃した。
「イタッ!? もーなんなんだよもー!」
ドアの強襲に男が喚く。
ふふ、簡単に乗られてたまるか……!
内心でそうぼやくも与えられていた行動力は全て消費していたために抵抗できず、その後にあっけなく乗られてしまう。
ぐおぉおおー重い、重すぎる!
ええい、このデブ何度も体勢を変えんじゃねえ!
余計に重いだろうが!
と、いうわけで俺が今どんな姿なのか、もう分かってくれたと思う。
そう。
俺はなんと……。
四輪自動車そのものになっているのである!!
バッカじゃねえの!?
ほんとこのゲーム作ったやつバカじゃねえの!?
ログに残す前の最初のテストプレイで俺は思わずそう叫んだよ。
そしたら無駄に大きな音で「ブーーーー!!」ってクラクションが鳴りました。
そのときは心臓飛び出るかと思ったわ。
しかもその反応はばっちり反映されて急にエンジンが唸りを上げたかと思えば車、つまりは俺の体が急発進して壁に衝突したからな。
猛烈な勢いで壁が迫るあの光景は本当に恐ろしかった。
さて、現在俺は行動力が尽きているため、回復するまでは男に運転されるがままなのでここらで説明を入れておこう。
すでに説明したようにこのゲームは車輌を運転するシミュレーションゲームではなく車輌そのものになるというシミュレーションゲームだ。
プレイヤーは様々な車輌になり、そのエンジンの鼓動やら地を掴むタイヤの感覚などを体感することができるわけだ。
……誰得だよ、これ。
まあ、とにかく車輌になれるわけだが、ただ車輌になっただけでは誰かに運転して貰わないと動くことができない。
もうここまできたら大昔に作られた某車達の映画のようにすればよかったのに。
そう思うのだが開発はこの形式にじゃないと嫌だったらしい。
とはいえ完全に身動き取れないゲームなど面白くもない。
そういうのはR20VRエロゲームとかに限る。
余談だが「スーパー触手フィーバー」はいいぞ。最高だ。
話が逸れたが、開発も完全に行動の自由がないのはダメだろうと考えたようで行動力というシステムが組み込まれた。
この行動力を消費することで先程俺がやったように、ドアを開けさせないようにしたりドアの開閉を利用して攻撃したりすることができるようになっている。
時間が立てば行動力は回復するのでその気になれば運転手なしに動き回ることも可能だ。
自動車なら時速5㎞ぐらいの超徐行運転なら行動力の消費と回復が釣り合うので延々走れるしな。
但し無人で動く車輌を見かけた人に通報されるとどこからともなく回収車輌が現れて回収されたかと思えばスクラップにされるから注意な!
……車用のでっかいシュレッダーに放り込まれる恐怖はなかなかヤバかった。
後、各地に強化アイテムが散らばっていてそれを取得することで行動力の最大値などが強化される。
最終的には時速100㎞でカーチェイスしても問題ないくらいに強化することも可能でそこまでいけばかなり自由に行動できるようになる。
うまくアイテムを取得して最初から自由に動くことも十分可能だ。
もちろん相応に難しいが。
尚、この強化アイテムは普通に道路上にあり、運転するNPCには見えていないのか進路上に強化アイテムがあっても構わず進む。
アイテム自体に物理判定はないので問題はなく、触れた瞬間に取得となるので序盤はこうして運転手に任せてちまちまと強化アイテムを収集するのがセオリーだろう。
アイテムはわりと高い頻度で現れるので案外自由に行動できるようになるのはすぐだ。
大体10個も得られれば時速40㎞で動き回れるのでそれまでは我慢しよう。
ということで説明している間にアイテムが10個集まったので行動を開始することにした。
まずは人通りのない場所まで行くのを待ち、それからハザードランプを灯し車体を歩道へと寄せて駐車する。
「なんだ!? 勝手に動いて……えっ!? うわあっ!?」
それからシートベルトを外してドアを開き、座席動かして男を歩道へと放り捨てた。
即座にドアを閉めると俺はエンジンを吹かしてその場を後にした。
フハハハハ!
これで俺は自由だ!
なぜか最初の運転手を放置して目の前で動いても通報はされないので注意するのは一般の通行人や他の車の運転手だ。
動いているときはともかく信号などで停車しているときは通行人に無人だとばれることがあるからな。
これも行動力を大きく消費することでダミー人形を作れるのでそれで対処しよう。
また各地には移動に困っている人がいて彼らは無人でも気にすることなく、傍に止めてドアを開ければ普通に乗ってきて目的地を告げてくる。
送り届けることによってアイテムがもらえるので助けておこう。
まあ、俺は助ける相手を選ぶけどね。
さあ!
どこかに移動に困っている綺麗なお姉さんはいないかな?
ムフフフフフフ!
さてプレイはここまでにして、まとめに入ろう。
まず本ゲームは車輌になれるゲームであって車輌を運転するゲームではないということを改めて言っておく。
なんとも頭のおかしいゲームだが、実際プレイしてみてどうなのかというと結構面白いゲームだとおもう。
最初はやれることの少なさにイライラするかもしれないが、アイテムを得ていくごとに自由度が広がりのんびりとドライブしたり、困っている人々を助けて回ったり、暴走してカーチェイスを繰り広げたりと意外といろいろなプレイが楽しめるようになっている。
そして、車輌になった感覚は今までにない斬新な感覚を味わえることだろう。
例えば車なら動いている間、常にマフラーから排気ガスを吹いているわけだがこれは常におならをしているような感覚だ。
また、エンジンが唸りを上げる感覚はなんとも表現できない不思議な興奮を感じるだろう。
このように車輌ならではの感覚を楽しめるゲームなんて他にない。
誰しもが思ったことだろう。
ああ、女子高生の乗る自転車のサドルになりてえなあ……と。
このゲームはそんな野望を抱く者達にこそおすすめしたいゲームだ。




