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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
VRシミュレーションシリーズ
50/72

VRSS モンスターライフエディション 後編

こちらは後編になってます。

読む順番にご注意ください。

 ねちゃねちゃと洞窟を進む。

 形を変えたことで移動速度は結構マシになった。

 どうやらここは空洞とそれを繋ぐ通路のような洞窟で構成されているようですでに幾つかの空洞を通りすぎている。

 大体広い空洞は苔で覆われていて、そこにはたくさんの同族が居た。

 いろいろやっている内に分体の自動制御ができることに気づいたので、同族は全て一旦取り込んだ後に分体を作成し苔を全て取り込むようにしてから、俺自身はどんどんと先へと向かって進んでいたのだがどうにも他のモンスターと出会わない。

 比較的安全な地帯での開始だからこの洞窟にはスライムしかいないのかもしれないな。


「……ギッ」

「……ッ!」


 ふと歩いていると先の方からなんか聞こえてきた。

 それにわずかながら地面も振動しているから何かが歩いているのが分かる。

 このスライムボディは結構感覚が鋭く、地面や空気の波がハッキリ分かるのだ。

 周囲の状況が分かるのも多分そのおかげなのだろう。


 そしてその感覚がその声の主が少しずつこちらへ向かっていることを教えてくれる。

 ひとまず壁に沿って天井へと登り、マイボディを薄く広げるように形を変えていく。

 これで俺の姿は天井に生えた苔にしか見えないはずだ。


「ギギッ」

「ゲへッ」


 隠れて様子を伺っていると声の主がいよいよ姿を現した。

 それは異形ながらも人型で全体的に小さい体躯をしたモンスターだった。

 多分ゴブリンだと思う。

 それが二体だ。

 どうやら一緒に行動しているらしい。


 手には棍棒らしきものと棒の先から熱を放つものをそれぞれの手に持っている。

 熱を放つものは松明なのだろう。

 何かしらの棒に針葉樹の葉っぱのようなものがたくさん巻かれているのが分かる。


 なにやら洞窟の様子を確認しながら進んでいるようなのでもしかしたら住処にならないか探っているのかもしれないな。

 まあ、どうでもいい。


 ようやくスライム以外のモンスターと遭遇したのだから取り込んでしまおう。

 奴らは俺の存在に気づいていないようだし、このまま真下まで来てくれるのを待つ。

 そんな俺の思惑に気づくこと無くゴブリンは一歩一歩足を進め遂には俺の真下まで来た。

 今だ――――


「ギガっ!?」

「グガァ!?」


 ――――あ゛づぅぅぅぅぅい゛!!!!!!







 ふぅ……。

 とても辛い体験であった。

 天井から離れ落下に任せるままゴブリンを覆ったのはよかったが、松明によって俺は焼かれる苦しみを味わうことになった。

 幸い、粘着質なマイボディが隙間なく覆ったことで火はすぐに消えたのだが、それでも熱いものは熱い。

 当然である。


 まあ、それでも無事ゴブリン共は取り込み消化出来たんだから結果オーライと言えよう。

 哀れなゴブリンは俺の奇襲に慌てふためくだけで何もできなかったのだ。


 哀れゴブリンはそのまま俺に生きたまま消化されてしまったのでした。

 やはりモンスターを取り込んだほうが成長の効率はよく、俺のボディは特に形を変えてない状態で小型車一台分ぐらいに大きくなっている。

 圧縮してもバランスボールぐらいの大きさが限度だ。


 逆に薄く広がるとプールぐらいのサイズはカバーできる。

 あ、自動掃除機的な動きよりも薄く伸ばしていったほうが効率いいかもしれない。

 自動で苔取り込んでる分体の設定を変えて薄く伸ばして取り込むようにしておこう。


 さて、分体の設定変更も終わったところで先へ進む。

 ゴブリンがやってきた方向には何があるかね?

 そう思いつつ進んでいくと洞窟の出口があった。


 ふむ、ゴブリンは外からやってきたのか。

 ということは外はゴブリンの生息域になっているのだろうか。

 まあ、何にせよ外を目指そう。

 その前に分体を全て回収したいからしばらくはここで待機だ。


 苔を取り込み終わった分体を小さく分裂させてこちらへと向かわせる。

 途中で別の空洞で苔を取り込み続けている分体と合流したらそこで再び苔取り作業を行い取り込んだらまた先へ進ませる。

 というのを繰り返して全分体との合体を果たした。


 それによりマイボディはさらに一回り程肥大化した。

 けど取り込んだ苔の量を考えると思ったほどではなく、取り込んだ量に対する成長の比率で言えばゴブリンを取り込んだ時のほうが圧倒的に効率が良かったな。

 これからはモンスターを積極的に狙っていくほうがいいかな?

 兎にも角にもさっさとこの洞窟から脱出してしまおうと俺は外へを向かって動き出した。


 この時はまさかあんなことになるとは思いもしなかった。


 そう……。


 まさか。






 まさか外に出てすぐに無数の矢でハリネズミにされるとはなぁ!


「「「ギーッヒッヒッヒッヒ!」」」


 ぬおおお!

 俺を嗤うゴブリン共の声が忌々しい!


 しかし哀れ俺は矢に塗られていたらしい毒によって身体を侵されて動けない状況だったりする。

 油断してた。

 さっきのゴブリンはまさしく斥候で、本隊がふっつーに洞窟の出口付近で陣取っていたとは思いもしなかった。

 救いなのは矢が刺さったこと自体によるダメージは皆無であったことか。

 おかげで毒で死ぬまで時間がある。


 全然救いじゃねえ!

 わりと苦しいんですけど!


 苦味を凝縮したゲロマズ料理を無理やり口に入れられてる感じに苦しいんですけど!

 うげぇぇぇぇぇ……――――





 ――ん?

 んんー?


 あれから10分ほど経ったのだが、なんか苦しくなくなってきた。

 これはもしかして耐性得ちゃったかな?

 色もなんだか紫色のボディになって安定している感じである。


 むしろ周囲のゴブリンのほうがなんか苦しそうだ。

 俺は何もしてないのに。


 原因を探るためとりあえず自分の姿を見れるウィンドウで詳しく見てみると種族名がポイズンスライムに変わってる。

 なるほど進化したのか。

 いや、この場合は変異か?

 よく見ればマイボディから何かモヤッとした紫色のものが漏れ出ている。


 もしかして俺、周囲に毒を撒き散らしてる?

 ヒャッハー!


 ゴブリンどもめ!

 俺の苦しむ姿に面白がって何もせず嗤って見ていたのが貴様らの敗因だ!

 そして敗者は勝者に食われるのが自然の摂理なのだ!


 そう、意気込んで俺は勇み足で(足はないけど)ゴブリンたちへ近寄っていった。

 するとどうだろう。

 ゴブリンの集団の中から一匹、なにやら杖を持ったゴブリンが前に出てきた。

 そして徐ろにその杖を掲げると――――





 ――――バスケットボール大の火の玉が飛んできた。


 あ゛づぅぅぅぅぅぅぅい゛!!!!!!

 やばい! 熱い! 超熱い!

 耐性も得られる感じがしない!

 ていうかずっと燃えてる!? なんで!?


 あ、あーーーーこれ撒き散らしている毒が燃えてる!

 可燃性かよこれ!?

 引っ込めなければ……って駄目だこれ!

 もはやボディそのものが勢い良く燃えている!


 ぬわあー!






 ―GAME OVER―






 さて。

 苦しみの果て我がスライム生が終わったところで本ゲームのプレイログは終了である。

 もうわかってると思うが本ゲームは要するにどれだけ生き残れるかを目的としたサバイバル系のゲームだ。

 サバイバル系ゲームとしては多くの種族を選択でき、種族ごとに違う特性があるので多種多様なプレイが可能なのが魅力だろう。

 できることできないことを把握して状況を確認しどう行動するかをリアルタイムに決める必要があるため戦略性が高く何度もやり込めるゲームであると思う。


 ただし、注意点が一つある。

 何気に本ゲームの痛覚制限は結構高いレベルで開放している。

 つまり、ダメージを受けたときはかなり辛いです。


 でも安心して欲しい。

 ちゃんと痛覚制限は自分で設定できるようになっている。

 それで痛覚レベルを下げれば快適にプレイすることが可能になるだろう。


 そして初期設定だと痛覚レベルは5に設定されている。

 これは現実のソレの約8割ぐらいの感覚で痛みなどを感じるレベルだ。

 初期設定をなぜこんな高いレベルにしてしまったのか。

 その辺りの不親切さを除けば本当に面白いシミュレーションゲームだと言えるだろう。

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