SPO編最終話 進化
前回からしばらく、俺たちは迷宮へ潜り続けひたすらにレベル上げに励んでいった。
レベルを上げてはより深い階層へ行き、敵を倒し、新たな素材から装備を整えまたレベルを上げる。
その繰り返しの日々。
さすがに途中から2人じゃ厳しくなってきたのでカイとユウにフレンドメールを送って合流してパーティを組んだ。
で、先ほど50階層のモンスターを倒して皆仲良く50Lvに上がったのだが、その際にミラージたち従魔に変化があった。
「ああ、そういえば」
「このゲームのメインはある意味彼らだったわね」
「おお! 光ってる!」
「これが進化ってことなのかな」
従魔が突然と光に包まれその姿が見えなくなる。
すっかり忘れていたがこのゲームの目玉としてパートナー、つまり従魔の存在があってその従魔と共に成長していくのが醍醐味の一つだった。
つまりカイが言ったようにこれは従魔が進化しようとしているということなのだろう。
どんな進化をとげるのか楽しみである。
そして、しばらく経って光が弾けると進化を終えた従魔たちの姿がそこにあった。
「おおー……んん?」
「ヒュージさん、これって」
ヘーテルの従魔、火の精霊のフラルは以前よりも大きくなりトカゲというよりもちいさな竜と言ったほうが納得できる姿になった。
ユウの従魔、蛇の姿をしたバイドもまた基本的には大きくなり、大蛇と呼ぶべき様相へと進化した。
そして俺とカイの従魔、ミスティックコアとエレメンタルコアという似た種族であるミラージとヴァルは一切の姿を変えること無くそこに居た。
「兄ちゃんたち進化キャンセルしたのか?」
「いや、してないよ」
「てかキャンセルなんてできないだろ。おっかしーなあ、一応フラルやバイドと同じような演出はあったのに……」
首を捻りつつミラージを見る。
ミラージも理解していないのか身体の形を器用に変えてクエスチョンマークを作って意思を伝えてきている。
それはヴァルも同様で、俺たちに意思を伝えた後は似通った種族同士で向き合い再度クエスチョンマークを作っている。
「ってあれ!?」
「え、どうしました? 何か変化でも見つかったんです?」
よく考えたらこの二体の行動おかしくね!?
そう思って声を上げたがカイはまだ気づいていないらしい。
「いや、こいつらこんな直接意思を伝えてこれたっけ?」
「え……ああ、そういえばこんな一種のボディランゲージなんて以前は全く見かけませんでした!」
なのでおかしいと思った点を教えてやればカイも納得したように自身の相棒を見てしきりに頷く。
ミラージやヴァルもそれによって自身の変化を感じ取ったのか今度はエクスクラメーションマークを作っている。
ちなみにエクスクラメーションマークとは「!」のことだ。
「じゃあ、アレか姿は変わらなかったけど若干賢くなった感じか?」
「まあ、賢くなったというのは別に僕らの従魔だけじゃないようですけどね」
カイがそう言ってフラルやバイドのほうへ視線を移す。
確かにこちらの二体もより賢くなった感じがある。
というよりは意思が強くなったのか、ヘーテルとユウそれぞれに甘えるような行動を見せている。
以前はここまで感情を示すことはなかったもんな。
なるほど。
あとはこれは感覚的なものになるがミラージの能力も大きく向上した気もするな。
この辺りは相変わらず曖昧だ。
「基本的に賢くなり力も増すが、姿を変えるタイプもいれば変えないタイプもいるってことか」
「私のフラルが姿を変えるタイプであんたミラージは姿を変えないタイプだと。まあ、あんたのミラージの姿からどう変化するのか想像のしようもないもんね」
一応それっぽい答えが出てすっきり。
ヘーテルが言うようにミラージは水銀を球体にしたような姿だったし、そこからどう変化するかなんて想像つかない。
いや、そのあたりが姿を変えるタイプと変えないタイプの基準じゃないよな?
まさか、「あーこの種族追加したのはいいけど進化先の姿思い浮かばねー」みたいなノリでこういう形にしたわけじゃないよな?
……このゲームを作ったところならありえそうだ。
「にしてもヒュージの戦いっぷりはすげえな!」
「確かに。魔法使いのはずなのにほとんど近接で戦ってますもんね。しかもやたら反応速度早いですし」
「ふっふっふそれほどでも……あるぜ?」
「その返しはバカっぽいわよ?」
「るせー」
それから話題は移り、俺の戦闘スタイルについてカイ達に賞賛された。
手放しの賞賛に俺は胸を張るがヘーテルが余計な一言で茶々を入れてくる。
ちなみに今は似非格闘術みたいな感じで戦闘しているわけではない。
少し前に地道に作っていた杖が完成したので杖でボコスカと殴りながら戦闘しているのだ。
やってることはあんまり変わらないな。
尚、完成した杖だが当初の目論見通り魔力を浸透させながら削っていったためかそれなりの物ができた。
とはいえヘーテルが作ったほうが結局性能は高いものができるのだが、それでも及第点の代物ができたのである。
なにより、自身の魔力に浸透させ続けたからかこの杖を使った場合は魔力の操作が格段にやりやすいものになったのは大きな利点だろう。
それから俺たちは従魔の能力を確かめながらもさらなる先を目指して迷宮で戦闘を繰り返したのであった。
さて、それなりに長く続いたサモンパートナーオンラインのプレイログも大体の要素を紹介したと思うのでここで一区切りにしようとおもう。
評価としては10点満点中6点といったところだろうか。
戦闘や生産などのプレイスタイルに関わる部分の作りこみは素晴らしくどちらも非常に楽しいものであった。
一方で残念だったのはマップ移動にかかる時間が異常に長い点。
もちろんリアルな異世界を作りたかったという思いは十分に伝わってきたが、一日にプレイできる時間が限られている以上移動に時間をとられるというのはかなり大きなデメリットだ。
また俺自身の行動にも問題はあった。
もっとNPC、というか現地の人達と関わりを持つべきであったと思う。
これは個人的に反省せねばならない点だな。
この辺りもっと真摯に向き合っていればリアルな異世界ってやつをもっと満喫できたかもしれない。
そうそう、移動に対する問題も一応迷宮が解決してくれたといえばしてくれていたがその迷宮の構造がただのコピペであったことは非常に大きなマイナス点であろう。
試しに大通路をひたすら進んでみれば100階層を越え150階層を越え……と結局一切の障害なく奥へ進むことができるようになっていた。
結局あの迷宮は戦闘欲を簡単に満たしてくれるだけの修練場でしかなかったのである。
だが、安心して欲しい。
そんな様々な問題を改善する待ちに待ったアップデートが一週間後に来るのだ。
既にアップデートの内容は公表されていて、内容を見るに移動に関する問題が大幅に改善されそうであった。
ひとまず移動に関係するアプデ内容をまとめてみよう。
まずは体感時間加速機能の導入が決まった。
加速倍率は6倍でこれにより限られたプレイ時間という問題が解決し、間接的に移動に関する苦痛も和らぐだろう。
本来なら最初から導入されていて然るべきものだと思うが、あれはなかなか審査が厳しいらしいから間に合わなかったのだろう。
そして2つ目。
通常エリアにもセーフティエリアが設置されるとのことだ。
各地に休める場所ができることによって格段に移動しやすくなるだろう。
3つ目。
最後によった街へ瞬間的に帰還できる消耗アイテムの追加。
これによりプレイできる時間ギリギリまで狩場へ篭もることが可能になるわけだ。
俺もこのアップデートが来たらいろいろと世界各地の秘境と呼ばれるようなところへと冒険するつもりである。
あと今回のアップデートで非常に重大な表記があったことに対して流石に触れなければならない。
その内容とは……
「有効化スキルスロット枠を増やすアイテムを入手する方法が存在しなかったバグを修正」
と、いうものである。
いい加減スキルスロット追加したいなと思いつつとっかえひっかえでプレイしていたが、まさかスキルスロット枠を追加するアイテムがそもそも得られない仕様になっていたとは驚愕の事実であった。
正直俺は、これを見るまで相当レアな代物なのだとばかり思っていたがまさかのうっかりバグであった。
まあ、でも修正されたというのなら今更文句は言うまい。
そんなわけで、次のアップデートが来ればこのゲームは格段にプレイしやすくなるだろう。
そのアップデート後のことを考えれば評価は10点満点中8ぐらいになるのではないかと俺は思う。
今からプレイしようって人は少し待ってアップデート後にプレイを開始することを個人的にはおすすめしたいところである。
では、アップデートに関する情報も大雑把にまとめたところでサモンパートナーオンラインのプレイログはこれにて終了である。
最後に俺とヘーテルのプレイログ終了時点のステータスを晒しておこう。
名前:ヒュージ
性別:男
魂力:50
存在値:1936/1936
魔力値:7799/7799
存在強度:72
魔力適合率:261
器用さ:111
素早さ:128
幸運:50
スキル
<魔法マスタリー>Lv55 <適合率強化>Lv55 <素早さ強化>Lv56 <瞑想>Lv57 <魔力操作>Lv57 <魔力感知>Lv42 <魔法適正・無>Lv50 <魔法適正・土>Lv52 <拘束術>Lv53 <糸使い>Lv35
非有効化スキル
<魔法適正・風>Lv44 <魔法適正・水>Lv38
※ヘーテルは戦闘時と生産時でステータスが結構変わるのでそれぞれのスキル構成でステータスを表示
※戦闘時
名前:ヘーテル
性別:女
魂力:50
存在値:5726/5726
魔力値:2984/2984
存在強度:194
魔力適合率:103
器用さ:228
素早さ:67
幸運:64
スキル
<魔法マスタリー>Lv42 <生産マスタリー>Lv61 <武器マスタリー>Lv45 <武器適正・槌>Lv45 <存在強度強化>Lv53 <器用さ強化>Lv57 <魔法適正・付与> Lv45 <魔法適正・回復>Lv45 <採掘>Lv46 <採取>Lv48
非有効化スキル
<鍛冶>Lv51 <繊維加工>Lv52 <調合>Lv50 <皮革加工>Lv57 <木工>Lv56
※生産時
存在値:5230/5230
魔力値:2426/2426
存在強度:190
魔力適合率:85
器用さ:268
素早さ:67
幸運:67
スキル
<生産マスタリー>Lv61 <存在強度強化>Lv53 <器用さ強化>Lv57 <採取>Lv46 <採掘>Lv48 <鍛冶>Lv51 <繊維加工>Lv52 <調合>Lv50 <皮革加工>Lv57 <木工>Lv56
非有効化スキル
<武器マスタリー>Lv45 <魔法マスタリー>Lv42 <武器適正・槌>Lv45 <魔法適正・回復>Lv45 <魔法適正・付与>Lv45
と、ステータスはそれぞれこんな感じだ。
ではまたの機会によろしく!
サモンパートナーオンライン編完!




