表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
サモンパートナーオンライン(VRMMO)
44/72

第十一話 ダンジョン探索

 さて、迷宮都市に着いた翌日。

 俺たちは当然のごとく迷宮へと潜っていた。

 当初こそ、興味ないとは言ったが、流石に日頃の移動に関して鬱憤が溜まりすぎていたので潜らずにはいられなかったのだ。


「いやあ……なんだろうなあこれ」

「思ってた迷宮探索と違いすぎるわね」


 現在は迷宮の奥、40階層付近を目指して進行中である。

 ただ、その移動の様がまたおかしい。

 俺の隣にはヘーテルがいるが、前後にはプレイヤーやらNPC冒険者やらがわらわらといる。

 パーティを組んだわけでもなく、彼らは皆それぞれの目的の階層を目指して進行する者たちだ。

 この迷宮の作りは中心に一本大きな通路があってそっから一定間隔で左右にやや小さな通路が延々と伸びているというもので、それはサバイバルサンドボックス型ゲームの地下資源集めを彷彿とさせる作りだった。

 大通路にモンスターが湧くことは無く、モンスターを倒すならば左右に伸びる通路をしばらく進む必要があるらしい。

 そして次の階層へ続く階段があるのは大通路の先。

 だからこそそれぞれ目的の階層に行くまでは大通路を通ることになり、ある意味必然的に迷宮内を進む大行列が出来上がるのであった。

 また、すべての道の壁に光る石が嵌め込まれていてそれが左側に見えるように移動すると奥へ、右側に見えるように移動すると迷宮の出入り口へと向かうことができるという親切設計になっている。

 

 迷う要素一切なしの迷宮がここにあった。


「いや、ほんと迷宮ってなんだろうな……」


 移動だとか迷宮へ入るための整理券だとかでお腹いっぱいなのに、迷宮の構造まで襲いかかってくるとは恐れいる。

 こんな作りだから冒険者はそれぞれ目的の階層まで向かうまで、こうして列を作ってまとまって移動することになっているわけである。

 ただ、NPC冒険者の多くは20階層付近をメインにしているようで20階層を超えると途端に人が減り、同時にプレイヤーが我先にと走りだす。


「これが日常なのか」

「まあ、確かにぐだぐだ歩いていても時間がかかるだけではあるけれどねえ」


 まるでちょっとした障害物競走でもしているかのように、未だ普通に歩いている俺たちを避けつつ先へ向かうプレイヤーをみて思わず苦笑してしまう。

 中には壁を蹴って進むアクロバティックな者もいる。


「んじゃあ、俺たちも急ぐか」

「景色を楽しめる環境でも無いしそうしましょう」


 俺たちもそれを見て目的の階層まで急ぐことにする。

 ヘーテルが言うように目で楽しめる要素が一切ないので歩くだけ無駄ってものだ。


「大いなる風の力、今ここに集まり道を開け ゲイルロード!」

「魔力を糧に私たちに道を進む力を与え給え スピードアップ!」


 そんなわけで俺は周囲一体の風の流れを操り、追い風にすると同時に空気抵抗を減らす風魔法のゲイルロードを、ヘーテルは自身に素早さのステータスを上げる付与魔法のスピードアップを使う。

 これにより移動速度はかなりのものになりあっという間に目的である40階層へと辿り着いた。

 こんなものがあるのなら別に外の通常エリアでも十分まともな狩場で狩ることができるだろうと思うかもしれないが、それは無理ってものである。

 持続時間は概ね5分。

 その間の移動速度は本当に早い。

 けど、効果が消えると同時にスタミナ切れで5分間動けなくなるのだ。

 そして、街から離れた位置のモンスターはそんな移動速度でやってきた俺たちを即座に発見し、

動けない状態の俺たちを強襲してくる。

 とてもじゃないがセーフティエリアの無い通常エリアでこの移動法は使えない。

 ちなみにこれは主に俺の使うゲイルロードの効果で、ヘーテルの付与魔法はそういったデメリットはない。

 その分、効果は戦闘で少し有利になる程度のものでしか無く移動時に使うのは俺との素早さステータスの差を埋めるために使っているに過ぎない。


 別の手段で通路を高速で移動する他のプレイヤーも居たが、彼らの移動にもどうせ似たような代償があったりするのだろう。

 このゲームはそんなゲームだってことはもう分かってる。

 ちなみにそんな他のプレイヤー達の多くはもう少し奥が狩場なようで多くのプレイヤーが通り過ぎていった。


「さて、んじゃ適当に横道はいるか」

「聞いた話によればどの道に入っても階層が同じなら違いはないけど入り口に傷がある道は既に誰かがその道を進んでいる証拠らしいからそれだけ確認しないとね」


 さて、立ち止まってから5分後。

 適当に横道へ入ることにする。

 ヘーテルが告げるように、この迷宮で横道に入るときに約束として、入り口に何かしら傷をつけるようにと言われている。

 これは暗黙の了解とかじゃなくて迷宮に入るときにこっちの世界の人に言われた注意事項だった。

 なんでもその傷はその通路に人がいる限りは残り続けるらしく、傷をつけている限りその通路は使用中なのだと分かるようになっているからだそうだ。


「外が無駄にリアルなのに比べてこっちは無駄に効率化されてるよな」

「まるで急ごしらえのような印象を受けるわ」


 実際急ごしらえなのではないか。

 そう思わずにはいられない。

 というか、むしろそうであって欲しい。

 だって、急ごしらえでなく普通にこれでいいのだと決めてこんな迷宮作るとかいろいろやばいだろ。

 だからきっとこの迷宮は急ごしらえなのだ。

 だが……その割には現地人の反応が自然すぎる気がした。


「いや、ないな。ないない。絶対無い。この迷宮は絶対急ごしらえだ」

「……? 突然なに? まあ、急ごしらえだってのには同意するけど」

「いや、なんでもないさ」


 自分に言い聞かせていると、ヘーテルに怪訝な目で見られてしまった。

 よし、今後迷宮の裏事情について考えるのはやめよう。

 そんなわけで適当にごまかしつつ、傷の付いてない通路の入り口を見つけたので、傷をつけてからその通路へと足を踏み入れた。


 数分歩いていると小部屋があったが、そこはセーフティエリアであった。

 ここが仮拠点になるわけだな。

 で、更に先へ進める通路があり、その通路は登り階段になっていた。

 もちろん、今はセーフティエリアに用は無いので階段を登る。

 そして、それなりに長かったその階段を登りきるとと学校の体育館のような高い天井に覆われた広々とした空間に出た。


「お、結構広いな」

「この広さだと隣接する通路と干渉するし、さっきの階段はそれを避けるためかしら?」


 その光景を見てヘーテルが立てた推論になるほどと感心した。

 通路は大体100m間隔であったが、この空間の横幅は明らかにそれ以上ある。

 今いる位置は左右の壁から丁度真ん中のように見えるし、目算でそれぞれの壁まで200mくらいありそうだ。

 そうなると壁から壁までは400m程。

 先を見ればこの横幅の空間が延々と続いていて、終わりが見えない。

 思ってたよりもずっと広いな。


 だがいくら広くてもこれだけ見渡せるほどなにもないのなら面白味に欠ける。

 そこまで考えたところで空間に変化が生じる。


「ほう……」

「少しは楽しくなりそうね」


 空間に魔力が溢れ、殺風景な空間が深い森の中のような景色へと塗り替えられていく。

 壁は苔むした石壁のように姿を変え、その壁の近くから侵食されていくかのように地面から急速に植物が広がって、気づけば辺りは深い森の中となった。

 そんな変化を見せた迷宮に俺もヘーテルもこの先の冒険に期待でテンションが上がる。


「これはなんだろうな? 幻? それとも実際に環境が変化したのか?」

「ミラージに調べてもらったら? 幻なら似た特性同士見破ってくれるかもしれないし」

「そりゃいいな! 顕現せよ、ミラージ!」


 この光景が幻が現実か。

 ヘーテルに提案された方法で確かめてみる。

 現れたミラージは早速、その存在が朧気になりやがて消えていく。


「へえ……どうやらこの光景は幻じゃなくて本物みたいだな」

「一体どういう仕組なのかしらね」

「まあ、さっき魔力が溢れたからな。何かしらの魔法なんだろう」


 周囲を探ったミラージから曖昧に送られてくるメッセージによればこの光景は全て本物らしい。

 原因はやはり、先ほど空間に溢れた魔力だろう。


「魔力……溢れてたの?」

「ああ。ヘーテルも感じただろ?」

「いいえ、全く。私にはただ、突然景色が変わっただけにみえてその予兆は一切感じ取れなかったわ」


 だが、その魔力についてヘーテルは気づいていなかったらしい。

 あれほど分かりやすく魔力が空間を覆い尽くしたというのに気づかないはずがないのだが、ヘーテルが言うのだから間違いなく彼女は気づいていない。

 ならば、俺だけが感じ取れたことになるが……。


「んー、ステータスの魔力適合率か、あるいは<魔力操作>あたりか」

「なるほどね。その辺りが成長すれば空間を満たす魔力を感じ取ることも可能なのかもしれないわね」

「かもな」


 俺にあってヘーテルにないもの。

 そして魔力に関係しそうなものと言ったらこの二つだ。

 口に出した後で気づいたが<瞑想>の可能性もあるな。


 俺はこれまで散々瞑想をして魔力をより細かく感じ取り、操ってきた。

 だからこそ、急激に魔力が溢れた先ほどの現象を感じ取れたのかもしれない。


「でも、そんなふうに周囲の魔力を感じ取れるならそこからもっといろいろと情報を得られるかもね?」

「気配とかか? んーやってみるか」


 ヘーテルが冗談めかしながらもある可能性を挙げる。

 どうだろうか。

 そういうのはまた別のスキルの効果のような気もするが。


 そう思ったが、折角だからここはまず試してみることにした。

 彼女の思いつきはバカにできないからな。


 そんなわけで周囲の魔力をよりはっきりと確認するため、目をつむる。

 ヘーテルの生産を手伝うときの感覚を思いだしながら自分の内の魔力をはっきりと捉え放出と回復を同時に行う。

 普段からやっていることなのでもはや慣れたものだ。

 今回はそこから認識を広げていく。

 内にばかり向けていた意識を少しずつ外に。

 放出した魔力がどう広がっているのか、どう動いているのかを少しずつ追跡していく。


 やがて極めて狭い範囲だが外側の魔力を感じとることができた。

 最終的に自身より1mの範囲の魔力を感じ取れるようになったが、それ以上範囲を広げることはどうしてもできなかった。

 だがその1mの範囲内にいたヘーテルの魔力を感じることができたのでこの認識できる範囲を広げられたら色々と便利そうだ。


《――<魔力感知>の取得条件をクリアしました。取得しますか》


 と、ひとまず魔力を感じ取ることをやめて目を開けると同時にそんなアナウンスが脳裏に響いた。


「おや?」

「何かあったの?」

「いや、<魔力感知>っていうスキルを取得できるらしい」


 俺の反応に気をかけてくれたヘーテルに状況を説明する。


「へえ! じゃあ、さっきのはうまくいったのね!」

「おう……なんで突然テンション上がったんだ?」

「だってそのスキルの名称から察するに空間の魔力なんかをより細かく感知できるってことでしょう? ってことは生産の時の魔力放出で使って制御すればより効率的に行える可能性があるってことじゃないの!」


 なるほど……確かに先ほどの間隔を思い出せば放出した魔力の流れをハッキリと感じ取れたし、であればそれを制御して指向性を与えるなんてことも可能かもしれない。

 その代わり俺は魔力の回復と放出のバランスを取る他にそれらの魔力を感じ取り制御する必要が出てくるわけで、その分難易度は一気に高くなるだろうけど……ヘーテルはその辺り一切考慮していないだろう。

 いや、考慮しても俺ならできると一方的に告げてやらされるに違いない。


「ふふ……! 次回の生産が楽しみになってきた! よし、一旦セーフティエリアに戻ってヒュージは<魔力感知>を有効化しなさい! で、その後は”常に”<魔力感知>を使って集中的にレベリングよ! そうね……とりあえず30Lvまでは上げましょう!」

「……了解」


 案の定ヘーテルの中では既に俺が<魔力感知>も用いて手伝うことが確定しているようで、さっさとスキルのLvを上げるための予定が組まれていた。

 予想通りとはいえ、コチラの意見を聞くこと無くこうもあっさりと決定されるとは少し驚きだ。

 まあ、別にそういった新しいことに挑戦するというのは嫌いじゃないし、何かしら目標があったほうが戦闘にも力が入るというものだから、意見を聞かれても拒否はしなかったけどな。

 彼女もこの流れに俺が嫌がったり拒否したりすることはないと分かっていてこその提案だと思う。


 その後は予定通りセーフティエリアまで戻り、俺は<魔法適正・水>と入れ替える形で<魔力感知>を有効化した。

 そして言われていたように<魔力感知>を常に発動する。

 すると魔力が徐々に減っていったので、同時に<瞑想>スキルも意識して発動した。

 ちょっとスキルに意識が集中しすぎて戦闘が若干難しくなりそうだが、慣れればきっと大丈夫だろう。


 そうして準備が整ったので今度こそ先ほどのエリアで戦闘をこなすため、再びそれなりに長い階段を登っていったのであった。

間隔が結構空いてしまい申し訳ない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ