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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
サモンパートナーオンライン(VRMMO)
36/72

第三話 東の森

 喫茶店を追い出され、このゲームが世界創生型ワールドクリエイションであると知ったあの後、俺たちは改めて互いのステータスを見せ合っていた。

 場所はスタート地点とは別の広場でだ。

 周囲に従魔を喚び出している人の姿がいても誰も騒がないので問題ないはず。


 さて、別に隠すものでもないので俺とヘーテルのステータスを記しておこう。

 当然ながら俺のステータスはともかく、ヘーテルのステータスについては本人から公開許可を頂いている。

 ってことで、まずは俺のステータスからだ。


 名前:ヒュージ

 性別:男

 魂力:1

 存在値:225/225

 魔力値:924/924

 存在強度:5

 魔力適合率:32

 器用さ:11

 素早さ:15

 幸運:1

 スキル

 <魔法マスタリー>Lv1 <適合率強化>Lv1 <素早さ強化>Lv1 <瞑想>Lv1 <魔力操作>Lv1 <魔法適正・無>Lv1 <魔法適正・風>Lv1 <魔法適正・土>Lv1 <拘束術>Lv1 <糸使い>Lv1



 と、まあこんな感じのステータスだ。

 このゲーム特有のステータスで若干分かりづらいが、魂力は要するにレベルで、存在値がHP、そして魔力値がMPである。

 それから存在強度は俗にいうSTRとHP増加だとかのやつを複合したものだ。

 魔力適合率はその対となるものでINTとかMP増加などのステータスを複合したものになる。

 後の3つは説明しなくてもわかるだろう。


 スキルの方はまあ、普通に魔法メインな構成であると思う。

 ざっくり言えば、魔法マスタリーは全ての魔法に関する威力や消費魔力に関わるスキルで、魔法適正はその属性のみの威力などに関わるスキルだ。

 魔法を覚える際はこの二つが必要になるらしいので魔法職でプレイするなら必須スキルだな。


 今回は無、風、土の三属性でプレイすることにした。

 適合率強化と素早さ強化はステータス補正スキルで他のスキルよりもステータス加算値が多いのが特徴だ。

 その分スキル自体に特別な効果があるわけではないので、スキル枠を消費するという意味では扱いづらい感じもある。

 とはいえ非有効化スキルでもステータス加算は半減された状態で加算されるようだから非有効化スキルをステータス補正スキルで埋めれば有用なはず。

 そう思って俺も試しに複数のステータス補正系スキルを選ぼうとしたが、どうやらステータス補正系スキルは二つまでという制限があったらしくそれは不可能だった。

 残念。


 瞑想は魔力値の回復を早めてくれるスキルだ。

 一応戦闘時でも効果はあるらしいが、通常時と比べてその効果は弱くなるとスキル説明にあった。

 魔力操作は魔力の操作がしやすくなるらしいが詳しくは分からない。

 この二つは補助スキルって感じだろうか。


 糸使いはサブの攻撃手段として取得した。

 合わせて取った拘束術と組み合わせて妨害にも使おうという魂胆である。


 ざっと説明するとこんなところだろうが。



 続いてヘーテルのステータスがこちら。



 名前:ヘーテル

 性別:女

 魂力:1

 存在値:533

 魔力値:380

 存在強度:17

 魔力適合率:11

 器用さ:32

 素早さ:1

 幸運:2

 スキル

 <魔法マスタリー>Lv1 <生産マスタリー>Lv1 <存在強度強化>Lv1 <器用さ強化>Lv1 <魔法適正・回復>Lv1 <魔法適正・付与>Lv1 <鍛冶>Lv1 <調合>Lv1 <皮革加工>Lv1 <木工>Lv1 



 と、こんな感じだった。

 既に説明した分は置いておいて、鍛冶、調合、革細工、木工というのが当然生産系のスキル。

 これも生産マスタリーとセットで覚える必要があるためヘーテルはそれを取得しているわけだ。

 さて、魔法マスタリー、生産マスタリーとくれば武器マスタリーはないのかと思うかもしれない。


 実のところ当然あり、剣を振るったり斧を振るったりして戦うなら必須である。

 であれば俺の糸使いはどうなのかと思うかもしれないが、糸使いというのはサブ武器カテゴリーでしかないので問題ない。

 他にもサブ武器カテゴリーのスキルには<投擲>や<罠使い>、<笛>などがあった。

 というか、武器といわれると首を傾げてしまうが、攻撃手段としては無いこともない、そんな感じの物がこのカテゴリーに属するらしい。

 なお、拳やら蹴りやらを含めた<格闘>はメイン武器カテゴリーであるため、武器マスタリーが必須である。

 格闘家は全身が武器だとかそういう理論だろう。


「こうしてみるとヘーテルはやっぱり生産型だよな。サブ武器が無いってことは戦闘は後方支援専念か」

「いざとなれば鍛冶用の槌でぶっ叩くわ」

「……そんなことできんのか?」

「大抵のゲームではできたし、この世界なら尚更できる可能性は高いとおもうわよ?」


 言われてみれば確かに。

 この世界は生きているのだから。

 鍛冶用の槌でも攻撃に使えばそれなりに効果があってもおかしくはない。


「それにそれがダメだと完全生産特化でスキル組んでたら詰むじゃない」

 

 と、身も蓋もないことをヘーテルが付け加えてきた。

 まあね。

 材料無ければ生産はできないから確かにそうかもしれないけども。

 けどそれはあくまで戦闘についての話であって最初から戦闘を無視して薬草採取などで最初は金を稼ぎ、後は材料購入してって手段もある。

 なによりだ。


「パートナー……従魔がいるからなあ」

「まあね。だから私も絶対使えるとまでは思ってないし、その時はその時よ。それにそもそも現状ではその槌すら持ってないし? それにあんたが言ったようにフラルもいるから問題無いわ」

「それもそうか」


 結局のところそう難しく考えることでもなかった。

 まだまだこのゲームも始まったばかりなのだからわからないことだらけなのは当然だし、これから少しずつ解明していけばいいのだ。






 そんなわけで互いのステータスについても打ち合わせが終わった俺たちはその後、協会とやらへいきそこで迷い人登録をして軽い説明を受けた。


 そして、今。

 俺たちは街の東側から門をでて多くの魔物が住まうとされる森へと向かっていた。

 協会での説明?

 とどのつまり冒険者ギルドでした。以上。


 実際はホント異世界迷い込んだみたいなくっそめんどくさい手続きやらなんやらがあったけどまとめると結局何か特別違うってものはなかったのだ。

 仕方ないのでとりあえず東の森の魔物退治という協会発行のクエストを受けたというわけだ。


 ちなみにこうして森に向かうのは二回目である。

 一回目は森に入った直後にモンスターと出くわしたのだが、その時になってようやく俺たちは重大なミスをしでかしていることに気づいたのだ。


「よし、んじゃ早速……あれ」

「何やってんのよ」

「いや、魔法……なーんも覚えてないなっていう」

「あっ」


 と、いざ戦闘だというそのタイミングで俺たちはどちらも何一つ魔法を覚えていないことに気づいたのである。

 魔法マスタリーも魔法適正もどちらも威力アップや消費魔力軽減、そして魔法を覚える条件でしかなく、つまりは魔法は魔法で予め覚えておかねばならなかったのだ。

 幸い、ミラージが敵を幻惑し、その隙にフラルが火球をぶつけてモンスターを倒すことに成功して街へと戻ることができたので被害はなかった。


 尚、多くのプレイヤーがこの洗礼を受けていてVRコミュニティ広場に作られたサモンパートナーオンライン区画は嘆く人々で溢れ、阿鼻叫喚な状態となっていた。

 説明するまでもないことだが、VRコミュニティ広場というのはまあ、文字通り人々が交流するVR広場である。

 なんというべきか昔ながらの掲示板のノリを実際に身振り手振りも加えてやっているようなものである。

 時折実体化した文字が降ってきたり、投げつけられたりしてくるカオスな場所だ。


 このシステムもそれなり好評なのだが、昔ながらの掲示板のほうがシンプルでいいという声も多く、掲示板サービスは昨今においても未だ健在だ。

 ちなみにその掲示板のほうも洗礼を受けた者が嘆いていた。


 そんなわけで一度街に戻った俺たちは協会で魔法の覚え方を尋ねれば魔法球を買って使えということだった。

 協会内の窓口から買えるとのことだったので見てみると、多分一番下級のものなのだろうと思われる魔法球がそれぞれ一個1000Sで売られていた。

 初期資金全部使って3つ。

 少し資金を残しておくとしたなら2つしか覚えられないが、ここは全部魔法を覚えるのに使うことにした。

 そして覚えたのが無属性魔法のショック、風属性魔法のウィンドボール、土属性魔法のアースニードルである。

 ヘーテルはヒールだけ覚えて残りのお金で鍛冶用の槌を購入していた。


「さて、リベンジだな」

「ぶっちゃけフラルとミラージで十分そうだけどね」

「言うな」


 俺の言葉に槌を担ぐようにしながら身も蓋もないことを言うヘーテル。

 思わなくもないけど言うんじゃない。

 そして、いよいよ森へと足を踏み入れた。

 今度はすぐにモンスターが現れるということもなく、しばらく平穏な時が続く。


「全然モンスターと出会わないな」

「そうね……ん?」

「何か来るっぽいな」


 かれこれ30分程森を歩き続けてもモンスターと出会わないそんな中、ヘーテルと会話していると、彼女が何かに気づいたように視線を横へ向ける。

 それにつられて俺もそちらを見れば何やらガサガサと草が激しく揺れてだんだんとこちらへ近づいてきているのが分かった。

 俺とヘーテルはいつ襲われてもいいように構え、こちらへやってくる何かが姿を現すのを待った。

 そして現れたのは……


「っ……なんだ、プレイヤーか」

「もー全然モンスター見つかんないじゃん!」


 プレイヤーの二人組だった。

 片方は高校生ぐらいの背格好の男。

 もう片方は中学生ぐらいの小柄な男の子。

 どことなく二人は似ているのでもしかしたら兄弟かもしれない。


「……どうやらいろんな意味でお仲間らしいな」

「モンスターと出会わないのは私達だけじゃなかったのね」


 目の前に現れた、俺たちと同じようにモンスターと出会えていない二人組をみて俺もヘーテルも肩を竦めた。

 その言葉が聞こえたのだろか、高校生ぐらいの方の男が声をかけてきた。


「ども、僕はカイっていいます。あなた方も当然モンスターを狩りに来たんですよね?」

「ヒュージだ。まあ、当然だな」


 名前を紹介しつつそう尋ねてきたのでこちらも名前を答えつつ、質問にも応える。

 カイっと……覚えたぞ。


「で、全く出くわさないと」

「ああ。そっちもだろ?」

「ええ、かれこれ1時間ほど」


 なんと彼らは彼らで1時間も森の中をただ歩いているだけらしい。


「一応2時間ほど前に来た時は森に入ってすぐモンスターに襲われたんだが、なんなんだろうな」

「僕らもさっぱりですよ」

「……もしかしてここらのモンスターは森の奥に逃げちゃったのかも?」

「えー? なんでモンスターが逃げるんだよ」


 俺とカイが首をひねっていると、ヘーテルが横から推論を述べてきた。

 その推論に中学生っぽい子がわけがわからないといった反応を見せる。


「この世界は生きているようだから。一斉に森へと狩りに出た私達迷い人の存在が広まったとすればありえなくはないと思うわ」

「あー……モンスター側からすれば突然大規模な山狩りをされてるようなもんか」

「なるほど……世界創生型ワールドクリエイションならでは、ですか」


 捕捉するようにされた説明に納得し、横でカイくんも納得した様子を見せていた。


「んー? 兄ちゃん、どういうことだ?」


 っと、中学生っぽい子はまだ理解しきれていないようで、カイに説明を求めていた。

 というかやっぱり兄弟だったみたいだ。


「えっと、ゆ、……ユウも普通に街を歩いている時に突然大勢の人に追われたらビビっちゃうだろ? モンスターも同じなんだよ」

「俺はビビんないぞ! でも、一応分かった! 動物と同じように臆病なんだな!」


 そんな弟くん……ユウか。

 ユウにカイは現実での状況に例えて説明したが、ビビっちゃうって言葉にユウはちょっとムッとなっていた。

 だが、それでも一応理解はしたようである。

 名前を呼ぶときに少し間があったのは本名の方で呼びそうになったからかね。


「じゃあ、もうこのまま粘ってもモンスターとは戦えないのか」

「その可能性も大いにあるな」

「むー可能性があるーとかはっきりしろよー」

「俺も神様じゃないからな」


 ユウの呟きに肯定すれば、ハッキリしろなんて言われたので肩をすくめつつ適当に返す。

 世界創生型ワールドクリエイションはこういうことがあるから本当に予想がつかないのだ。


「さて、これも何かの縁だしパーティーでも組まないか?」

「あ、いいですね! お言葉に甘えさせてもらってもいいですか?」

「こっちから誘ったんだし、遠慮するなよ。 なあ?」

「ええ、もちろん」


 モンスターを狩るという予定は大幅に崩れたわけだが、せっかくだしパーティーを組まないかと提案してみれば良い返事が返ってきた。

 ユウからの返事はなかったので視線を向ければ笑って親指を上に向けていた。


「よし、じゃあ改めて俺はヒュージ。一応魔法タイプでプレイしてる」

「ヘーテルよ。生産職がメインで、戦闘では回復役ね」

「カイです。職業で言えば剣士でプレイします」

「俺はユウ! メイン武器はこのハンマーだ!」


 パーティーを組むことが決まったので改めて自己紹介し、俺たちはパーティーを組むことになった。

 なぜかパーティーリーダーは俺になったのだが、ヘーテルはもちろんカイもユウも不満はないようだった。

 それからパーティーを組んだならもうちょっと強いモンスターが来ても大丈夫だろうって話になり、モンスターが強くなると協会で言われていた北の森へと移動し始めたのであった。

活動報告にて今回使ったステータスを作成するのに使った表計算ファイルを公開してます。

良ければ適当にスキル追加したりして遊んでください。

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