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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
R&R(ハックアンドスラッシュ)
31/72

R&R 2

 最初のラッシュから3回ほどラッシュを突破したところで特殊技能を使うためのゲージが溜まりきった。

 視界端に表示されているステージ到達度を見れば40%っていったところなので特殊技能はそのステージで2回使えるぐらいといったところだろうか。

 ゲージ自体は敵を倒すごとに徐々に溜まっていたのだが、何回か倒していない時も溜まっていたのを確認していたし、他の3人も同じタイミングでゲージが溜まったようなのでゲージはパーティ全体でどれだけ敵を倒したかによって増加するようだ。

 まあ、そうでもないとシールダーとかどうしても敵撃破率が下がっちゃうから妥当なシステムとも言えるな。


「んーとりあえず次のラッシュの時に開幕で1回使ってみるわ」

「了解ッス」

「吾輩も異論はないのである。ただ、吾輩の特殊技能も範囲系のようなので状況を見て使うのである」

「確か、バクダンだったナ? 手をスベらせて自爆スればいいナ!」

「手を滑らせてマイケルの頭に全部落としそう」


 とりあえず特殊技能を使ってみることを3人に伝えた。

 それにラッピーやタキモトは普通に返してくれたのだが、マイケルが期待するような笑みを浮かべながらふざけたことを抜かしてきたので全部コイツにぶつけてやろうかと言葉を漏らす。


「気持ちは分かるけどもったいないからまじめにやるッス」

「然り! マイケル如きに使うのはもったいないのである!」

「それもそうか」

「オウ……コレがジャパニーズバイオレンス! オソロシイ」


 思わず漏れた言葉にラッピーとタキモトがもっともな理由とともに諭してきたので俺も納得してマイケルに爆弾をぶつけるのはなしにした。

 そんな俺達の会話にマイケルは大げさな動作で天を仰いだかと思えば片手で顔を覆い項垂れる。

 わざわざ注釈を入れるまでもないが彼の動作の全ては演技である。

 お約束とも言える。


 そんな会話をしながら先へと進んでいると何やら今まであった広間よりもずっと広い空間へと辿り着いた。


「到達度的に中ボスか?」

「それっぽいッス」

「どっちにしろ全員特殊技能を使うことになりそうなのであるな」

「今までよりも広い……それだけ敵が多くなる……フフ……血が騒ぐゾ……血が騒ぐぞォォォォ!」


 あ、マイケルのスイッチが入った。

 最初のラッシュの時の姿からも分かるように普段はおふざけキャラなのに戦闘に入るといっつもバーサーカーになるからな。

 まだ戦闘は始まってないがこれまでの広間と違った様相に期待してしまったのだろう。

 まあ、バーサーカーとはいっても思考能力が落ちてるわけでもなく突然敵味方関係なく暴れるっていうわけではないのでそんなマイケルを見て俺もラッピーもタキモトも仕方が無いなと肩を竦める。


「来たな」


 そして大広間の中心まで脚を踏み入れると入ってきた入り口に大岩が降ってきて道を塞がれ先へ続く道も同じように塞がれた。

 それから周囲の地面に無数の黒い影が現れたかと思うとその影が盛り上がるように立体化していき、あの影のような異形へと姿を変え一斉に襲いかかってきた。

 早速特殊技能を使いたいところだが影の異形が現れたのは広間の端のほうで特殊技能である火遁・爆裂玉の射程に入るまで少し距離があり、もっと近づいてくるまで待つ必要があった。

 この特殊技能、結構射程が短いのだ。

 その状況を見てタキモトが口を開く。


「ふむ。この距離ならばまずは吾輩の特殊技能をお披露目するのである!」


 逆にタキモトのクラス、アーチャーの特殊技能の射程は長いらしい。

 まあ、弓を扱うクラスなのだからそれも当然だろう。

 最初は俺が使ってみる予定だったが予定は予定。

 状況によって取るべき行動は変わってくるのだから文句はない。

 ひとまずは特殊技能が如何程のものか見させてもらうことにしよう。


「無数の矢に射抜かれるがいいのである! 【アローレイン】!」


 タキモトがそう叫ぶように告げ、ほとんど真上へと向けて弓矢を射つ。

 すると放たれた矢は一条の光となって天へと消えた。

 それを追って天を見上げていたら何やら無数の黒い影現れた。


「あーなんかああいうの映画とかで見たことあるッス」

「結構古い時代の戦争系な。弓兵が一斉に射撃するやつ」


 その光景にラッピーが漏らした感想に俺も納得しつつ言葉を返す。

 天に現れた黒い影。

 それは影ではなかった。


 それは無数の矢が雨のように降り注がんとするその瞬間の光景だったのだ。

 そしてその無数の矢はタキモトを中心に周囲20メートルから30メートルの間の空間に降り注いだ。

 矢が地面に、そして影の異形に突き刺さる音はその数が数なだけに恐ろしいものだった。

 攻撃のラグをタキモトは見極めていたようでその1回の攻撃によりかなりの数の異形が倒され姿を消していった。


「でもまだまだいるな」

「ぬおおおおおおお! 異形のモノたちめ! 早く来い! 全て蹴散らしてくれようぞ!」


 マイケルもその光景に興奮度があがったらしい。

 すごい攻撃的になってる。

 だからといって飛び出すこともないのでなんだかんだで冷静なのだろう。


「そろそろ俺の出番か。ラッピー、協力頼む」

「協力って何すればいいッスか?」

「映画とかでよくあるジャンプのやつだ」

「ああ、了解ッス」


 再び無数の敵が接近してきたので今度は俺が特殊技能を使う。

 その際ラッピーにも協力してもらうことにした。

 俺はラッピーと向き合い走りだす準備をし、ラッピーは巨大な盾を斜めに構え腰を落としている。


「いくぞ!」

「任せろッス!」


 声を出してタイミングを合わせ駆ける。

 そしてラッピーの手前でジャンプして盾の上に乗ると同時にラッピーが絶妙のタイミングで盾を思いっきり押し上げてくれる。

 俺もまた押し上げられる盾を蹴ってさらにジャンプすればニンジャのアクロバット補正も合わさって結構な高さまで到達した。

 ところでこの二人で行うジャンプ法の名称ってなんだったか。


「吹き飛べ! 【火遁・爆裂玉】!」


 ジャンプ法の名称はともかく、俺は空中で特殊技能を発動する。 

 すると特殊技能スロットに10という数字が表示され、同時に俺の両手に爆弾が現れた。

 現れた爆弾を敵集団へと投げれば即座に手の中に爆弾が現れ、スロットの数字が減ったので、数字は爆弾の数であるようだ。

 また、投げれば即座に補充されるようなので俺は滞空している間に素早く爆弾をそれぞれ別の方向、周囲にばら撒くように放り投げた。

 空中高く飛んでから使ったのでいくらか投擲の距離も伸びたので結構敵集団の中心に投げ入れることができたと思う。


 ドドドドドドドドドドーンと、俺が地面に着地するとほぼ同時に投げた爆弾が着弾の衝撃で着火し、大爆発を起こす。

 その威力は一つで周囲5m程を吹き飛ばすものでかなり派手な爆発であった。


「耳がー!」

「ぬおおおお」

「ファッ○ン!」


 その爆発がダメージを与えたのは敵だけではなかった。

 HPダメージこそなかったがそれなり近くで起きた複数の爆発音に友人たち3人が耳を抑えて呻いていたのである。

 俺?

 なんかこの特殊技能を発動したのと同時に耳栓が装着されたのでノープロブレムでした。


「汚いッス」

「流石ニンジャである」

「汚いDeath」


 それを告げたらノリの良い反応が返ってきた。

 ニンジャだから仕方がない。

 まあ、まさかの味方への被害はともかくタキモトの放った【アローレイン】と俺の【火遁・爆裂玉】による爆発で敵を相当数を削ることができたのでそのまま雑魚ラッシュを乗り切ることに成功した。


 だが、だからといってコレで終わりではなかった。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

「っと、ボスか」

「というよりは中ボスであるな」


 突然空からこれまでの雑魚とは明らかに違う3m程の巨大な異形が降ってきた。

 その異形も影のような存在だったがいかにも力が強いぞというようなマッチョな姿をしている。

 おそらくはコレが中ボスなのだろう。


「言ってる場合じゃないッス! 【フォートレス】!」

「流石ラッピー先生。初見の攻撃なのに見事にそれを察知してたな」


 呑気に予想を口にしていた俺たちにラッピーが注意を入れると同時に特殊技能を発動させた。

 するとラッピーの持っていた巨大な盾が更に巨大化して盾の下部が地面にめり込んだ。

 ラッピーがその行動をとったのと同時に、中ボスは弾丸のごとき速度で突進を仕掛けており、巨大な盾へと衝突する。

 その衝突の音は凄まじくまるで鐘の音を間近で聞いたかのようだ。


「我が刀の錆にしてくれようぞ! 【鬼気一刀】!」


 そうして突撃を防がれた中ボスはその突撃の衝撃が自らに跳ね返ってるのか動きが鈍くなり、それを見たマイケルが即座に特殊技能を発動した。

 するとマイケルの身体全体から赤いオーラのようなものが沸き立ち、その身と刀を覆っていく。


「キィヤーーーーー!!!!」


 甲高い声を上げながら踏み出したマイケルの動きはそれまでのものとは次元が違う速さと力強さを持っていてその状態から繰り出される攻撃がボス影を圧倒していた。

 ボス影も時折防御する姿勢をみせるのだが、マイケルの攻撃は防御ごと正面からぶち破っている。


 マイケルが圧倒し、中ボスを延々と怯ませてくれているので俺たちも遠距離攻撃でダメージを重ね、その結果あっさりと中ボスを倒すことができたのだった。





「特殊技能やべえな」

「思ってたより効果高いッス」

「使うときはちゃんと役割やタイミングを考えないといけないのである」

「ヌーハッハッハッハ! 我が刀が求めておる! さらなる血を求めておるぞォォ!!」

「「「……」」」


 中ボス戦も無事クリアして特殊技能について話し合ったのだが、どうやらマイケルのスイッチが完全に入ってしまったらしく、戦闘時でもないのにテンションがやばい。

 そんなマイケルの状態に俺たちはしばし視線を交わし、首を振る。


 放っておこう。


 口に出さずとも考えは一致していた。

 よくあることなので今更気にすることでもないのだ。


 それから俺たちはまさに快進撃と言っていい程順調にステージを攻略していきボス戦まで辿り着いたのだが、ボス戦も中ボスとやることは変わらなかったので詳細は省く。

 一つ言えることは完全にスイッチの入ったマイケルは最強であった。





 ボスを倒したらそこでクリアというわけでもなくて、先へ進める道が現れた。

 その道を進むと宝箱が4つあったのでここでクリア報酬を得られるということなのだろう。


《ステージ1 堕ちた港町をクリア》

《クリア報酬としてサブ武器【病み針】を入手しました》


 適当に宝箱を選び4人同時に宝箱を開ければステージクリアと、装備を入手したことを知らせるアナウンスが入る。

 手に入れた装備の詳細を確認すると針型手裏剣で、刺さった対象に毒を付与する手裏剣のようだ。

 毒はダメージを与えるだけでなく動きを阻害する働きもあるようなのでボス戦では重宝しそうである。

 反面この武器は弾数が15発と制限されているので雑魚ラッシュの時には使いづらそうだ。

 そもそも数で攻めてくる雑魚を数匹毒にしてもほとんど意味をなさないのでこの手裏剣は対ボス用のものといったところだろう。


「初期装備と被ったッス……」

「【ウィークショット】……一定時間頭を射抜いた時のダメージが2倍~3倍上がる特殊技能のようである」

「なんの効果もナイ【鉄の槍】デシタ。長柄の武器は好みジャナイのでイリマセーン」


 何を手に入れたのか確認し合ったが、なんとなく当たりの報酬を得られたのは俺とタキモトかな?

 結構キャラ強化に繋がる物が得られたよう感じる。

 こうしていろいろな特徴の武器や特殊技能が得られると思うと非常にワクワクする。


「ま、いいッス。次こそ有用な装備を手に入れるッス!」

「キット、ヨートー(妖刀)もあるハズ!」


 どうやらそれはハズレ報酬だったラッピーとマイケルも同じようでもう次の事を考えている。

 黙ってタキモトへと視線を移せば彼もやる気に満ちた表情で頷いたので同じ気持のようだ。

 もちろん俺もすぐに次のステージへ向かいたいという思いだったのでステージ2のものを選択してゲームを開始したのであった。




 それから俺たちは新たな装備や、さらなる強力な装備を求めて何度も戦い続けることになる。

 結構装備の種類も多いのでなかなか長く楽しめそうなゲームだったので嬉しい限りだ。


 そんなわけで、ハクスラゲー『R&R』のプレイログはコレにて終了である。

 やはりハクスラゲーはどうしても似たようなプレイの繰り返しになるので長々とログを残すのには向いてない。

 この面白さはやはりプレイしないと分からないことだと思うので少しでも興味持ったら是非プレイして見て欲しいところだ。

ハクスラゲーム編はこれで完結


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