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VRゲームで遊ぼう  作者: イントレット
The Endless War(リアル系FPS)
12/72

The Endless War 4

 さてこっからは基地脱出ミッションだ。

 しかも敵は既に俺がこの区域一帯にいることは掴んでいるだろうから大挙して押し寄せてくるのも時間の問題だ。

 それを何とか抜けたとしても脱出までに時間がかかるとその間に爆薬が解除されかねない。

 一応見つけづらい場所に隠してはいるが絶対はないからな。


 めんどくさいな。

 果てしなく面倒だ。

 そもそも大挙して押し寄せる兵士から逃げて出口に向かうことができるだろうか。

 ここへ至る道は結構な距離が一本道となっているし、まず正面からかち合うだろう。

 まあ、最悪このまま起爆して任務達成と同時に死に戻りしても一向に構わんが。

 報酬は2割ほど減るが、それでも十分な稼ぎは得られるだろうしな。


 まあ、限界まで抗おう。

 ってことで俺は起爆装置を使って、ここまでの道中に仕掛けたC8爆薬を一斉に起爆した。

 ブービートラップの時とはレベルの違う大きな揺れがするとともに結構な大きさの爆発音が響いた。

 しかもその後もなんども爆発が起きたり何かが破裂したりといった音が響いている。


 なにせ、爆薬を仕掛けた補給庫の内の幾つかは弾薬などが保管されていた場所だからな。

 いろいろと誘爆を起こしているんだろう。


 それに爆発とは違う音。

 なんていうか地響きみたいな?

 それも膨大な量の土砂が崩れたかのようにゴゴゴゴゴという音が鳴り響いている。


 ってこれ一部崩落したか?

 使った爆薬自体は各部屋分を吹き飛ばす程度だったから誘爆したモノの中に殊更威力の高いものがあったってことか。

 そうなると通路もいくらか潰れてるだろう。

 脱出経路全滅してなきゃいいが……。


 不安が募るが、ここはいつでも発電機に仕掛けた爆薬を起爆できるようにしつつ脱出を狙ってみることにする。

 ひとまず発電所のあるエリアを出てしばらく走る。

 一演技打って倒した兵士たちのいる曲がり角まで来たが兵士たちはまだ来ていないようだ。

 いくらなんでも動きが遅すぎる……ってそうか。

 ブービートラップによる爆発で兵士たちの多くがそちらへ流れていたのかもな。

 多分、ただ爆発で吹っ飛んだだけじゃなくて火災とかも起きてそうだし。


 まあ、これは希望的観測にすぎるか……。

 

「……チッ、噂をすればってか」


 そう考えていたのが悪かったのか不意にこちらへやってくる足音が聞こえた。

 結構足音の数は多く、とてもじゃないがまともに戦えるような数ではないようだ。


 仕方ないので半分死ぬ覚悟を決めていつでも起爆できるようにしながら警備を突破する際に爆薬で吹き飛ばした兵士たちの傍にうずくまるようにして死んだふりをする。

 ここら一帯は電灯が壊されて真っ暗なため、細かいところは見られないはず。

 相手としたら急いで侵入者を排除したいだろうからこの状況で味方の死体を細かく見ないはずだ。


 生きてるかもと救助に入ってくる可能性もあるがその時は諦めて起爆するしかない。。

 あの発電機に仕掛けられた爆薬ですぐにどうこうなるわけではないが、問題はそれにより発電機がまず間違いなく誘爆することだ。

 それによって間違いなく死に戻りをすることになるだろう。

 なにせあの高出力発電機が爆発すれば周囲1kmが吹き飛ぶ。

 それほどあの発電機はすさまじい。

 なにせ、超圧縮された水素の塊を使ったものだからな。


 さて、敵軍の一団がすぐそこまで来ている。

 そしてライトによって死んだふりをしている俺含む兵士の姿が照らされた。


 一度止まった一団はどういうわけか慎重に、俺や兵士の死体に触れないように進んでいく。

 はて?

 と思ったが、これもブービートラップの効果だろう。

 あのトラップによりここにある死体にもトラップが仕掛けられている可能性を考慮しているのだ。


 仕掛けててよかったブービートラップ。

 ありがとうブービートラップ。


 一団がそのまま通り過ぎた後俺はゆっくりと立ち上がり出口のほうへと向かう。

 ある程度は足音を立てて先の一団に気付かれないように慎重に歩き、もう大丈夫と判断したらそっから全力疾走だ。


 サブマシンガンなどは既に捨て去り手持ちの装備は起爆装置とハンドガンと小型の電動糸鋸に通信機、それに重量緩和装置だけだ。

 重量の大半を占めていたC8爆薬は既に使いきっており、身軽になった状態で重量緩和装置が働いて俺の身体はかなり軽い。

 この装置は荷物の重量を緩和しているのではなく総重量を半分にする効果のものだからな。


 だから俺の走る速度はかなり早い。

 それでいて軽いから足音もそこまで大きくない。

 風を切る音で敵の足音は聞こえないがもはやそんなことを気にする段階じゃない。

 ひたすらに走り俺は補給物資の搬入路を見つけた。

 これをたどれば出口に確実に辿り着けるな。


 兵士たちもそれなりいるがほとんどが消化作業に忙しいのと、どこかでケーブルが破損して十分な電気が来ていないのか電灯が薄暗くなっているために気付かれない。

 物資保管庫を爆破したからな……傍にあったこの路にも引火したってことか。


 それをちらっと見てから出口へ急いでいた時ふとあるものを見つけた。

 それはフロートバイク。

 バイクという割にタイヤなどはなく、その代わり名前の通り地面から少し浮いて進むバイクであり移動にはもってこいの乗り物だ。


 急ブレーキをかけつつ方向を変え、フロートバイクへと乗り込む。

 ハンドルカバーを外しあれやこれやとケーブルを繋ぎ直せばフロートバイクの動力が起動して地面から10cmぐらいまで浮き始める。


 アクセルレバーを全力で回し、一気に加速して俺は出口を目指す。

 途中すれ違った兵士に侵入者だとバレたようだが、消化に向かおうとしていたところで出会ったから撃たれることはなく、後ろへと置き去った。


「っと出口が見えてきたな。そろそろいいだろう」


 薄暗い搬入路を進んでいると、外のサーチライトによる光が見えたのでこの辞典で俺は発電所に仕掛けたC8爆薬を起爆した。

 その瞬間、これまでの爆発がおもちゃだったかのような爆発が起きた。

 しかし、フロートバイクに乗っていた俺はその揺れの影響をあまり受けずそのまま進む。


 俺自体は揺れずとも周囲の景色はこれでもかというほど揺らめいていて道から外れそうになることもしばしばあった。

 数秒後、出口から出た直後に爆発の衝撃波によりバイク全体を揺さぶられて必死に耐えながらも何とか転倒すること無く止まることができて、顔を上げて崖のほうを見たら土煙の柱が上がっていて、崖が見るも無残に崩れ落ちていく光景があった。


「っと、呆けてる場合じゃない!」


 俺は急いでアクセルを吹かし、基地の陣地から脱出。

 外へ出ても速度は緩めず性能の許すかぎり速度を出して基地があった場所から離れる。

 ミラー越しに後ろを見れば岩やら大量の土砂が地面へと叩きつけられていて道路を壊し尽くしていた。


 判断がもう少し遅ければ今頃俺はあの瓦礫によってぺしゃんこだったな……ナイス俺!

 自分で自分を褒めつつ、もう大丈夫だと確信できたところで停車して後ろを振り返る。


 夜でややわかりづらいが巨大な土煙が上がっているのが分かる。

 それを見て湧き上がる達成感のなんと心地よいことか。

 やっぱり隠れて隠れて最後にド派手な花火を仕掛けるのはたまらんね。


 とりあえず作戦の成功を伝えるために司令部へと通信を入れる。


「こちら《一匹狼》敵の補給基地を破壊した。繰り返す、敵の補給基地を破壊した。超圧縮水素発電機を吹き飛ばしてやったぜ」

「こちら司令部。完璧な任務遂行、お見事だ。後ほど偵察機を使って確認するがひとまずよくやった。お疲れのところ悪いがすぐに帰投し報告を頼む。報酬は十分用意しておくから我慢してくれ。」

「イェッサー!」


 成功を伝える通信も短く終わる。

 通信相手こそ落ち着いた様子であったがその背後で歓声が聞こえていたので喜んでいないわけではないようだ。

 まあ、当然か。


 さて、さっさと帰るとするか。

 ジャングルの中を糞重い装備背負って進むわけでなく、フロートバイクで進むなら半日もかからず帰れるだろう。





 その後、無事基地まで帰投した俺は詳細を報告、偵察機でも確認できたため莫大な報酬を受け取ったのだった。

VPFPS編はこの話で終了です

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