怪物を狩りし者
見渡すばかりの砂漠に一人の男が立っている。
鎧の上からでもわかる鍛え抜かれた筋肉、返り血がこびり付いた双剣。それを見るだけで男が只者ではないことが分かる。
その男の姿を人はこう呼ぶ。
「狩人」と。
狩人と対峙するは雷を纏う狼。
その青い双眸からは、狼もまた多くの人間を狩ってきた「狩人」であるのが見て取れる。
互いに一歩も引かずに睨み合う「狩人」と「狩人」。
先に仕掛けたのは狼だった。
雷を纏った体で背中からのしかかる。
当たれば必殺のその攻撃を前に狩人は動かない。
狼の必殺の攻撃が狩人の目前まで迫った。
瞬間、狩人は前転で回避する。
それは、狩人幾重にも渡る戦闘経験と、類稀なる動体視力がなければ成立しなかったであろう紙一重の回避だった。
自分の必殺の攻撃を回避された狼はその勢いのまま地面に叩きつけられる。
百戦錬磨の狼の動きが止まったその瞬間を狩人は見逃さなかった。
二本の剣を引き抜き、狼に向かって嵐のような連続攻撃を叩き込む。
攻撃の回数が15を超えたその時、狼の尻尾が宙を舞って地面に落下していく。
同時に狼が起き上がり、狩人から距離を取る。
狩人も防御の姿勢をとるのかと思いきや、狼の尻尾の所まで走って行き、小型のナイフで何やら作業を始めた。
とても幾重にも渡る戦闘経験があるとは思えない行動だ。
狼も動揺して、動くことができない。
その間に作業を終えた狩人がもう用は済んだとばかりに狼に向かって攻撃をぶち込む。
さっきのはお遊びだったと言わんばかりの猛攻に、ついに狼が崩れ落ちる。
すると何故か狩人が慌てだし、急ぎ気味で狼にナイフをつきたて、何か作業を始めた。
1分ほど作業をしていたかと思うと、突如狩人が消え、天から声が聞こえてきた。
「うーわ、マジかよまた玉でねぇじゃねえかよー。」
「しゃーねぇ、もっかい行くか。」
30秒後、再び狩人VS狼の戦いが始まる。