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ガストノーセン五日間の旅   作者: 丘野 境界
第二章 巨大都市・グレイツロープ
58/155

青い羽根にまつわる収録されなかった短文(4)

 さて。

 前回の話の続きだが、実は僕とケイの会話の一部を割愛していたりする。

 というのもまあ、例によって本文に組み込む訳にはいかない、荒唐無稽な内容だからである。

 流れとしては、ケイが自分の家庭の事情を話し、スッキリし終えたところからの続きとなる。


 ケイは、僕の胸元を指差した。

「それにこの旅、お主の青い羽根の件もあるしの」

「これか」

 ジャンパーの内ポケットには、不思議な力を宿した青い羽根を忍ばせてあった。

「拾ったと言ったの?」

「ああ、ヒルマウントのパレードで。てっきり、あれに出てたチルミー役の人の羽から落ちたのかと思ってたんだけど、違うらしいよなあ」

「それじゃがの。ほぼ同時期、近い場所で青羽教の支部が襲撃に遭ったという話じゃ」

「バスの中で見たニュースだな」

「そして、その騒ぎに乗じて、ユアン・スウ教授や他拉致されていた学者達が逃げ出した。教授の話では、信者達がお迎えが来た祈りが届いたと大騒ぎしておった。それを見計らうように、謎の人物がその支部を壊した……なるほど、()()()()()()()()()()()()()?」

「え……」

 思い返してみると、確かに教授はそんな事を言っていた。

 お迎え。

 何を迎えた? いや、()()、か。

「彼奴等の教えとは、神を迎える事であろ? 報道が規制しておったのかもしれぬが、そうではなくそのまんまの情報(ニュース)が流れておったとすれば、お迎えした()()はどこに行ったのかのう?」

 その、お迎えしたモノに関しては、ニュースでは流れていなかった。

 つまり、その前に逃げ出した。

 それは、おそらく空を飛べる。

 その真下で、()()()()()()()()()()()()()()……。

「……よく分からないけど、偶然僕の頭上を、通り過ぎたって事?」

「主語が非常に曖昧じゃが、それなら一応の説明がつくであろ? そして昨日今日の出来事から鑑みるに、捨てるのは悪手じゃの」

「価値的にもね」

 これが、その、本物だとしたら国宝級どころじゃない。

 神器とか宝具とか、そんなクラスの代物だ。

「うむ。じっくり調べてみたいところじゃが、それは後回しじゃ。あと、それとは別に、こうなるとあと()()、出て来る覚悟はしておいた方がよかろ」

「それについては、深く考えたくない。僕はあくまでただの旅行者だ」

「ま、そこはそれでよいと思うがの。他者の思惑など、妾達の知った事ではない」

「だよな」

 変に使命だの言われても、困る。

「何にしても、妾としては面白い。脳がバシバシ刺激されまくりなのじゃ」

「ああ、あれか、インスピレーション」

 そういう意味では、ケイの旅の目的は順風満帆と言ってもいい。

「うむ。不老不死に加速能力、記憶移植を用いた転生術と来て、次に何が出てくるか楽しみなのじゃ。くくく、今宵は興奮して眠れぬかもしれぬ……」

「いや、そこはしっかり寝てくれ。明日、寝不足のままじゃ困る」

 そして僕らは、喫茶・蒸気屋を出た。


 以上。

 次に白戸先生視点での、ケイのお父さんとの今後の打ち合わせ風景を以て、二日目は終了となる。

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