青い羽根にまつわる収録されなかった短文(1)
以上が僕の旅の動機だった訳だが、実はもう一つ動機があったりする。
正確には、動機は同じだけど原因が違うというべきか。
書いても信じてもらえそうもないし、そもそもノンフィクションにこの手のファンタジーを混ぜるのはどうかと思うので、本書に記載はしない。
が、これはこれで、僕の体験した出来事だし、ついでに書いておこうと思う。
ショーウィンドウで自分の顔を見ていた時、風が吹いた。
胸ポケットに挿した青い羽根が揺れて、力を感じた。
そして、やたらリアルな未来を見た。
……いや、自分で書いててちょっとどうかと思うんだが、実際こうだったんだからしょうがない。
何らかの白昼夢、という線は充分にあるし、不安定になっていた精神を落ち着かせる為、脳が見せた幻覚だったのかもしれない。
とにかく、僕は未来を見た。
僕が警察に頼った場合の展開は、僕の妄想のようだが、実はその時見た幻覚そのモノだ。
警察に保護され、その後先生が迎えに来る。
ホテルに戻るとクラスメイト達の嘲笑が出迎え、特に葛原達の爬虫類めいた気持ち悪い笑いが記憶に残る。
そして、何故一人で行動したのか、弁解すると弁解するな、と無茶を言われる。
謹慎と反省文で、翌日からの旅行では外出禁止を言い渡される。
結局、修学旅行の五日間をホテルで済ませ、帰国する。
……とまあ、そこまで見えた。
信じてもらえないだろうし、信じてもらえるとしてもこんなもん本に載せる訳にはいかないだろう。
という訳で、ここにのみ記す。
なおこの妙な青い羽根だけど、この旅でここ以外でも何度かその力を発揮する。
この日、二回目の力が放たれるのは、ユフ王の育った地、ラクストックの森になる。