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ガストノーセン五日間の旅   作者: 丘野 境界
本編 『ガストノーセン五日間の旅』
3/155

まえがき

 二年ほど前のニュースを憶えている人間もいるかもしれないが、遥か西方の島国ガストノーセンで修学旅行生が取り残されるという事件があった。

 というか初刷とかだとその辺、帯とかにも書かれているのかも知れないが、運良く増刷とかかかってたらそういう説明もないだろうから、やっぱりここで改めて書いておこう。

 まあ、要するにその取り残された塾生、というのが僕である。

 とある事情により(その辺は本編の割と最初の方に記される)血迷った僕は、警察にも大使館にも頼らず、結局僕ともう一人の二人で、五日間の修学旅行を全うした。

 こうして文を記しているところから察してもらえるとは思うが、無事に戻って来ている。それも、ニュースになった。

 そして、その辺の話を詳しく書いてみないか、という薦めがあったのでこうして書き記している。

 なお、その伝手に関しては小兵地上級私塾の生活指導であり、本作にも登場している白戸先生、並びに集談館出版の角橋さん、お世話になりました。ついでに白戸先生、ご結婚おめでとうございます。


 内容に関してここで触れるのはマナー違反だと思う訳だが、先に書いておくと血湧き肉躍る冒険譚を期待されると間違いなく失望する。そんな人まずいないと思うが、普通にあの異国で五日間を過ごし、普通に帰国しただけの話なのだ(強いて言うならロクに金もないのによく何とかなったもんだ、というスリルはあるかもしれない)。

 もちろん、あちらの地でしか体験できないことや、衝撃を受けた事を書いたのだが、ここにすんごいドラマチックな物語なんぞは欠片もなく、同行する事になったもう一人はあの有名な(多分知らない人はいないと思う。いたら失礼)賀集ケイな訳だが、色っぽい展開なんぞもやっぱり欠片もなかった。あの国の高貴なる方と知り合い愛が芽生えた、なんてロマンスももちろんない。そんなのがあったらこの本は暴露本になってしまう。多分出版したら向こうに訴えられるが、前述の通り、そんな心配は一切無用だ。


 本作は、前述の通り、異国に取り残された五日間の記述だ。

 もちろんその全てをリアルタイムで書いた訳ではなく(というかこれを書くのにどれだけの時間を費やしたと思う?)、旅の最中のメモ、僕とケイの記憶、知り合った方々の協力、彼の地のメディアとこちらのメディア、および分厚い反省文等々等から、可能な限りその当時の出来事を整理し、再構築している。

 嘘のような部分もあるかも知れないが、基本的にノンフィクションだ。まあ、フィクションになっても困るし、当たり前の話なのだが。

 特に核となったのは、旅の最中に書き殴り、帰国後まとめて私塾に提出したレポートである。

 こちらは淡々とした記述になっていた(というか白戸先生に修正させられた)が、本作はリアルタイムにその場にいたような風に書かせてもらった。

 基本的に、ケイと一緒の場面に関しては、アレの記憶力は折紙付なので何の苦労もなかった。

 会話に関してはほぼ完璧に再現されたと言ってもいい。

 が、何故か白戸先生に目を通してもらった時の感想は、

「……コントの台本読んでる気分なのだが」

 だった。本当に何故だと思う。

 いやまあ、読み返してみると僕もケイも、互いに相応のダメージを負うようなやり取りが、かなりあったが。

 それと一部例外として、白戸先生視点、ケイの父親である賀集セックウ氏の視点も記載させてもらった。これは、僕達のしでかした事が私塾や家庭にどういう影響を及ぼしたかも、記す必要があると感じたからだ。やった自分が言うのも何だが、これから修学旅行に行く塾生達は、絶対真似をしちゃいけないと思う。実際、僕の通っていた小兵地上級私塾では翌年から、修学旅行は国内になった。繰り返すが、決して真似をしちゃいけない。国外だろうが国内だろうがだ。

 なお、僕視点以外の記述に関しては本人に加え、白戸先生の奥さんや賀集氏の秘書さんにもお世話になった。うん、その辺実は本人達通さず、白戸先生のパートを賀集氏、賀集氏のパートを白戸先生にチェックしてもらったりと、なかなか酷い事をしたので、もしかするとこれが出た後に裁判沙汰になるかもしれない。そんな問題行動は、記載してないと思うけど、ここまでで訴えられるだの裁判だの、何だかとても危険な本のような気がしてきた。


 本作の内容であるが、僕とケイの五日間の行動と共に、ガストノーセン、かつてはオーガストラ帝国と呼ばれたこの国で、暴君・紫電龍帝レドラガン・オーガストラと称された皇帝を倒し、侵略されていた他国を解放した四勇者を追うストーリーにもなっている。

 というかこれが、僕の修学旅行のテーマである。

 帝国が戦によって領土を広げる中生まれた勇者ユフ・フィッツロンが、宝玉の守護者である狼頭将軍クルーガー、異端の魔術師ニワ・カイチ、有翼人のレパートを仲間にし、帝都にてオーガストラ皇帝を討ち、平和を取り戻す。

 というシンプルな物語はこの太照国にも伝わっているが、これが実はなかなか奥深い。そりゃ、ネットや図書館でちょっとした文献を調べれば分かる事かも知れないが、そうすると僕に印税が入らないので、この本で彼の地の伝説に興味を持って頂けるとありがたい。

 訪れた土地は全部で五つ。一日一つの強行軍である。


 ユフ・フィッツロンが育った土地ヒルマウント

 大要塞があり、狼頭将軍ハドゥン・クルーガーが守護していた地グレイツロープ

 聖都、遺跡の土地でもある魔術師ニワ・カイチの出身地 イフ

 有翼人が多く棲み、レパートが迫害されたせいかつを送っていたという大峡谷のあるラヴィット

 そして、かつての帝都であり今も古都として世界的に有名なシティム


 駆け足の旅だったが、必要なところは回る事が出来た。……でなければ、レポートは完成せず、僕は多分一年ほど留年していたはずである。


 なおこの旅では、ケイはもちろん、白戸先生夫妻、小兵地上級私塾の先生および生徒、賀集セックウ氏と賀集技術の皆さん、アーサー・ペンドラゴンさん、アヌビス・クルーガーさんとその両親であるクルーガー夫妻、ジョン・タイター氏とジョン・スミス氏の兄弟、自称駆け出し女優のソアラさん、ブックメーカーの兄さん達、クレイルス神父、ユアン・スウ教授、グレイツロープの草団剣の皆さん、ハドック・アパルト氏とラフィーク氏、レンタルサイクルやラクチョの店長さん、サウスクウェア博士、ソルバース財団の方々、うちの爺ちゃん等々色んな人にお世話になった。多分書ききれてない人もいるが、それも含めて全ての人に感謝を。

 この出来事がなければ、今の仕事には就いていないと思う。

 それから、心の広い集談館出版と角橋さんにも、改めて感謝の言葉を述べさせて頂く。

 多分この手の謝辞はあとがきに書くべきなのだろうけれど(不思議な事に、立ち読みをする人の多くが何故か、そちらをまず確認するのだ)、流れで書いちゃったのでもうここで勘弁してもらいたい。

 そして本書を手にとって下さったあなたにも、感謝を。五日間の旅を楽しんで頂ければ、これ幸いです。

まえがき、というタイトルの本文です。うん、我ながらふざけてますね。

更新は基本0時、余裕があれば12時にしたいなあ、と思ってます。あくまで予定ですが。

土日祝日は休もうかとも思ってますが、ある程度書きためないとtwitterで宣伝botさんも使えないようなので、そこまではまあ何とか更新したいところです。

次から本編(いや今回も本編と言えば本編なんですけど)に入ります。

もう一人が参加するまでは、しばらくこんなふざけた地の文がメイン……になるかなぁ。

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