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第ニ章
ロンドン ランダムア・ハウス
目の前に広がる景色。
前にも見ているのに思い出せない…
先の見えない、森の暗闇…
何度、この場所を感じたことか。
なぜ、わたしだけがこの場所に居るのさえわからない…
メリンダは思った。
走っても走っても、けして抜け出す事の出来ない、深く長く続く森の闇。
木々の隙間から聞こえる、獣の唸り声。
だれかが、わたしの中に囁きかける。
「けして、逃げることなど出来ない…必ず迎えに行く…その時が来るまで、待っているといい…」
悪夢なら、早く覚めてほしい。
身体じゅう振るえで止まらない。
助けを呼びたくても、喉の奥から声も出せない。
なにかが、わたしに近づいてくる…