第四章 (六)
エドワードは、メリンダの事を考えていた。
〝森の妖精はついにわたしの妻になる…わたしのメリンダ…わたしだけのもの…〟
エドワードは顎から手の甲をはずし、両方の肘掛にのせた手を指先で組んだ。そして、真直ぐフランシスの目を見て、話し始めた。
「閣下、わたしは直ぐにご令嬢を妻に迎えたいのです。」フランシスは、ゆっくり頷いた。
「此方に滞在中、結婚の許可書を取り寄せ、ロンドンの新聞にも結婚について載せるつもりでいます。」エドワードは一息ついてから、話を続けた。
「三日後には、ご令嬢を連れてサズボーン館に戻りたいと思っています。」
「な、なんと…」エドワードの余りにも急な話に、フランシスも驚きを隠せなかった。
「式は領地の教会で、ロンドンを出て一週間後に行いたいと思います。」
エドワードは、屋敷に来る前に馬車の中で考えていた事を一気にフランシスに話した。無理難題を言った訳ではなかったが、フランシスが口を挟む暇も無く、驚いたまま身を乗り出した状態で口を半分ひらいて止まった儘でいた。
エドワードは、フランシスに視線を向けたまま返事を待っていた。
暫くしてフランシスは、やっとの思いで口を動かしたのだった。
「勿論だ。認めよう。」
二人は、互いに笑みをし、そして椅子の背に深く体を沈ませた。
こんな事で悩んでいた自分が、滑稽に思うほどだった。
フランシスは義理の息子となるサズボーン伯爵と、お酒を交わす事が出来ると思うと、口元が弧を描かずにはいられなかった。




