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アルテミスの涙  作者:
第1章
9/11

第6話:進まぬ調査

 調査を開始して2ヶ月。ちょうど他の案件が終了したばかりということもあって所員とアルバイト全てを今回の案件に投入した。しかし、これといった成果も上がらずにただ時間ばかりが過ぎていく。さすがの彼方達もお手上げだった。

 今までだって今回の案件と似たケースはいくつかあった。そのどれもがこの案件よりも手がかりが少なかったのだがここまで手こずってはいない。逆にこの案件はある程度の情報があるにも関わらず何も出てこないのだ。まるで全てをきれいに消された感じがする。


 (嫌な感じがするんだよなぁ)


 調査を終えて事務所で所長と未来の3人で報告会を開く。しかし、3人の顔を暗い。今日も何も収穫がなかった事を如実にあらわしている。


 「これはちょっと調査方針を変えたほうがいいかもしれない」

 「そうですね。会社関係やそこから分かった交友関係に当たっても何も出ませんでしたし」

 「高校時代の不祥事も煙草が原因だったしな」

 「煙草ぐらいで退学になるんですね、今どき」

 「そりゃ、あそこは進学校だからな。ただ……」

 「ただ? 何か気になるのかい、彼方君?」

 「未来の言う通り本当にそれが退学の原因だったのかって。何かあるんじゃないかと思う」

 「薬ですか?」

 「いや滝川は自分では使用しないし、校内で流れたって話は出てこないからな。他に何かあったんだろう……………あ?」

 「彼方さん?」


 その時昔聞いたある噂を思い出す。まさかとは思うがそれが真実だとしたら学校側も必死に隠すだろうし滝川の両親も息子を見限るだろう。


 「俺が学生の頃にある噂が流れたんだ。校内で暴行事件が起きたって。その被害者の女子生徒と加害者が退学になったって」

 「本当ですか? だとしたら最悪ですよ! そんな奴、退学になって当然です!!」

 「未来、落ち着け。あくまで噂だって。とりあえず、事件が本当にあったと仮定してその線でも調べてみるしかない」

 「彼方君、彼と同世代だよね? 知り合いにいないの? 同じ学校の生徒」

 「確か月ちゃんが同じ学校だった。でも、もう亡くなってるし…………あっ、いるわ。陽菜の友達に」

 「じゃあ、聞いてみるだけ聞いてみてよ」

 「了解」

 「じゃあ今日の仕事はこれで終わり。2人とも御苦労さま」


 事務所を出て携帯を取り出すと一件着信があった。履歴を見るとその相手は今話題に上がった人物。陽菜と月子の中学時代からの友人・楠田 正義だった。


 


 

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