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たんぽぽ  作者: いちどめし


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1/7

軽く舞うように

 店頭にちょこんと座った少女から、私は目が離せなくなってしまった。


 表情は人形的であるにしろ、だからこそ甘く香るようなかわいらしさを持った女の子――そう、少女の姿をした人形である。


 細くてつややかな美しい髪。

 きめ細かくて瑞々しいきれいな肌。

 私の中に、まるで綿毛のようにふわりと舞い降りた可憐な少女は、しかし残念なことに、分厚いガラスの向こうにいるのであった。


 ああ、触れたい。

 この腕の中に抱きしめたい。


 私は沸き出でる欲望に耐えきれなくなって、その店に足を踏み入れていた。


「あの人形、いくらです?」


 げっそりと痩せた、店主と思しき色白の男は、ぎょろりと目を剥いて「人形、といいますと」と首をかしげた。


「ほら、ショーウィンドーに飾ってあるでしょう」


「ああ、あの子ですか」


 店主は目を細め、嬉しそうにケタケタと嗤いだす。


「あの子は売り物ではないんですよ。ただ、たくさんの人に見てもらいたくてね……。かわいいでしょう」


 私はうやむやな返事を口の中に転がしながら、大いに落胆した。

 それでも、売り物ではないという言葉には、なるほど納得がいく。


 確かに、彼女のことをお金で手に入れたって、本当の意味で私のものになったとは言いがたいだろう。

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