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夏だ! 水着だ! かき氷だ!

1. 蒸し風呂の森


「あ、暑い……。溶ける……」


長雨が上がった翌日。森は強烈な日差しと湿気に包まれていた。 ログハウスの中は快適だが、一歩外に出るとサウナのようだ。


「カイトぉ……私、もうダメ。スライムになって蒸発しちゃう……」 シルフィがテーブルの上で液状化している。 「ボクも毛皮が限界です……夏毛に生え変わる前に熱中症になるです……」 ポン太も床で伸びている。


これは命に関わる暑さだ。 「よし、川へ行こう。涼みに行くぞ」


2. チートな仕立て屋


「でも、泳ぐ服がないわよ?」


「任せろ」 俺は【万能農具】を『自動織機』と『ミシン』に変化させた。 素材は、通気性と撥水性に優れた「クラウド・シープの羊毛」を極限まで薄く織った特製布だ。


「シルフィにはこれ」 大胆なデザインの、緑色のビキニ。 「わぁ! 動きやすそう!」


「ピコとポン太にはこれ」 ピコには可愛らしいワンピース、ポン太には粋なふんどし(和風)。


「そして、今日視察に来るエリシアさんには……」 タイミングよく(あるいは暑さから避難するために)扉が開いた。 「……カイトさん、この暑さは異常ですわ。……あら、それは?」


俺はエリシアに、清楚な白のワンピース水着(パレオ付き)を差し出した。 「貴女の分もありますよ。さあ、着替えてください」


3. 天然のプール


俺たちは森を抜け、上流にある滝壺へやってきた。 澄み切った水が轟音と共に降り注ぎ、冷たい飛沫が天然のミストとなって肌を冷やす。 底まで透き通るエメラルドグリーンの水面。


「きゃっほー!」 シルフィが躊躇なく飛び込んだ。 バッシャーン! 水しぶきを上げ、気持ちよさそうに泳ぎ回る。


エリシアはおずおずと水辺に立ち、足先だけを浸した。 「……冷たくて、気持ちいいですわ。公務を忘れてしまいそう」 白い肌に水着が映え、濡れた金髪が色っぽい。


俺も水に入り、火照った体を冷やした。 これぞ夏の醍醐味だ。


4. 雪を削る音


ひとしきり遊んで体が冷えたところで、メインイベントだ。 「みんな、上がってくれ。冷たいデザートを作るぞ」


俺は【万能農具】を、あの懐かしいフォルム――手回し式の**『かき氷機』**に変化させた。


「氷はどうするの?」 「エリシアさん、お願いします」


「ええ、お安い御用ですわ。【氷結魔法:アイス・ブロック】!」 エリシアが杖を振ると、純度100%の透明な氷の塊が生成された。さすがハイエルフ、魔法の精密さが違う。


氷をセットし、ハンドルを回す。 シャリ、シャリ、シャリ…… 涼しげな音が渓谷に響き、薄く削られた氷が雪のように器に降り積もる。


シロップは2種類。


「森のベリー特製シロップ」: 甘酸っぱい赤色。


「ホワイト・ミルクの練乳」: 濃厚な白色。


5. 頭に響く幸福


「お待たせ。特製かき氷、イチゴミルク風だ」


山盛りの氷に、赤と白のコントラストが美しい。 シルフィがスプーンで掬って口に入れた。


「んっ! 冷たっ! ……あまーい!」 シャクシャクとした食感の後、瞬時に溶けてジュースになる。 「頭がキーンってする! でも止まらない!」


エリシアも一口。 「……なんと上品な。魔法で出した氷が、削り方一つでこんなに口溶けの良いお菓子になるなんて。この練乳というソース、濃厚で氷に負けていませんわ」


ポン太とピコも、顔中をシロップだらけにして夢中で食べている。


6. 夏の思い出


「ふぅ……生き返ったわ」


食べ終わった後、俺たちは岩場に寝転がり、木漏れ日を見上げた。 川のせせらぎ、風鈴のような氷の音、そして仲間たちの笑い声。


「カイト、来年もまた来ようね」 「ああ、毎年来よう」


俺の言葉に、エリシアが「来週も来てもよろしくてよ?」と悪戯っぽく微笑んだ。 異世界の夏はまだ始まったばかりだ。

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