表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

勇者、魔王の正体に近づく。


依頼された“魔力反応”の件を、王宮魔術団に報告した数日後、

自称“魔力研究家”の魔術団員が家に来て、“今回の魔力反応の原因究明に、繋がる可能性がある”と言われて、我が祖先である、勇者の日記を見せる。

「先代の勇者様って、日記が続かない性格だったですねぇ。三日書いては、五日空き、二日書いては、一週間空いてますよ!魔王を倒した後なんて、書いてない期間の方が多い!」

「それだけ忙しかった、という事だろ?」

「そうなんですかねぇ…あっ、でも魔王の容姿に関しては、ちゃんと書いてますね。なになに?“シルクのような銀の髪に、緑の瞳は、光に当たると赤色に輝くようにも見えた。自分より頭一つ以上大きな体躯に、頭には“シャモア族”の角が生えており、より長身に思えた”ですって。」

「シャモア族?」

「…確か、ヤギの頭を持つ悪魔の一種だったハズですね。」

「魔族の種類か……祖先も俺と同じく、平均より少し高い身長だと聞いた。だとしたら、大柄な魔族なんだろうな……銀の髪に、緑の瞳…そして頭にツノ…?」

「心当たりがおありで?」

「 今回、調査した辺境の地に、その記述されている見た目と似た、竜人族の“メイド”がいたんだ。」

「メイド…ですか?…辺境の地で?狐か何かに、化かされたんじゃないんですか?」

「……確かに、狐に化かされたと、思うぐらいには、美人ではあったが…そんな…」

「へぇ、そんなに美人なら、一目見てみたいもんですね!――ところで、勇者殿?辺境の地には、危険な気配はなかったんですよね?」

「オレが感知できる範囲では、なかったように思う。」

「勇者殿は、その“膜”みたいなものが、“なにか”までは、分からなかったんですよね?」

「本当に“感触だけがある”という感じだったからな。…おい、お前…」

オレの顔が引き攣るのを感じる。

「現地調査に勝るものはナシ!もう一回行ってみましょう!今度は、私もお供しますね!」

「最初から来ていれば、二度手間ではなかったんじゃないか!?」

「私、非戦闘員ですから!」

……爽やかな笑顔で言いやがる。


自称“魔力研究家”―――もとい、ドクトリナと共に、また辺境の地へ向かう。

「確か、この辺りだったような…」

手探りで、見えない“膜”を探していると、身体に“膜”に触れる。

「そうだ、これだ!」

「これって…“目眩しの結界”じゃないですか?」

「目眩しの結界?」

「この結界を張ることによって、魔力を持たない人間や、魔力が弱い魔物とかを弾き出せるんですよ!勇者殿は、“一般の人よりちょっと魔力がある”程度だったから、『少し弾かれるけど、無理をすれば結界内に入れた』という現象が起きたんでしょうね。」

ドクトリナが、憐れんだ目をしてオレに向けて言い放つ。

「オ、オレの勇者の力は、剣術特化なんだよ!しょうがねぇだろ!」

「はいはい、そういう事にしておきますね。」

本当のことを言ってるのに、あしらわれた気がする……

――でも、とドクトリナが続ける。

「これ、勇者殿のやり方、正解みたいですね。弱すぎては、入れない。強すぎると…攻撃されてましたよ。」

「そうなのか!?」

ドクトリナが、オレに向かって、可哀想なものを見るような目で、

「もっと、魔力検知の訓練したらどうですか?」

と言った。

「オレは、大器晩成型だから、いいんだよ!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ