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勇者、視察する。

オレは、かつて魔王を倒した勇者の末裔だ!

6歳の時に、勇者の力が目覚め、もし魔王が復活しても再び倒せるように日々、鍛錬に励み、そろそろ12年が経つ。

今では、王国特殊部隊に配置されている!

「…今日は、王宮魔術団に、“数千年前に記録した魔力に酷似した反応があったため、確認してきてくれ”と頼まれて、視察にきたが…ん?なんだ、これは?」

街のはずれの広い草原に、向かう途中、薄い“膜”のようなものに当たる感覚がした。しかし、何もない。

疑問に思いつつ、草原へと向かう。

そこには、明るいベージュの『何か』が置いてある。

思わず触ると、すべすべしていて触り心地が良かった。

「あら、どなたかしら?こんにちは!」

上から突然、声が聞こえる。

見上げると、街頭と同じくらいの大きさの、座っている“少女”だった。

「うわぁ!なんだ!!お前!?」

思わず、大きな声を上げてしまったオレ。

「えっ!えっ!?」

“少女”はオレの声にビックリしたのか、慌てふためいていた。

「…貴様の方が何者だ、年端のいかぬ娘の足にベタベタと触りおって 。破廉恥な奴め。」

“少女”の後ろから、メイド服を着た美人が、空中から地面へ、ふよふよと浮遊しながら移動してきた。

「娘?!あ、足?!」

よく見ると確かに、置物ではなく“少女”の足だった。

「そうだ、無礼者め。サラに詫びよ。」

「…メイドの分際で生意気な…」

…よく見ると、このメイド…デカイな。頭にヤギのような“ツノ”が生えている。竜人族か?なら、このデカさも納得だな。

あと、思った以上に声が低い。…“ハスキーボイス”というやつだろうか?

しかし、美人だ…メイドなんてもったいない。顔を活かせる職業につけば良いのに…

いけない、つい見惚れていた。

遅くなったが、“少女”に謝罪する。

女性の足を、むやみに触ったことには、変わりないからな!

「す、すまなかった…?」

少し、疑問形な言い方になってしまった。

言い方が気に入らなかったのか、メイドの威圧感が、強まったような気がする。

メイドのくせして、なんて奴だ!

剣術の師範に、負けず劣らずの威圧感を出てきやがる!

「お気になさらないで!この身体の大きさでしょ?たまに、鳥さんも止まり木と勘違いするのよ!」

クスクスと笑いながら、謝罪を受け入れてくれる“少女”

「サラは、実に寛容だな。良き淑女へと成長するだろう。」

“少女”を「サラ」と呼び、しみじみとする大柄のメイド服の男。

――というか、遠くから草原を見た時、この“少女”も、メイドも見えなかったのに、どこから現れたんだ?


やがて、このメイドがかつて、オレの先祖に倒された、『魔王』だとオレが知るのは、先の話である。



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