表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/52

元魔王、不合格を出す。


ある日のお茶時。

バンッと突然開く扉。


「あら?いらっしゃ……」

「うええぇぇぇんっ!!カイ先輩ーーーッ!!」


……ノーティが騒ぎを聞いて、フローリングを滑りながら、奥の部屋へと逃げる。

こういった騒がしいのにも慣れてきたな、と思う今日この頃である。


「貴様が人間界に来るとは珍しいな、ユニ。」


「“ユニ”」と呼ばれた、十六から十八歳ぐらいの少女。

桃色の髪に水色や紫、黄色のメッシュが入っていて、左側に結んである。

目は濃いピンクで、目の周りには星やらハートやらの化粧が施されている。

そして、一番目を引くのは額にある一本の真っ直ぐなツノだろう。

……しかし、ユニ?……どこかで聞き覚えがあるような……?


「持ち場の第六区域を離れるとは、何かあったのか?」

……そうだ!魔界の六人だが七人いる魔王のひとりじゃないか!

慌てて、置いてあった剣を取る。

現役の“魔王”だ……何があるかわからない。

慣れすぎてしまったのも困りものだな……反省しなければ。


「うええぇぇん!もう魔王辞めまぁす!ユニもサラ姫のお屋敷でメイドさんになりたいでぇす!」


……オレはそっと剣を置いた。

こういう時は、だいたい剣が役に立たないからな!


―――

「サラのメイドになるとはどういうことだ?ユニ。」

「はいっ!ユニもサラ姫のメイドになって、無垢な乙女をハスハス……じゃなかった!愛でたい……いや、お仕えしたいのでぇすよ!」

「なあ、欲望が隠しきれてなかった気がするんだが、オレの気のせいか?」

「よわよわ勇者さんが、サラ姫をそういう風に見てるから、そう聞こえただけなんじゃあないんでぇすか?」


カップを持つ手に力が入り、『ミシッ』と音が鳴った。

……こいつのツノ折ってやろうかな。


「本当に、サラを愛でたいというだけが本音か?」

魔王がジト目で、ユニ嬢に再度質問すると、彼女の視線がだんだん泳ぎ出す。

サラ嬢も首をこてんと傾げている。

キラキラとした彼女の目を前にしてもなお、人差し指同士を付けたり離したりを繰り返し何も話さない。

魔王は「“まあ、いずれはわかる事だ”」とため息をつく。


「では、吾が今からいくつか質問をする。それに吾が適切だと思えたなら、サラのメイドになることを許可してやろう。」


意外だな。

「てっきりお前なら『サラが許可をするなら』とか言うのかと思ってた。」

「……勇者も今にわかる、ユニの危険性を。」


―――

「まず一つ。朝、ノックして声をかけたにも関わらず返事がなかった。ユニならどうする?」


そんなの再度ノックするとか……

「ピッキングで扉を開け、ベッドに潜り込んでサラ姫をハスハスしまぁすっ!」


「アウト。」

「不合格。」

「なんででぇすかっ!?」

“なんで”も何もないが!?

「従者なんだから、起こさなきゃダメだろ!?」

「健やかに寝ているサラ姫を、起こすなんて酷いこと、ユニにはできませんでぇすよっ!」

「不合格。」

「ええぇぇんっ!カイ先輩ご無体なぁあ!!」

魔王に泣きつくユニ嬢と、それを見ておろおろしているサラ嬢。

こういうタイプは、心配しなくても大丈夫だぞ。サラ嬢。


―――

「二つ目、入れたお茶がどうやら適温より熱かった。どうする?」


どうするって、冷めるのを待つとか……いや魔王なら入れ直すとか言うのか……?

「そんなの決まってまぁす!紅茶をフゥフゥしてしてあげまぁす!舌をやけどしてたら舐めてあげまぁす!!」

「アウト!!」

「不合格。」

さっきよりも苛立った“不合格”だった。

魔王がパチンと指を鳴らしたら「“何も聞こえないのだわ?”」とサラ嬢がキョロキョロしていた。

聞かせたくないほど、嫌だったんだろうな……


「なんででぇすか!?ユニコーン種の唾液にも治癒効果があるんでぇすよっ!?」

「問題はそこじゃないだろっ!」

「不合格。」

さっきから不合格しか言ってないな……魔王。



続きます。なぜだ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ