表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/52

元魔王、薬草の魔女を紹介する。


……猫状態のノーティに、頭に肉球と押し付けられたり、椅子の足をスパパパンと猫パンチされたり

お茶を飲むのを妨害されつつも、サラ嬢とお茶を飲んでいる。

にこにこと楽しそうに笑ってるのはいいが

……サラ嬢、ノーティを注意してくれてもいいんだぞ。


目をランランとさせ、オレに狙いを定めていたノーティの耳が、ピクりと外の方へ向く。

「この気配……そうか、もうそんな時期か。」

魔王が呟いた後、呼び鈴が鳴る。

ふよふよと扉を開けに行く魔王と、それについて行くノーティ。


「よぉ!久しいな、カイサル。常備薬の補充に来たぜ。」


銀色がメインで、赤いアンダーカラーの左側だけ編み込まれた髪に、赤紫色の瞳。

胸まで覆うコルセットと、白いズボン。

ニカッと笑う二十代ぐらいの女性が、右手を上げて入ってくる。

「おいコラ、待てよババア!」

女性の後ろから、深緑からオレンジへと変わるグラデーションの髪色

琥珀色の瞳、そして……同じく、琥珀色のツノが生えている少年が、大荷物を抱えながら女性に噛み付くように声をかける。

……この少年、明らかに魔族だ。

一応、警戒して、持ってきていた剣を握るが……

サラ嬢の手前、戦闘は避けたい。

「お前は何回、『ババアと呼ぶな』と言わせりゃ気が済むんだい!」

ヒュンッと空を切る音がした後、スパンッと頭を叩かれている少年。

――いい音だ。……少し気が抜けてしまう。

「“んなこたァ言ったって、ババアはババアだろ”」とぶつくさ文句を言う少年が、再び頭をスパンと叩かれている。

――素手でこの音が出るとは……!

うん、剣を置いても良さそうだな。


「薬草のおば様、お久しぶりです!後ろの方は……はじめまして!サラは、サラなのだわ!」

「やあ、サラちゃん。大きくなったね、前見た時は、私と変わらなかったのに!」

「“サラ、そんなお豆さんな時はないのだわ!”」とサラ嬢が恥ずかしそうに抗議している。

少年の方は、返事をしようにもノーティに舐め回されている最中だった。

猫の舌ってザラザラしてて痛いんだよな……

魔王と女性は、少年のことなど気にも止めず、サラ嬢に向かって「「“いや、あったぞ”」」声が重ねて言う。

サラ嬢の幼少期の大きさを知っている!?

いや……今も幼少期と言えば、そうなのだが。


「おや、珍しい。客人かい?騒がしくしちまって悪いね。」

「いや、お気にならさず……あの、少年は大丈夫ですか?」

思わず女性の方に声をかけると、「“あれくらい片手で制止できないなんて、情けない”」とため息をついていた。

魔王関係の人物だと、よくわかる。

「一応、紹介しておくか。こやつは“薬草の魔女”サラが、赤子の時から世話になっている者だ。」

「おう!怪我や未病なんかに悩んでんなら、あたしに任せな。すぐ処方してやるよ!」

太陽のように明るい笑顔とは、まさにこのことだろうとお手本のような顔で、手を出してくる……

「すまないが、名前をお聞きしても?」

「あー、そうか……お前さん、人間か。

困ったな……カイサル、この御仁はどこまで“魔女”の知識があるんだい?」

「ジュリエットとオフィリアとは、顔なじみだ。」

「なるほど……“名前持ネームドち”としか、会ったことがないのか。」

「ネームド?」

ネームド……討伐するのが容易ではない魔物などに、ギルドが識別しやすいように、名前をつけたりするらしいが……

「魔女は基本、個体名を持ってはおらぬ。だから、こやつの名前は、“薬草の魔女”だ。」

そうなのか……?いや、だとしたら

「ジュリエット嬢やオフィリア殿は、どうなる。」

「名前は“制約”だ。……ジュリエットやオフィリアだけでなく

名を持つ他の者たちも、自分の身を滅ぼす程の過大な力を、名前に封じている。」

「そして、わたしは封じるほどの力がないから“名無ノンネームし”ってわけさ!」

ノーティの舐め回し攻撃から生還した少年が「デコピンで巨大岩を砕く“怪力ちからは、あるけどな”」と悪態をつき、「“お、そのデコに“力”を喰らいたいようだね”」と指を弾く動作をする薬草の魔女殿。


……さっき、少年の頭をスパンスパン叩いていなかったか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ