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元魔王、解説する。

前回のあらすじ、勇者バフマシマシ。


「はっきり言うと、吾も人間の魔法の仕組みは、よくわからぬ……が、先日、勇者が使った魔法を見て、構造を独自に解釈してみた。」

魔王が“フレイム・モスク”と唱えると、オレが使ったものより、明らかに大きい火種が手のひらに現れたのが横目に見える。

「人間の魔法詠唱は、『各属性精霊への呼びかけ』だと解釈してみた。」

「属性精霊?」

サラ嬢が小首を傾げている。オレも傾げたいが、それどころではない。

ジュリエット嬢が“まだまだー!”と楽しそうに、魔法を連発する。

デバフがかかっているはずなのに……攻撃速度、すごくないか!?

「火属性の精霊、水属性の精霊、風属性の精霊などの、空気中にいる各属性の精霊のことだ。」

「空気中……?ここにも精霊さんがいるの?」

サラ嬢が手を握ったり、開いたりする。

「そうだ。精霊は妖精よりも小さな存在で……例えるなら、この砂が精霊、この石が妖精だ。」

地面を指さしてサラ嬢に教える、魔王。

……そういうことだったのか。

魔法の師匠や、ドクトリナの説明は「“魔力量のなんたら〜”」や「“魔法構造はうんたら〜”」と理屈っぽくてわかりにくかったが、魔王の説明を聞いたら、なんとなく理解できた気がする。


「隙あり♡」


目の前に紫の球体が現れたのを、間一髪で回避する。

危なかった……

「次に魔族の魔法だが……」

いつの間にか、魔族の魔法にうつっていた。

……魔王の説明が一番わかりやすかったのだが……いや!勇者が魔王に魔法を教わるなんて!!

「そうだな……『オフィーリア・アクアマリン』」

魔王の手に、子供がよく遊んでいるボールぐらいの大きさの、水の球が浮かび上がる。

……いま、“オフィーリア・アクアマリン”って言ったか?

先日、屋敷の掃除で使った魔法詠唱と同じなはずなのに出現した魔法が全く違う……どういうことだ……?

「僕の前で、よく水魔法使う気になれたね。」

「本人がいるのだ、わかりやすいであろう?」

サラ嬢の頭にはてなが浮かんでいるのがわかる。

オレも同じ気持ちだ。

「魔族の魔法は、体内に流れる魔力を外に出力することを指す。

そして、魔族の中に流れている魔力の根源は、『大罪の魔女』と深い関わりがある。」

「えっ!そうなの!?」

えっ!そうなのか!?

「ジュリちゃんおば様や、オレルおじ様ってすごい人なのだわ……!」

『大罪の悪魔』が魔族の根源だと伝承で聞かされていたが、悪魔の方ではなく、魔女の方だったとは……

……ん?本人というのは?

「カイさん、なんで水魔法が、オレルおじ様ご本人なの?」

ナイスだ、サラ嬢!

「魔族が使う水魔法の根源が、オフィリアだからだ。」

「ご本人なのだわ!」

ご本人だったのか!

サラ嬢がオフィリア嬢に「“きゃー!握手してなのだわ!”」とファンサービスを求めている。

会おうと思えば、サラ嬢はいつでも会えるのではないのか?

オフィリア嬢も照れくさそうに、握手に応じている。

……オレもあとで、サイン貰おうかな……いや、勇者が魔女にサインなんて……


「もう!もっとジュリを見て!」

『熊蜂の飛行』

先程まで弾丸のような形だった毒が、ジュリエット嬢の一声で、鋭利な形へと変わった。

それはさすがに当たったら、確実に死なないか?ジュリエット嬢!?

あと少し、速度が上がった気もする。

おい!本当にデバフかかってるんだよなぁ!?

「じゃあ、ジュリちゃんおば様も、魔法の根源なの?」

「そうだ、ジュリエットは毒魔法の根源だ。」

……なるほど、だからサラ嬢に毒魔法を教えないと言った時に、「“ジュリエットが騒ぎそうだ”」と言ったのか!


「そして、“魔女の魔法”だが――」


まだ終わらない戦闘と解説。

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