表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/45

勇者、元魔王の弱点を探る。


今日こそは!と意気込み、山三座分を越えて、サラ嬢の屋敷に着く。

「勇者様!いらっしゃい!またカイさんに会いにいらしたのね!

でも今は、ご飯の材料を買いに行ってるの。帰ってくるまで、サラとお喋りしましょ!」

魔王が留守だと聞き、思わず肩の力が抜けてしまう。

…もしかしたら、魔王の弱点の手がかりが掴めるかもしれない!

「…そうだな、少し、お邪魔しよう。」

「嬉しい!なんのお話がいいかしら……そうだわ!カイさんに寝る時に聞かせてもらった、昔の魔界のお話なんてどう?」

魔界の内情が分かるだなんて、好都合!!

「是非。」

「うふふ!昔むかしのお話…」

とサラ嬢が話を始める。

一人の悪魔のなり損ないと、一人の巨人族の物語。

最初は、お互いに“いけ好かない”と、いがみ合っていた二人。

時には手を取り合い、時には背中を預け合い、やがて二人は、唯一無二の親友となる。

悪魔のなり損ないはとても身分の高い者へ、巨人族は彼を護る騎士として側に仕えた。

……とある戦争で、巨人族は主であり、唯一無二の親友を守るため命を落とす。

彼に自分の娘を託してーーー。

ガチャりと屋敷の扉が開く。

「今、戻ったぞ。…?勇者よ、来てたのか。……なぜ泣いておる?」

魔王が荷物を抱えて、ふよふよと移動してくる。

「…ッ泣い”で、泣い”でなん”かない”!!ズビッ”」

そうだ!泣いてなんかない!これは、あれだ……汗だ!!

「カイさん、おかえりなさい!昨日寝る時に、聞かせてもらったお話を、勇者様にも聞いてもらってたの!」

「ほう、サラは、読み聞かせの才能もあるのだな。流石だ。」

無邪気な笑顔を魔王に向けるサラ嬢と、うんうんと嬉しそうに頷く魔王。

「くっ!!(ズビッ)失礼する!!魔王よ!!今度こそ成敗してやるからな!!」

涙……いや、汗が零れないように立ち上がる。

「勇者様、食べられなかったおやつを、お土産として包んだのだわ。持っていってらして!」

「サラ嬢、恩に着る。では!」

渡されたお土産を奪うように受け取り、そのまま駆け足で扉に向かう。

くそっ、汗で…汗のせいで前が見えにくい!

「?……騒がしいやつめ。」


自分の家に帰ったあと、“高い身分”ってもしかして、“魔王”のことか!?

確か、魔王の腹心も“巨人族”だったような……

三日ほど、オレは知恵熱を出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ