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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第一章 強く生きたい
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第一章 06 小人族

「はあ、お腹いっぱいだ」

「だね」

「ねえねえ、お花がいっぱい咲いてるところがあるの。一緒に行こう!」

「むう。ツリト行きたい?」

「まあ、見てみたいかな」


 外で両腕を掴まれて両手に華でバードウォッチングをしていたツリトはナスの誘いに乗ることにした。


「そうか。気を付けていくんだよ」

「いってらっしゃい」

「「「うん」」」


 ツリトとカシャはナスの案内で森の中を歩いて行った。獣匂は全くと言っていいほどなにもしなかった。大人が同伴しなくても十分に安全なのだろう。だから、ツリトたちは油断してルンルンで森の中を歩いていた。やがて、たくさんのカラフルな大中様々な花が見えて来た時、視界に水が飛び込んできた。


「「きゃっ!?」」「っ!?」


 ツリトたちは思わず目を瞑った。だから、ツリトは急に上に引っ張られたのに対応できなかった。カシャとナスが目を開けた時、視界にはたくさんの同じぐらいの身長で巨乳の女の子がいた。紅色のショートカットでエメラルドのように輝く瞳をしていた。


「キィィィィィィ!」「ツリト君!」


 ツリトは誘拐された。


「カシャちゃん。一人捕まえて。急いでネキさんに知らせるよ!」


 カシャは既に一人羽交い絞めしていた。だから、ナスはしゃがんでカシャを持ち上げると竜鱗を纏って家に向かって山投げで投げた。


「ちょっ、ナス!」




「ツリト君って言うんだよね。ルリとセッ〇スしよ!」


 ツリトは小さな部屋の小さな布団の上にいた。目の前にはルリがいた。ルリは二歳のツリトと同じぐらいの身長だ。だが、明らかに胸が出ていた。ツリトはこの違和感よりも気になることがあった。


「どうして、そんなに強いの?」


 明らかにオーラの量が多く、質も異次元だった。少なくとも今まで感じたことのないほどだった。


「教えてあげてもいいけど、ルリとセッ〇スしてくれたらね」

「その、セッ〇ス?って言うのをしたら教えてくれるの?」

「うんうん。じゃあ、ちょっとズボンを脱がすね」

「その、セッ〇ス?って言うのは裸になるの?」

「うん。ツリト君はルリの服を後で脱がしてね。その前に気持ちよくしてあげるから」

「何してくれるの?マッサージ?」

「うん。マッサージの一種かな」

「どこを、マッサージするの?」

「っ!?」


 勃っ、勃ってない!?


「ツリト君。おっぱい触る?」

「うーん。珍しいし触ってみたいかも」

「そっかそっか。じゃあ、ちょっと待ってね」


 ルリは服を脱ぎ始めた。すっぽんぽんだ。ツリトも自分から服を脱いでいた。ツリトは両手で胸に手を伸ばした。ルリの胸は大人の巨乳の人がそのまま全体的に小さくなった感じでやはり、大きかった。


「この弾力。まさか、超人か?」

「親が超人とのハーフだったの。ツリト君、どうして平気なの?」

「ちゃんと、くすぐったいよ」

「胸ばっかり触らないでお尻とかも触って見てよ。毎日走ってるから結構、弾力あるよ」


 ルリはツリトに正面から抱き着いきツリトの太ももの上に座っていた。ツリトは腕を回してルリのお尻を揉んだ。やはり、弾力があり、超人だった。


 お色気じゃ、勃たない。なら、


「まさか⁉・・・」


 ツリトは絶句した。ルリの体が膨らんだから。この特徴は間違いない。


「河童でもあるのか?」


「うん。親が河童とのハーフだったの」


 ツリトは思わず興奮した。ソーが鬼と超人と竜人の三つの力を使えると知り、そして、実際にその実力の一片を見て憧れていたのだ。だから、ここにも最低でも二つの力を使えるおそらく同世代の子がいるというのはツリトにとっては嬉しいことだった。


「凄いね。友達になろうよ」


 勃った!


 ルリは腰を上げてツリトに唾を垂らしながら答えた。


「ルリはもっと深い関係になってもいいよ」


 そして腰を下ろそうとすると


「いや、それは、カシャが怒る」「領域展開」


 ルリとツリトとネキは球の中にいた。綺麗な澄み渡った青空を映した水平線の上に浮遊して向き合っていた。ネキの頭には天使の輪っかが乗っていた。


「小人族のお嬢さん。確か、もう、五十路でありんすね。その若さ、エルフの花を食べんしたね。だったら、焦る必要は無かったはずでありんす。訳を話しておくんなし」

「ルリは、ルリは、最後の小人として子孫を残したくて、でも、こんな体だから、大人じゃ入らなくて、だったら、体の大きさを変えることができるシックスセンスの持ち主を探したらいいじゃないって話だけど、フロンティアでは皆、自分の体にあったシックスセンスにするから、そんなシックスセンスを持っている人なんていないから、ショタを狙うしか無くなるわけで、ルリは、全然、ショタじゃなかったんだけど、やっぱり、そういう目で見てしまって、さっき、ツリト君が両手に華だったのを偶然見てしまって、沸々と嫉妬してしまって、ルリも同じぐらいの大きさの子とあんなふうに歩いてみたいって。だから、ついつい魔が差して」


 ルリはボロボロと涙を流した。子供が大人に怒られているような構造だ。精神年齢は五十路のためそれなりにしっかりしているが、見た目は完全に子供だった。


「そうでありんすか。ずっと寂しかったでありんすか?」

「うん。ずっとずっと、寂しくて一人で毎晩ここで泣いて、泣いて、でも、ルリは、小人族は嫌われてるから堂々と人と会話をすることはできなくて。だから、花を見たり動物の上に乗ったりしか、楽しみがなくて。ルリ、ずっと寂しかったんだよ」

「そうでありんすか。ずっとずっと、寂しかったでありんすね。今回のことはわっちやゼウスの責任もありんす。ツリトは何をされそうになっていたのか分かってないでありんしょう。ですから、わっちは、今回のことを誰にも言わないでありんす」

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんな・・・」

「ですから、わっちたちと一緒に暮らしんしょう。主さんは、ルリはその生活の中で心の中の憂いが晴れるまで償ったら良いでありんす。ツリト。ルリのことをどう思ってるでありんすか」

「友達になりたい」

「ツリト、君」


 ルリはツリトに抱き着いた。ツリトは優しくルリの背中をさすってルリを落ち着かせた。




「小人族とは、亜人生成期に生まれたマイナーな種族なの。巨人族の生成の逆張りをした結果生まれた生物なの。小人族と巨人族は肉体を普通の人間と変えるためにオーラを利用したの。巨人族はオーラの生成を少なくする代わりに肉体を大きくなるように成長させて、小人族は肉体を小さくことでオーラを成長させたの。ツリト君がルリのオーラを異次元だって感じたのはそのためなの」

「なるほど。で?」

「小人族が巨人族より長く生き残ったのは単純に巨人族はフロンティアで暮らすには的がデカすぎたし、食料の問題もあったの。でも、いずれも、時が進むにつれて人口は減って行ったの。どうしてだか、分かる?」

「チュウする相手が限られちゃう?だって、唇の大きさが不釣り合いだもん」


 ナスが恥ずかしそうに答えた。カシャも少し顔を赤くしていた。ツリトは何となく違うんだろうなあと思っていたが知らんぷりをした。


「正解。生殖するためには基本、巨人族と巨人族、小人族と小人族同士じゃないとできないの。大きさの不釣り合いもそうだし、やりがいもそうだしね。だから、自然と消滅して行ったの。巨人族が滅びて焦った小人族は子孫の拡大に焦ったの。これが、小人族がフロンティアで嫌われている理由。間違いなく、ワルキューレの長、フロンティアの裏の王と呼ばれているネキより、小人族の方が嫌われたの。どうしてか、分かる?」

「「・・・」」

「小人族は普通の人間が小さい時、つまり、僕たちみたいの大きさの時に無理やりチュウをした」

「うん。正解。だから、小人族は色んな力を手に入れる傾向があった。ルリの場合は父さんが超人の肉体を手に入れていて、母さんは河童の肉体を手に入れていたの。だから、ルリは超人と河童のハイブリッドなわけ。正確には小人族もあるし、ルリはエルフの花、不老、ほぼ不死の花を食べたから違うんだけどね。まあ、つまり、ルリのケースから言えるようにたくさんの種族の力を手にれ手しまったの。おまけに、小人族はオーラを成長させて独自のオーラを持っている。だから、増々、嫌われたわけさ」

「じゃあ、何で、ルリの両親はルリを産んだの?」

「だよね。当然そこに行きつくよね。両親は幸い小人族同士で付き合うことができたの。子供を産むつもりは無く、自分たちの代で小人族を終わらせようと考えてたんだけど・・・。若気の至りでヤっちゃったのよ。そうなると、弟とか妹とか作って欲しかったんだけど、終わらせることに決めたから、作らないって固い意志が両親にはあったの。だったら、ルリを産むなや、って話なんだけどね」


 ルリは何でもないことのように、あっけらかんと言った。


「じゃあ、ルリ。何で不老とほぼ不死になったの?」

「そ、それは、シックスセンスとかで体の大きさを変えるようなものにするバカがいつ表れるか分からないじゃない。ルリは子供を諦めてないんだよ。小人族を終わらせたくないんだよ」

「そっか。良い志じゃん。頑張れよ。ところで、なんで、ぺったんこじゃないの?」


 ルリは自信満々に胸を張った。


「こんな体だからね。少しでも誘惑できるように頑張ったんだよ。小人族は大きくなりにくいんだけど、ルリの願いが届いたからか、ここまで大きくなったのさ」

「ね、ねえ、チュウが不釣り合いだったんでしょ。頑張るのは口の大きさじゃないの?」


 ナスが純粋に綺麗に澄んだ瞳で問いかけた。


「不細工になるじゃん。可愛いを優先しないと」

「それもそっか」

「「でも」」

「カシャは小人族にどんなに事情があってもやっていいこととやったらいけないことがあると思うの。ツリトを誘拐したことは許さない」

「ナスも」

「だから、ルリはツリト君に色々とオーラの使い方とかを教えるよ」


 カシャとナスは眉間に皴を寄せて、ジト目でルリを睨んでいた。


 ふう。カシャとナスに、僕がなんか変なことをされていたのを言わなくて良かった。きっと、お互いに殺されてた。


「とりあえず、ツリトを誘拐したのもあるけど、カシャたちより身長が低いからカシャさん、ナスさんって呼びなよ」

「だね」

「なんで!?ルリ、これでも五十路、五十代だよ!」

「いや、カシャたちより身長が低いんだからさん呼びだよ」

「だから、なんで!?」


 少し離れてその様子を見ていたネキたちは頭に?を思い浮かべた。


「わっち、カシャからさん呼びされてないでありんす」

「俺も」

「ふふふ。中々に面白い子ね、カシャちゃんは。ナスも便乗しちゃってるけどね」


 三人で微笑ましく見ていると話しの方向が怪しくなって来た。


「ルリは巨乳よ。どうして、自分より胸の出ていない子にさんづけをしないといけないのよ!」

「ツリトを誘拐したからよ。カシャはね、ルリは生涯、このペナルティーを背負うべきだと思うの」

「ナスも。焦ってカシャちゃんを投げっちゃったもん」

「そうよ。たまたま外にソーがいたから良かったけど、大怪我するところだったんだから!」

「それは、ごめんだけど・・・。うーん。胸触って見る?ルリの秘策の巨乳の作り方を教えてあげるよ」

「「っ!?」」

「ほら、手を伸ばして見てよ」


 ルリは自分の胸に二人の手を伸ばさせた。二人はルリの胸に触ると超人と小人族の肉体での独特の超弾力の胸に心を奪われた。


「凄い」

「ナスのとはまた違う。というか、寧ろ、より、弾力があるような・・・」

「ふふーん。小人族は肉体の成長を止めてオーラの成長を止めた。だから、肉体の質を上げることも同時に進めてたのさ。実は、たいていの純超人の緊密度よりも、小人族の緊密度のほうが大きいのさ」

「「へえ」」


 二人はルリの胸に夢中になった。ルリに懐柔されつつあった。ツリトは一人になったため、ネキの元に向かった。ネキに抱っこされてツリトは聞いた。


「ねえ、小人族ってさ。肉体の成長を止めてオーラの成長を促したんだよね」

「そうでありんすよ」

「だったらさ、その機能が子孫に上手く問題なく備わったのが確認できた後にさ、体も徐々に伸ばしたらさ、小さい子供を狙わなくても良かったんじゃない?」

「そうでありんすね。でも、小人族は小さいことに矜持がありんす。ですから、更に力を付けることで魅力を出そうとしたでありんす」

「へえ。ルリってさ。胸を成長させるために、肉体の成長を自分で早くに止めたんじゃない?」

「よく、気付きんした。ルリは努力の方向を間違えんした。頑張ったら百センチぐらいはいけたはずでありんす。そしたら、百五十センチぐらいの男なら頑張ったら、あるいは、行けてたはずでありんす」


 すると、両腕を抑えられて胸を揉まれながらルリが満面な笑みで歩いて来た。ツリトはそんなルリを見て憐みの目をした。


「人との関りがきっと少なかったんだろうなあ。自分で自分の可能性を狭くしちゃって」

「いきなり、何よ、ツリト君」

「そのまんまの意味だよ。徐々に後悔させてあげるよ。毎年、僕たちに身長をどんどん離される苦しみを与えてあげる」

「怖っ!止めて。どうして、そんなこと言うの!」


 ルリは瞳に大粒の涙を溜めた。どうやら、ウィークポイントだったみたいだ。


「胸の成長に身長の成長を止めるなよ」

「ギャーーーーーーーーー!」


 ルリは大粒の涙を勢いよく流した。


「だって、だって、仕方ないじゃん。どうせ、子供は産めないんだからさ。だったら、自分で楽しむために胸ぐらい大きくしたっていいじゃん!」

「でも、少しでも大きい方が仲良くなりやすいんじゃないの?」

「むう。むう。ルリだってそんなことは分かってるよ。でも、独りでいる時間の方が長いから胸を大きくしたんだよ。でも、独りでいると徐々に悪行を働いた小人族の同族が憎くなって来て長生きすることにしたの!きっと、何十年も経てば小人族のことなんか忘れて小人族=ショタコンってイメージが無くなるって思ってさ。そしたら、ルリは色んな人と仲良くなることができるって思ってさ!」

「でも、今日、僕を襲ったじゃん」

「それは、それは、・・・魔が差して。人肌恋しくて。ルリも間違った方向に舵を取っていたことは認めるよ。でも、でもさ、仕方ないじゃん。寂しかったんだもん」

「そうか。きっと子供は一生産めないだろうけど、・・・今は、僕たちがいる。少なくとも寂しさは消えると思うよ」

「ツリト君」


 ルリはツリトに飛び込もうとしたがカシャとナスがしっかりと密着していた。


「じゃあ、ルリは寂しささえ無くなればツリトを好きにならないってことよね」

「つ、ツリト君は渡さないよ。で、でも、その代わりに、ナスたちはルリの寂しさを埋めてあげるから」

「大丈夫。ツリト君には、もう、何もしない。ルリは、今、幸せだから」


 ルリは今度は満面の笑みで涙を流した。

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