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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第二章 未来は僕の手の中に
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第二章 09 蟲毒2

 奴との出会いは運命的だった。




 僕は隻眼だ。そもそも、眼が一つしかない。顔の中心に一つだけあるのだ。普通の人よりも、眼が少ない分、その眼は普通の人間よりも、優れている。普通の人間なら見えないものを見ることができる。

 だから、突如、暗闇に連れて行かれて混乱状態に陥った時も冷静に対応することができた。

「なっ、なんだ!?」「何よ、あれ」「こんなの、人間がすることじゃないっ」

 次々に悲鳴が起こった。収集が付かなくなり、響く声に思わず顔を顰めたくなる。

 僕たちの目の前にいたのは、一人の人間。ただ、目を背けたくなるほど、ボロボロだった。無理に竜の血を入れたのか変な風に竜鱗を纏っていた。所々、出っ張ったり、纏っていなかったりしていた。だが、一番酷かったのはオーラの流れが不規則かつ、高速で、魂を削って、死に行く寸でのところだったことだ。

「助けてあげたいが、何もできない。せめて、鉱石が一つでもあれば・・・」

 僕は戦えない。だから、武器を作ることを得意としている。だから、最高の武器を作ってこのまま、全員殺されるのを責めて防ぎたいのだが・・・。

 生憎と都合よく鉱石が落ちていることなんてなかった。

 僕は結界にもたれて座った。諦めるしかない。

 カン、カン、カン、カン、カン、カン

 地面のクリスタルの石に甲高く響く音が聞えた。

 コロコロコロコロコロコロコロ

 僕の手に固い感触が生まれた。

「まさか!?」

 とても、品質の良い鉱石だ。どうして、急に?こんな都合の良いことなんて起こるはずがない。何故だ?一体どこから?

 僕は辺りを見回した。鉱石が落ちてきている様子なんか寧ろなく、必死に抗っている人達しか、目を引くものはない。強いて言うなら、僕の隣にフードを被ってがくがくと震えている男ぐらいだ。

「今は、そんなことより、武器だ」

 僕はシックスセンスを使って金槌を手に持った。そして、今手に入れたばかりの鉱石を打ち始めた。甲高い音が鳴り響く中、僕は焦燥に駆られた。

「マズイ。足りない。これじゃあ、真面な武器は作れない」

「おっ、おい。お前、武器を作れるのか?」

 隣に震えている奴が恐る恐る話し掛けて来た。

「見て分からないのか!」

「すっ、すまない。だったら、俺はお前を助けることができる」

「何を言い出すかと覚えば・・・」

 僕がふざけるならどっか行ってくれ!と言おうと思った時、男がフードを脱いだ。男の体は鉱石でできていた。

「き、君はーーーー」

 僕は彼の情報を手に入れてしまった。

 負の感情。まだ、体に馴染み切っていない、鉱石。間違いない。

「首魁に肉体をクリスタルにされてしまったのか?」

「ああ」

「って、ことは、この小粒の鉱石はーーーー」

「ちびった」

「ヒィィィィィーーーーーーーーーー!!!!!」

 僕は思わずのけ反って距離を取った。

「こっ、こんな汚いものを使用できるか!」

「おい、冷静に考えろ。俺のそれでしか、武器を作れないんだろう?」

「くっ!」

「良かった。攫われる前に鱈腹ご飯を食べていて」

「まさかーーーーーー!?嫌だ!それだけは、嫌だ。そ、それに、君。羞恥心はないのか!?公開脱糞するってことだぞ!」

「命が無くなるよりはマシだ。だが、適当に金槌を鳴らして音が響かないようにしてくれると助かる」

「てっ、照れた顔で言うんじゃないっ!」

「時間がない。見て見ろ。もう、時間がない」

 彼の言う通り、状況は芳しく無かった。戦える仲間たちで攻撃を何とか抑えているが体力が限界に近づいて来ていることは分かっていた。

「二回も言わなくても分かってる。だが、止めるんだ。もし、助かったとしても、こんなことをすれば、生涯忘れることのできない傷となるぞ」

「お前。ここから脱出したいとは思わんのか!このまま、何もせずに、死んでしまうのと、楽しいことが待っている未来を体験せずに死ぬでは、どっちがいい?単純な計算だ」

「ぼ、僕はコキュートスだ。君は?」

「ハガネだ。頼んだぞ、コキュートス」

「止めろ。止めるんだ、ハガネ。お前、これからの人生を棒に振る気か!」

「死ぬよりはマシだ。参る」

「ハガネ!!!!」


 カンッ!!!!!!!!!


 全員の視線が僕たちに向いた。否、ハガネに向いた。皆はハガネのクリスタルのケツとうんこ、見ている。対して、僕はハガネの目から溢れる鉱石、小さい鉱石だが、小刻みにカンカンカンカンカンと鳴り響いている音が頭から離れない。

「ハガネ。君の努力。絶対に無駄にしないっ!」

 僕はハガネの後ろに走って周り鉱石に触れた。

「温かい・・・」

 泣くな。僕は目が一つしかないんだ。泣いたら視界を確保できない。

 絶対に状況を打開するんだ!

 僕は必死に金槌を打った。打って打って打って、ようやく完成した。

「刻め!」

 僕は最後にシックスセンスを保存した。そのシックスセンスはーーーーー

 僕は作ったばかりの刀を手に一直線に走った。気が狂った竜鱗を纏っている男は僕を視界にいれると大きく一歩踏み出した。

 僕もそれに合わせて大きく腕を振り被り刀を振った。刀はすり抜けた。男は力を失くして寝た。

「力を吸収する刀だ。即席だけど、上手いこと行って良かった」

 僕に一斉に歓声が上がった。

 違うだろ!ホントに頑張ったのはハガネだ!

 僕は人混みに囲まれた中、ハガネを探した。ハガネは一人、結界に背中をもたれさせていた。僕の視線に気付くと軽く微笑んで親指を立てた。

 だから、僕は親指を立て返した。


 これが、僕とハガネの運命的な出会いだった。




「よもや、よもや、ここにも、英雄が生まれたか。しかし、俺がハガネで確かめたかったことができなかったな。どれほどの硬さか確かめたかったが。まあ、良い。良い収穫があった。コキュートス。貴様は俺が必ず手に入れてみせる」

 デストロイは不敵に笑った。




「おいっ、どうして、ハガネにそんな目を向けるんだ!一番の英雄だぞ」

 皆が、ハガネを見ると一瞬顔を背けてクスクスと笑うのだ。だから、僕は、必死にコキュートスの凄さを認めさせようと頑張っていたのだが。

「もう、良い。俺が選んだことだ。俺のためにそう、怒ってくれるな」

「だがしかし」

「良いんだ。これ以上は言わないでくれ。俺が惨めになる」

「ハガネ・・・。分かった」

「コキュートス。僕はね、起きたらこんな姿になっていたんだ」

「そうか」

「だが、不思議と悲しくないんだ。何でだろう?約に立てたからかな」

「ハガネ。君って奴は・・・」

「仕方ない。僕と君の友情の品を作ろう」

「お、お前・・・」

「止めてくれるなよ。僕はハガネの涙でできた鉱石でペンダントを作る。二つで一つだ。僕は、最初、君からできる鉱石に躊躇ったが、悪かった。だから、これは、謝罪の品でもあるんだ」

 僕は金槌を取り出して指輪を二つ作った。

「この指輪は、衝撃を与えると瞬間移動をすることができる品だ。僕たちの友情の証だ」

「あ、ありがとう」

「照れるなよ」


 ドンッ!!!!!


 結界が外れた。

「「誰だ!?」」

 一斉にざわめきが起きた。今、戦いを何とか終えたばかりなのだ。また、あんな化け物と戦わないといけないのかと思うだけでも億劫になる。僕たちはすぐに、静かになって状況の確認に努めた。

 するとーーーー

「さすがはゼウスだね。どんどんと時間が短くなって来てる。僕もコピーで頑張ってるけど、まだまだだよ」

「当たり前だ。オリジナルの俺がコピーの貴様なんぞに負けるなんてあってはならぬことだ」

「言うねえ、ゼウス。さあ、話しなよ」

 十本の腕を持った男、ゼウスは一歩踏み出して胸を張った。

「俺たちは、既に十個以上の結界を解いて来た。協力して首魁に立ち向かおう!」

 低温が心地よく耳に響き、一斉に歓声が上がった。

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