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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第二章 未来は僕の手の中に
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第二章 03 育成

「では、『悟り』、白い光のことを話す前にわっちたちの特異性を話しんしょう」

「「特異性?」」

 ホームズとワトソンは同時に首を傾げた。ポカンとしている。無理もない。普通の大人でも河童と言う体の特徴以外に何の特異性があるのか?となる。

「わっちと、カラワラ、ホームズ、ワトソンはレアオーラ。普通のオーラとは違うでありんす」

「オーラが違う?」「ぷかあ」

 ホームズは自分のシックスセンス、適応と意識認識の拡大の影響で知識の定着が早く大人顔負けの知識を既に持っている。だから、話しについていけた。だが、ワトソンはもう、パンクした。ネキはワトソンの頭を優しく撫でた。

「まずは、普通のオーラから話しんしょう。普通のオーラはシックスセンスを使う時、大きく分けて三つのことしかできないでありんす。自分、他者、一定範囲。この三つでありんす」

「待って。他にもあるの?」

「ありんす。ですが、自覚し難いでありんす。オーラと言うものを細分化して詳しく見た時、色々な原子が見えるでありんす。自己完結型、他者完結型、領域型。この三つがさっき言ったことをするために必要となるものでありんす」

「へえー。・・・。待って。身体能力の強化は何?」

「身体能力の強化。良いことに気付きんした。これは、一般的にはオーラの原子に関わらず行われると言うのが定石でありんす。まあ、一般的と言っても、ある程度、魂の熟知が進んでいる人限定でありんすが。ですが、実際は違うでありんす」

「身体能力の強化にもオーラの原子がある、ってこと?」

「正解でありんす。どうして、こういう勘違いをしてしまうか。これはホントに仕方のないことでありんすが、自己完結型、他者完結型、領域型がオーラの分子の中で大きな割合を占めるからでありんす。ですから、身体能力の強化の原子には気付きにくいでありんす。まあ、この身体能力の強化の原子以外にも他にもたくさんありんすが。まあ、強いて突出して挙げるとすれば、肉体の治癒とかもありんす」

「そんな原子もあるんだ。じゃあ、普通じゃないオーラって何なの?」

「普通じゃないオーラのことはレアオーラとわっちたちは呼んでいるでありんす」

「レアオーラ?」

「先ほど、オーラを細分化するとたくさんの原子があると言いんした。レアオーラとは原子が一つだけのオーラのことを言いんす」

「どういう意味?」

「簡単な話でありんす。血液型には稀に全ての型に対応できるものがあるように、オーラの原子にもそういうものがあると言うことでありんす」

 ホームズはネキの言葉をゆっくりと飲み込み消化すると、目の前の少し冷めたホットミルクを啜った。

「でも、それって個人で気付くのって凄く難しくない?」

「良いことに気付きんした。そうでありんす。このことは他の人のオーラに触れないと分からないでありんす。ですが、ホームズ。わっちたちにはその障害はないはずでありんす」

「障害は、ない?」

 ホームズは両目を閉じてゆっくりと考えた。そして、己の体を眺めると気付いた。

「尻子玉!尻子玉があるから、どんな原子があるのかが分かる!」

「正解でありんす。わっちたちは河童。運良く河童でありんした」

「ホントだね。ホントに運が良かった。でも、僕とワトソンは特別だったんだね」

「ウミは全然特別じゃないよ」

 すると、一人除け者になってしまったと感じたウミが唇を尖らせながら、太ももの腕に座るホームズの腕を掴み適当にブランブランさせた。

「いじけないでおくんなし。構って欲しいならカラワラに言うなんし」

「むう。ホームズは諦めてあげるけど、ネキは良いじゃん」

 ネキは思わずため息を吐いた。

「介抱が面倒でありんす」

「ネ~キ!」

 ホームズは尚も腕をブランブランさせられながらも、ネキのことをずっと見ていた。だから、ネキは相変わらずパンクしたままのワトソンの頭を撫でてから話を戻した。

「えっと、レアオーラの説明は終わったでありんすね。では、『悟り』のことを話しんしょう」

 ホームズは待ってましたと言わんばかりに頷いた。ネキとウミはそのホームズの反応に思わず頬を緩めて、視線を合わせた。

「『悟り』とは、先ほど、オーラのことで原子のことを言いんしたが、原子の内どれか一つでも、完全に消費したら、原子の認識を百パーセントできたことを言いんす。純白の一閃が現れたら、『悟り』を開いたと言うことでありんす。効果は威力が跳ね上がりんす」

「じゃあ、ワトソンは身体能力の強化で『悟り』を開いてたってこと?」

「ええ。おそらく、間違いないかと」

「僕も、僕もできるの?」

「正直、難しいでありんす。ワトソンも、もう一回できるか?と言われれば難しいと答えざるを得ないでありんす」

 ホームズは顔を下げてホットミルクの水面を眺めた。だから、ネキは優しく言った。

「安心しておくんなし。『悟り』を開くまでは行かずとも、ほぼ完全消費、原子の認識度をほぼ百パーセントまでは持っていけるはずでありんす。それに、ホームズなら、一度『悟り』を開くことができたら、何度でも『悟り』を開くことが可能でありんすよ」

「何で、僕が・・・?適応と意識認識の拡大。そうか。改めて、僕のシックスセンスは凄いな」

「でしょ。だから、まだ、自分のシックスセンスを現れていないワトソンが心配なの。ホームズ。危険なことはしないでね」

 頭の上にウミの顎を乗せられたホームズは顔を顰めながら、自分のシックスセンスの有用性の高さを認識して、双子の妹のワトソンが、まだ、自分のシックスセンスが現れていないと言うことの恐ろしさが分かった。

「おまけに、ワトソンは『悟り』を一度、開いている。僕より才能がある」

「大丈夫でありんすよ。心配する必要は全くありんせん。力は使い方でありんす。どんなに切れ味が鋭い刀があっても、実際に斬られなければ、全く怖さがありんせん。つまり、ワトソンの方が強いからって卑屈になる必要は全くないと言うことでありんす」

 ホームズの表情が少し緩んだ。ウミはホームズが、まだ少し、硬直しているのを感じた。だから、ホームズの両頬を押した。

「ホームズ。ワトソンと比べる必要は全くないよ。ホームズはホームズにしかない強さがある。オーラの細分化の話もそうだけど、比較する対象を狭めないことは大事だよ」

「比較する対象を狭めない?」

「単純な話でありんす。例えば、わっちとホームズが腕相撲をしたら、どうなるでありんすか?」

 ホームズは少しだけ深く考えて答えた。

「オーラ、身体能力の強化だけなら、絶対負ける。でも、シックスセンスを使えば少しぐらいなら抵抗できるかも」

「そう言うことでありんす。ある一点で負けている。では、違う点で勝負しよう。この考え方は凄く大事でありんす。ですから、自分の良さを見失ってはダメでありんす」

「ねえ。母さんにワトソンを任せてネキが僕の面倒を見てよ」

「ホームズ・・・」

 ワトソンはホームズがワトソンと言った言葉にだけ反応した。少し前から復活したものの、会話に入って来れなかったワトソンはホームズと一緒にいられる時間が短くなるかもと言う可能性を感じて悲しそうに、寂しそうに言った。

 ネキとウミは視線を合わせて笑った。ウミはホームズの両目を広げた。

「視野が狭まってるよ。別に一人だけしか面倒を見れないなんてネキは言ってないでしょ。それに、四人で楽しんだら良いじゃないの」

 ネキもワトソンの両目を広げた。

「ワトソンもホームズだけに拘らないで良いのでありんすよ」

「やだ!ホームズとずっと一緒にいるの。そろそろ、放してよ」

「くはっ。はっはっはっはっは。ごめん。ワトソン。僕が間違ってた。そうだね。もっと自由に考えないと。決めたよ、ネキ、母さん。僕は、常に斜めから色んなことを見るよ」

「ふふふ」「ははは」

「斜めからでも私を見てね?」

「うん。もちろん」

 ワトソンは息を吹き返してルンルンで足をブランブランさせた。だが、ネキとウミは笑っている場合ではなかった。思わず笑ってしまったが、軌道修正をする必要がある。

「でも、常に斜めから見るのはダメよ。ホームズ」

「うーん。どうだろう。せめて、僕がそこまで視野を広げることができるまでは続けないといけないと思うんだけど?」

「ダメでありんす。ケースバイケーズでありんす。今からそんな考え方をしていれば、癖が付いてしまうでありんす。止めておくんなし」

「何で、ホームズがしようとすることにケチ付けるの!」

 ワトソンの強さと恐ろしさを教えるはずが、思わぬ方向に話が進んでしまったことに、ネキとウミはため息を吐くしかなかった。

 ホームズの目には覇気が宿り、意志が固いように見えた。

 ワトソンはルンルンでホームズのことしか見えなくなった。

「ウミ。頑張っておくんなし」

「ダメよ。一緒に住んでるんだから、そんなことさせないわ!」

 ネキは現実から逃げようと、ウミはネキにも、ちゃんと、現実に向き合ってもらおうとそれぞれ画策して必死になった。

「梃子でも動かないでありんす。きっと」

「だから、協力してって言ってるの」

「カラワラに任せるのはどうでありんしょう?」

「そんなことは決定事項だよ。何言ってるの!」

「むう。わっちは、ママではありんせん」

「だからって、逃げるのは無し。ちゃんと、今から、軌道修正しないと大変なことになっちゃう!」

 そんな中、ホームズとワトソンは視線を合して笑っていた。そして、ホームズはオーラを纏って自分とワトソンを瞬間移動をさせて自由になると二人で抱き合って、フカフカの椅子に寝転んだ。

 ネキとウミはその様子を見終えると再び視線を合わせた。

「分かりんした。具体的な策を考えんしょう。ホームズの行動が読めなくなることはほとんど、間違いないでありんす。ですから、その時に、どう対処するかでありんす」

「うーん。だね。でも、どうしよう。ウミは今更自分の中の常識を変えられる気がしない」

「それは、わっちもでありんす」

「まあ、でも、きっと、悪い方向には行かない気がする」

「それは、同感でありんすが・・・」

「ウミたちなら、きっと、どんな斜め上のことをされても、何とか対処できるんじゃないかな。だから、これ以上、深く考える必要はない気がする。ネキが手伝ってくれることは決定したしね」

「振り回されるでありんすよ?」

「うん。ドンと来いだよ」

「では、わっちはなるべく、ホームズを止めないでありんす」

「えっ!?」

「何でもかんでも、わっちが手伝うと思ったら大間違いでありんす」

「むう。ホントは手伝ってくれる癖に。ツンデレね」

「デレてないでありんす」

「構ってちゃんが出てたよ。可愛い。意外と押せばチョロいのよね。晩御飯はどうする?」

「・・・。美味しければ何でも構わないでありんす」

「ははは。じゃあ、面倒見ててね」

 ホームズのことをどう対処するか、方向性が決まった。ネキはウミの放任主義で、だが、ちゃんと信じているこの姿勢を見ると、逆らえなかった。慎重に考えるネキでも、自然と、きっと、何とかなると考えれてしまうから。

「まあ、実際、わっちが見た方が楽ではありんすからね」

「そうね。ウミは普通のオーラだしね」

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