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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第二章 未来は僕の手の中に
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第二章 02 ホームズとワトソンは天才

 俺は、このカラワラは、フロンティアの王として悪人は捌かなければならない。




「おい、ネキ。いい加減、旦那を作れ。いつまで、俺と一緒にいるつもりだ」

「うぅ、どうして、そんなこと言うでありんすか。わっちが折角、フロンティアの王の仕事を手伝っているでありんすのに」

「フン。こんな仕事、俺一人で十分だ。失せろ」

「全く。酷いでありんすね。もうそろそろ・・・」

「分かっている。旦那を作る気がないのならホームズとワトソンの面倒を見るのを手伝え。はあ。ったく、どうして、ウミより、ネキと一緒にいる時間の方が長いのか。せめて、独りで殺らせろ」

「そこまで、わっちといるのが嫌でありんすか。ですが、まだ、時間が掛かりそうでありんす。心子玉の動かし方は」

「魂を動かして何がしたい?熟知するだけでは気に食わぬか?」

「今のフロンティアでは、命の保証がいつまで経ってもありんせん。ですから、わっちは、せめて、愛する人が勝手に逝かない方法を見つけたいでありんす」

「そんなもの、シックスセンスがあろう。それに、ブラコンが過ぎるぞ」

「別にカラワラのことを言ったわけではありんせん!」

 ネキは顔を真っ赤に染めて叫んだ。二人はフロンティアの中にあるオーラの残滓が空気中に多量に霧散している森の中。その、更に奥にある、綺麗な川の上流にいた。

「ネキ。俺のことが好きだったのか!?」

「全然でありんす。勘違いは止めておくんなし。・・・ブラコンと言ったら、ワトソンではありんせんか?」

 ネキは、まだ、疑いの目を向けて来るカラワラに少しの沈黙の後、ワトソンのことに話を振った。カラワラは顔を顰めて嫌そうな顔をした。

「しまったなあ」

「口に出ているでありんす」

「ホントに困ってるんだよ。・・・・・・」

 カラワラは腕を組んで首をひねり唸った。そして、手のひらに拳を乗せてネキ口角を上げて行った。

「ホームズのヒロインレースに参加したらどうだ?」

「は?」

「ホームズのヒロインレースに参加したらどうだ?・・・足りぬか。ワトソンのライバルに、強敵になってくれ!」

「うーん。からかう、ってことでありんすか?」

「そうだ。今のままでは、ホームズはワトソンと、ずっと、一緒にいるしかない」

「面倒でありんす」

「そうか。だが、ホームズはともかく、おそらくワトソンは完璧に魂を熟知しているぞ」

「は?」

「分かっている。有り得んことだ。だが、ホームズは生まれた時から、魂の熟知がかなり進んでいた」

「わっちも薄々とは予想しておりんしたが、カラワラが言うとなれば、確信に変わりんす。それに、わっちたちは特別でありんすからね」

「まあ、俺たちは稀のオーラ、レアオーラだからな。まあ、子供も俺たちの特性を受け継いでいるのは当たり前ではあるんだが。問題は俺たちにはなかった、特性があると言うこと」

「スタートラインが違う、魂の熟知の段階に最初から到達している、でありんすね」

「そうだ。まあ、魂の熟知の方は完全に俺の予想だ。だから、ネキ。ワトソンをホームズとのヒロインレースから引きずり降ろしてくれ」

「まだ、言いんすか?諦めが悪いでありんすね」

「ワトソンが俺に懐かないんだよおーーー!」

「そう言うことでありんしたか。っとに。・・・来たでありんす」

 カラワラとネキは川の中から体を出した。目の前には禍々しいオーラを纏った、飢餓状態からか目付きが鋭く頬がこけた男が手に小刀を構えてやって来た。男はカラワラとネキを見ると背中を向けて全力で駆けて逃げ出した。

「はあ」

 カラワラは一度ため息を吐くと瞬間移動をして目の前に移動をした。男は突然姿を現したカラワラに驚き、一瞬だけ瞬きをした。

「カラワラ流『瞬き』『螺旋』」

 カラワラはオーラを纏うと目を一瞬だけ閉じている男に一瞬にして距離を縮め、そして、右腕を捻りながら心子玉を掌底付きでくり抜いた。

「人殺しをするからこうなる。ネキ!」

 カラワラは心子玉をネキに投げ渡した。

「さて、どれぐらい形を変えることができるか」

 ネキは魂を粘土を捏ねるようにして捏ね繰り回した。

「やはり、外殻だけ形を保っていたら中は捏ね繰り回しても大丈夫。何か、有効活用ができそうでありんすね」

 ネキの手から心子玉が消えて淡い光がユグドラシルに還った。

「やはり、一分ほどでユグドラシルに魂が還りんすね」

「まあ、力技で無理やり引き延ばしてだがな。で、掴めたか?」

「やはり、動かすことは難しそうでありんす。ですから、死ぬ前に何かしらの仕掛けをして置くことが一番でありんす。カラワラ。わっちの実験台になっておくんなし」

「やだ。何で、心臓を潰されなければならぬ。痛い思いは御免だ」

「ほんのちょっぴり、臨死体験をするだけででありんすよ?」

「ほんのちょっぴり、ねえ。バカか。それに、もう考えがあるのだろう?」

「ええ。ですが、今のままでは道連れになってしまうでありんす」

「死を強制的に共にする、か。将来の伴侶を早く見つけるんだな」

「酷いでありんす。わっちが独り身なのを知って、良い感じな人もいないことも知って、うぐっ」

「泣き真似をするな。多分、俺はネキの考えを実現できる。だが、ウミともしないし、ネキともしない。俺の人生は俺だけのもので俺以外の誰かに締め付けられるものではない。だが、戦いのための一つの手段としては便利かもしれないな」

「わっちは、誰かの人生を縛るためにこんな研究をしているわけではありんせん。ただ、死ぬ瞬間に好きな人と繋がって生き残ると言うことがあれば、とても素敵だとは思わないでありんすか?」

「まあ、素敵だが言いようだな。どんなことにも完璧なことは存在しない。だから、俺は、ネキがこれを一般化したいのであればすれば良いとは思う。必ず、悪用をしようとする輩は出て来るだろうがな。まあ、その時は、俺が、このカラワラがフロンティアの王として対応する。・・・・・・だが、ネキ。生涯の伴侶を見つけろ」

「むう」

 ネキは口を大きく膨らませてジト目でカラワラを睨んだ。だが、カラワラは軽く肩をすくめると体を膨らませてずぶ濡れの体を乾かした。

 ネキとカラワラは幼い時から、死が身近にあった。たくさんの突然の死を見て来た。カラワラはフロンティアの王になり、フロンティアの秩序を取り戻そうと、ネキはカラワラが救い切れない死、望まぬ死を遂げる人たちを少なくしようと違うアプローチでそれぞれ模索していた。

「俺はもう少し、ここで、処刑するが、ネキはどうする?」

「わっちは、ヒロインレースに参加しに行くでありんす。わっちの研究はこれ以上は微妙な差でありんすから」

「ほう。ホームズのことを意識しているのか。案外乗り気だったんだな」

「違うでありんす!」

「そんなに怒るな。ワトソンを上手く懐柔すれば、今の差ぐらいならすぐに、巻き返せる」

「ワトソンを上手く懐柔すれば・・・。カラワラができなかったことをわっちに押し付けているだけでありんすね。全く。情けないでありんす」

「頼んだぞ」

hhはホームズを抱っこして走っているウミがワトソンに追いかけられていた。ワトソンは浮遊してウミを追っていて、時折、河童の拍手もしていた。さすがの、ネキも茫然と立ち尽くして眺めていた。

「ホームズを預かりんしょうか?」

「えっ!?ホームズを。確かにそうね。うん。ウミはもう、追われないはず。良いわ」

 ウミはネキにホームズを瞬間移動をさせた。すると、今まで、ウミを追っていたワトソンが進行方向を変えてネキを追い出した。

「さて、ホームズ。いつまで、無でいるつもりでありんすか?」

「これが一番楽なんだ」

「なるほどなるほど」

 ネキはホームズを持ち上げて顔を見た。覇気がなかった。ネキは試しに一度、ワトソンに見せつけるようにキスをした。ホームズは体を硬直させて顔を真っ赤に染めると目を大きく見開きネキを凝視した。ウミもようやく休めると尻もちを着いていた体をすぐに直立させてネキを凝視した。そして、一番大きくリアクションしたのがワトソンだった。

「ネキ?」

 ワトソンは立ち止まり首を傾げて無感情で冷たい視線をネキに向けた。悲しみよりも怒りが勝っているようだった。ホームズの顔を見たら、もっと凄みが増していただろう。数秒の静止の後、ワトソンは自分のオーラを最大限に纏い一直線に飛んだ。それは白い光の一閃を纏っていた。

 ネキは唾を飲み込み冷や汗を掻くと自身もオーラを纏いシックスセンスを使った。

「簡易領域」

 白い光がワトソンを包みワトソンは体から力が抜けた。だが、そのまま、一直線で威力はそのまま迫って来ている。ネキはワトソンのオーラを霧散させてウミにホームズを瞬間移動をさせるとワトソンを受け止めた。

「さすがに、危なかったでありんすね。ですが、カラワラの予想通り、魂の熟知が完璧でありんす。そして、レアオーラ。全く。この年で『悟り』を開くとは末恐ろしいでありんす」

 ネキがしみじみと感想を語っているとワトソンがネキの胸を噛んだ。薄っすらと血が出て来た。ネキは顔色を変えてワトソンに怖い笑みを浮かべた。

「ワトソン。死ぬ覚悟はできているでありんすね」

 ワトソンはネキの冷めた怖い笑みを見て、全身が震えて逃げようとした。だが、怒ったネキを止めれるはずがなかった。

「ひぃ!?」

 ワトソンの両手には手枷が嵌められた。

「さて、話しておくんなし」

「待って。ワトソンのこともだけど、どうしてホームズにチュウしたの?」

「カラワラの指示でありんす」

「カラワラの?あの人、何を考えているのかしら」

 ネキはカラワラのせいにして、内心のドキドキを隠し、ウミはカラワラに思考が読めなくて頭を抱えた。ホームズはワトソンを凝視していた。さっきの超パワーが気になったみたいだ。対してワトソンはシュンとしながらもホームズのことをしっかりと凝視していた。だから、ホームズとワトソンは目が合った瞬間、軽く微笑んだ。




「なるほど。ワトソンをホームズから引き離そうとしたら、ああなったと。大変でありんすね」

「だから、僕は言ったんだ。絶対無理だって。でも、母さんは聞かなかったから」

「ふむ。ワトソン。ホームズが修行をしている間ぐらい待てなかったでありんすか?」

 ネキは太ももの上で座るワトソンに問いかけた。ワトソンは足をブランブランさせながら目の前のホットミルクをふうふうしていた。

「だって、昼ご飯の時にママにいたずらされたもん」

「ワトソンが悪かったじゃないの。ホームズの芋を食べちゃうんだから。何か、いいわけはある?」

「そもそも、私を試そうってのが悪いんだよ。どう、思う、ネキ?」

「うーん。確かに試すのは良くないでありんすね。ですが、我慢ができないワトソンも悪いのは間違いないでありんす」

 ワトソンは表情をパッと明るくさせたが、すぐに唇を尖らせてネキのすねに踵をぶつけた。ネキはワトソンのその態度に笑顔のまま頭をぐりぐりとした。

「ワトソン。わっちが我慢と言うものを教えてあげんしょう」

 ワトソンは「痛い痛い」と半泣きでワトソンの両腕を力づくでどけようとした。

「ネキがワトソンの教育をしてくれるの?凄ーく助かる」

「わっちは我慢と言うものを教えると言いんした。・・・ホームズ。どうしたでありんすか?」

 ホームズはずっとワトソンを見ていて時折ネキに視線を向けていた。

「さっきの、さっきの白い光は何?」

 ホームズは真剣な顔をしてネキに聞いた。だから、ワトソンはホームズの顔を見て黙ってネキを見つめた。ワトソン自身も自分が信じられない力を出したことが気になっていたようだ。

 ネキはウミに目配せをした。ウミは頷いて太ももの上に座るホームズの頭を撫でた。

「教えてあげんしょう。少々早いでありんすが。ホームズ。今まで以上に力の使い方に気を付けておくんなし。ワトソンも」

 ホームズとワトソンがネキが余りにも真剣な顔で声で話したため、思わずゴクリと唾を飲み込んだ。

「「うん」」

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