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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第一章 強く生きたい
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第一章 18 一直線のデスロード

「くあ」


 ツリトが目を覚ました時、乾燥のせいか喉が渇いていた。頬には柔らかい感触があり、視界には綺麗な銀髪があった。意識を覚醒しようと、体を動かそうとした。できなかった。どうやら抱き枕にされていたみたいだ。と思っていたが、実際はツリトもネキの方に体を向けていた。両手はネキの胸に下にあった。だから、ツリトが頬には感じていた柔らかい感触はネキの胸だ。ツリトはネキを起こすことにした。


「ネキ起きろ」


 ツリトが口を動かした時思わず顔を顰めた。眠っている時に口を開けていたのかネキの胸が湿っていた。涎を垂らしていたみたいだ。


 悪寒を感じた。


 ツリトはネキのお腹を押した。隙間を作って逃げようとしたが、上手く肘を伸ばせずできなかった。脚も絡まれていて、いよいよ、オーラを纏うしかないかと諦めていた時、泣き声が聞こえた。


「グスッ。酷いよ。ネキのおっぱいを飲む間柄なら、昨日、カシャちゃんとナスちゃんにもちゃんとフラないと!これじゃあ、余りにも、可哀想だよ!」


 ネキは叫ぶとドアを思い切り閉めて走って出て行った。その叫び声でネキは目を覚ました。


「んん。あら、ツリト。こんなに涎を垂らして。まさか⁉︎仕方ないでありんすね」


 ネキはツリトの顔を胸に引き寄せようとした。ツリトは体を膨らませて隙間を作ると離れた。


「ルリに謝れよ」

「はて?何故?」


 ネキははだけたキャミソールのような下着を直しながら首を傾げた。




「まさか、ツリトが決意を固めて、ルリだけ先にフッていたとは」

「そうだよ。だから、ツリト君。ネキの胸に涎を垂らせるんだったら、ルリの胸にも垂らしてよ!」


 あの後、すぐにルリを捕まえて、ツリトとネキはルリと一緒に温泉に入っていた。カシャとナスも目を覚ましていたが、ツリトがネキと寝ていたことで勘違いさせてしまったと言うと、一緒に慰めるとは言いださなかった。だから、二人は朝ご飯を作っている。その間にツリトたちは温泉でゆっくり話を、ということになった。


「何でさ。いつも一緒に寝てるから俺が寝ている間に何かしてるだろ。どうせ?」


 ツリトは冗談のつもりで聞いた。だが、ルリは急に勢いがなくなり、ツリトの腕の中でシューンとなった。


「ええ。ルリは普段、ツリトの朝勃ちを毎朝触ってるでありんす」

「マジ・・・」

「触ってない!真に受けないで」

「でも?」

「・・・撫でてる」

「アウトだな」「アウトでありんすね」

「キャン」


 ツリトは遠慮なくルリの巨乳を揉んだ。ルリは最初はビクッとしていたが、嬉しそうにして元気を取り戻した。


「ですが、ツリト。どちらでありんすか?」

「何で、ネキに答えないといけないのさ?」

「では、誰がフラれた方を慰めるでありんすか?」

「仕方ないなあ。ルリが代わりに答えてあげるよ。ツリト君が好きなのはーーーーーでしょ?」


 沈黙が流れた。ツリトが答えないから。ネキはツリトを優しく慈しむように見た。嬉しかった。ツリトの愛を受け入れる心構えに。出会った頃の強い愛に向き合わなかった頃からの成長に。


「ああ。僕が好きなのはーーーーーだ」

「ツリト。でしたら、〇〇〇〇〇にわっちは夜這いをお勧めするでありんす」

「は!?」

「ルリにも方法を教えてくれるの?」

「ルリは入らないでありんす。ですから却下」

「酷いよ」


 ルリはツリトの腕のなかで暴れた。筋肉が異常なんだから止めて欲しい、と思いながらツリトは更にルリを抱きしめて引き寄せた。少し沈んだ空気が明るくなった。




「「ツリト」」「「「ツリト君」」」

「「「行ってらっしゃい」」」

「おう。豪華な食事を用意して待ってて」

「行くぞ、ツリト」

「うん。ゼウス」


 二人は皆に見送られて瞬間移動をしてエリアフォーアウトに入った。


「よっ、プリティー」

「にゃ、昨日ぶりだね。にゃに?」

「このまま、ずっと独りで良いのか?」


 プリティーは宙に浮いたまま顎に手をやった。大きさは最初にあった頃から全く変わらない。生まれたての子猫ほどの大きさだ。


「僕は・・・」

「しゃあない。待ってろ」

「待ってろ?」

「にゃっ!?」


 ツリトはデコピンをしてプリティーを皆が待つ家に瞬間移動をさせた。


「強引だな」

「うん。前から考えてたんだ。でも、プリティーは断るだろうなあって思ってたから、ずっと言えずにいたんだ」

「その心変わりは?」

「プリティーは僕の愛に怖がってる。でもね、僕はずっとプリティーにもっともっと愛を知って欲しいって思ってたんだ」

「そうか。今日は、上から全体を見ている」

「うん。一つだけ。僕はシヘンに選択肢を与える」




「さて、前哨戦と行きますか。さすがに、エリアフォーアウトに超獣は集めてるよな?」


 ツリトは河童だ。尻子玉を食べることにより、違う種類のオーラを手に入れれるし、違う種類のシックスセンスを使える。オーラの原子も当然違う。だが、それで、分子の認識度は変わらない。自分の魂を熟知していれば、そこに、ハードルは生まれない。


 つまりは、ツリトはこの十六年で、十八になるまでの間でたくさんのシックスセンスを得ている。それは、自分のオーラの分子の認識度と変わらずだ。


「フロンティアの生物って結構引き寄せるシックスセンスって多いんだよね。何でか近接戦闘を好む、違うな、おそらく、剣を操れないように、体外に力が加えることが苦手なんだろうな。だから、腐るほど手に入れているわけさ」


 ツリトは大量のオーラを纏った。それらは全て引き寄せる性質を持っている。


「引き寄せるものの選択って結構簡単にできるわけさ。ほんでもって、超獣って結構似通った魂。だから、一瞬で終わらせるよ。僕とシヘンの戦いに邪魔が入るのは勿体ないだろ?」


 ツリトは自分のオーラも纏った。


「前哨戦はさっさと終わらせる」


 ツリトは一直線に走った。エリアフォーアウトにいる全ての超獣を引き寄せながら。大量のオーラを消費しているため、超獣たちが引き寄せられるスピードはかなり速い。そして、また、ツリトが斬撃を纏いながら走るスピードも速い。ツリトは山奥にいるシヘンに向かって超獣の血潮を置き去りにして猛スピードで走り抜けた。振り返れば、樹を斬り刻み綺麗にできた一本の赤い道ができていた。血の水溜りだ。


「よう。シヘン。逃げなかったことは偉かったね」

「フン。俺の長年の研究を一瞬で。だが、勘違いするな。あいつらは、あくまでも、モルモットだ」

「ああ、そう。単刀直入に聞いても良い?」

「答えられることならな」

「デストロイからの蜜は甘かったかい?」

「フン。そんなことか。なら、安心しろ。俺が貰った蜜は最上級に甘い。フロンティアに革命を起こせるほどな」

「そうか。で、何を貰ったの?」

「フン。教えるバカがどこにいる?」

「それもそうだね。じゃあ、始める?」

「準備は既に整っている。覚悟しろ。今から出て来る超獣は成功した超獣だ。くれぐれも同等の扱いをしてくれるなよ」


 ツリトは後ろを親指で指さした。


「フン。目の前の景色が分からないの?僕ならこの一直線の血の水溜りを更に長くできるよ。一直線のデスロードを綺麗に舗装してあげるよ」


 ツリトの目の前にはゴリラのような生き物と、ペガサスのような生き物の超獣がゆっくりと歩を進めていた。前哨戦が終わり、いよいよ決戦が行われようとしていた。






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