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TSURITO-繋げる未来  作者: カバの牢獄
第一章 強く生きたい
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第一章 12 ゼウスの修業の仕方

 六年後。


「じゃあ、いつも通り、遠慮しなくていいからね」

「フン。このゼウスとて油断はできぬよ」

「じゃあ、いざ尋常に」

「「勝負」」


 ツリトとゼウスはユグドラシルの近くの開けた土地で相対していた。かれこれ十四年間ここでツリトはゼウスに鍛えられていた。ツリトは成長期まっしぐらで身長はかなり伸びていた。そして、ここ六年、ツリトが魂という領域に踏み込んでから修業は激化した。最近は専ら実践形式がほとんどだった。


 ツリトは今、魂の熟知が進んだことにより、ベン図で言うと自己完結型または他者完結型または領域型のオーラを使えるように成長していた。


 二人は勝負の合図と共にオーラを纏った。


 ツリトはオーラを纏うとすぐにゼウスに鋭い斬撃を一閃飛ばした。


 対するゼウスは上から三番目の右手で左手を殴った。と同時に上から二番目の両腕をグーで打ち合った。


 すると、ツリトが飛ばした斬撃は反射されてツリトは引き寄せられた。ツリトに自分で飛ばした斬撃が迫った。斬撃はツリトに当たる前にオーラに触れて斬られた。


「にしし」

「かなり使い熟せるか」


 ツリトは斬撃を自分自身に纏っていた。そのためにオーラに触れて斬撃が斬られたのだ。ツリトは引き寄せられながら、今度は先ほどより凝縮された斬撃を飛ばすために集中した。


 ゼウスは上から二番目の腕を自由にすると胸に星の印を二つ刻んだ。そして、ツリトが斬撃を飛ばす前に見えざる手でツリトを挟むように拍手した。だが、その見えざる手に潰されることなく、斬撃でしっかりと肉体を守っていた。ツリトは見えざる手を斬る鋭い斬撃をゼウスに向かって飛ばした。


「飛べ」


 ゼウスは瞬間移動をしてツリトの背後に移動するとツリトは今度は飛ばした斬撃と真反対に引き寄せられた。と同時に斬撃もツリトに向かって飛んで来た。


「こりゃ、ジリ貧だな」


 ツリトは瞬間移動をしてゼウスの後ろに移動した。そして、オーラを増量させて原子の大きさを大きくして質上げすると、剣を具現してオーラを変質した。全てを他者完結型のオーラに変えた。


「本気で行くよ」


 ツリトは鋭い斬撃をゼウスに飛ばした。


「飛べ」


 ゼウスは二つの斬撃に挟まれてツリトの後ろに瞬間移動をした。そして、もう一度、


「飛べ」


 と言った。ツリトはすぐにゼウスの気配を探った。だが、ゼウスの気配は動いていなかった。ゼウスが瞬間移動をさせていたのはーーーー


「ぐはっ」


 ゼウスはシャドウで上から三番目の右腕で寸勁を放っていた。その衝撃が瞬間移動されていたのだ。ツリトのお腹に穴が空いた。ツリトはすぐに治癒すると、上空に瞬間移動をして浮遊した。


「そんなこともできるのね」


 ツリトは剣を持つ右手だけを他者完結型の原子だけのオーラに変えると残りは自己完結型の原子だけのオーラに変えた。


「っとに嫌でも鍛えられるよ。認識度をね」


 ツリトは魂を熟知したことにより、オーラを成長させた。三種類の型を成長させたことによりオーラの質が上がったのだ。だが、質が上がった=それを十分に使えるかと言ったら微妙なところがある。確かに一つ一つの原子が大きくなり、パフォーマンスは間違いなく上がっている。だが、一つの原子をどれぐらいシックスセンス、ないし肉体の強化をするためのオーラとして消費できるか。つまり、消費効率はどれぐらい良いのかと言ったら微妙なのだ。消費効率=認識度なのだ。


 ツリトの認識度は型によって偏りがある。他者完結型が六十パーセント、自己完結型が五十パーセント、領域型が五十五パーセントである。尚、原子の大きさが違うため一概に威力の区別がされているとはならない。ツリトの場合は他者完結型が自己完結型の二倍ほど大きくて、領域型が自己完結型の二分の三倍ほどある。


 つまり、ツリトはゼウスの攻撃に対処するために自分の纏っている斬撃(自己完結型)に集中しなければゼウスの衝撃の瞬間移動と普通の瞬間移動からの攻撃両方に対応ができないのだ。だから、嫌でも自己完結型の原子の認識を強く意識してオーラとして消費しなければならなくなるのだ。


「そのための、修業だ。だが、二種類だけだと誰が言った?」

「まさかっ!?」

「飛べ」


 ツリトがゼウスの目の前に瞬間移動されてお腹に二つ穴が空いた。星から見えざる手で殴られたのだ。


「ぐはっ」

「ツリト。貴様はまだ治癒が遅い」


 ツリトはかなり、速い方だがゼウスレベルになるとかなり遅いのだ。だから、ゼウスがツリトにハートの印を刻んだ。ツリトの体が一瞬で治癒された。


「全体として、ツリトは自己完結型の原子の認識度が低い。他のシックスセンスのオーラの原子の認識と同時進行で極めるのは構わないがそれは難しい。故に、自分の自己完結型の原子の認識に集中しろ」

「容赦ないね」

「このゼウスを誰と心得る」




 今日は、ツリト君の修業を付けなくてもいいから、ネキとケーキ作りに励んでいた。ネキが育てている蜂からとれる蜂蜜は優秀で蜂蜜酒にするのも良いし、ケーキ作りをするために使うのにも良かった。その蜂蜜を使ってケーキを作っていた。果物は、これも、ネキが育てている赤色の葡萄を使った。実は、ネキは結構作物を作ったり卵のために鶏、牛乳のために牛を飼育したりとしていた。長年生きているだけあって生活基盤をしっかりと作っていたのだ。ルリはそのネキが育てたものを使ってクタクタになって帰って来るツリト君のためにケーキを作るのが最近の日課だった。今日は、ネキが珍しく手伝ってくれて、いつもより早く終わって、時間が余った。だから、ツリト君のところに行ったらーーーー



 ツリト君はゼウスにお腹を貫通させられていた。



 ルリは目を閉じてから一度大きく深呼吸をした。そしてもう一度、目を開けて見てもその結果は変わってなかった。ルリの目からは大量の涙が零れた。


 どうして?あんなにツリト君のことを大事に思ってたじゃん。なのに、どうして、そんなことしたの?ルリ、ゼウスがそんなことするなんて思いもしなかったのに。もう、ツリト君に、会えないの・・・。そんなの、そんなの、嫌だよ。もっともっと、ツリト君の肌に触れ合いたかったのに。もっともっと、いっぱい話したかったのに。もっともっと・・・



「まだまだっ!」



 は?・・・・・・。まさか、修業の段階であんなに死に近いことやってるの!?


 ルリは驚愕した。ゼウスの修業のやり方に。よく見たらツリトにハートの紋様があるのも確認できた。


 いっつも、ゼウスとの修業の後、確実に成長してるからどんなことしてるんだろうって思ってたけど、まさか、こんなことしてたなんて・・・。ネキと一緒にゼウスに粛清をしなきゃ。


 ルリの視界にはツリトがゼウスと組手をしているのが見えた。ゼウスはツリトの身に纏っている斬撃など意に介さずに十本の腕で手加減はしているが、容赦なく、ツリトを殴ったり、手刀で体を抉ったりとしていた。ゼウスの胸にもハートの印が刻まれていて傷が付いた手はすぐに治癒されていた。


「そろそろ、終わりにするか。最後は好きなように掛かって来い」

「にしし。なら、体力はほとんどないからね」

 ツリト君とゼウスが一定の距離を取った。

「領域展開」「簡易領域」


 ツリト君はルリに気付いて領域を透明にしてくれた。ゼウスは地面に影を伸ばして大量の腕を生やした。だが、そのどれもが斬り刻まれていた。やがて、ゼウスが手の上を走ってツリト君に近づいた。ツリト君は笑って、鋭い斬撃をゼウスに真っ直ぐに飛ばした。ゼウスのギアが上がった。ツリト君の斬撃は凄く遅くなって領域内のゼウスに飛ばされている斬撃も遅くなっていた。ゼウスはツリト君の斬撃を避けて最後にツリト君のお腹を貫いた。すぐに手を引き抜くと、穴は塞がった。ツリトは眠ってしまった。


「説教ね」


 ルリは絶対ゼウスに説教してやるんだからっ!




「来てたんだ、ルリ?」


 目が覚めたツリトはルリの巨乳が視界にいっぱいだった。ルリに膝枕されていたのだ。二歳児ほどの身長しかないため丁度良い枕だった。


「ねえ、ツリト君。ゼウスといつもあんなことしてるの?」

「まあ、ここ六年ぐらいかな」

「ホントだったのね、ゼウス」

「何度も言った。魂の熟知、型の認識度を上げるのに最適なのは死に近づくことが一番だ。ワルキューレのあれが将にそれだ」

「ルリはさすがにやり過ぎだと思うんだけど?」

「だが、一番成長している修業だ。経験と実績だ」

「はあ」


 ゼウスはネキの兄、カラワラにこんなことをされていたのかもしれないね。


「だとしても、本人同士が納得していたとしても、テコ入れが必要だわ」


 現在、一週間の内、三日はゼウス、二日はルリとたまにネキ、残り二日は一日ずつカシャとナスとデートとなっていた。


「ルリが週に三日、ツリト君に修業を付けるわ」

「ツリトの一番の成長に貢献しているのはこのゼウスだ」


 ゼウスとルリが睨み合った。ツリトは二人の険悪なムードに少し体が身震いした。このまま状況が進展しそうな感じがなかったため、ツリトは上半身を起こして体の向きを変えて提案した。


「二人が戦ってるところ見て決めたいかな」


 ツリトがずっと見たかった戦いだ。二人に修業を付けられていると、ルリは謙遜しているが二人の実力は拮抗しているように思えていた。


「構わん。やるか?」

「お腹が空きんした。やるなら、ちゃっちゃと終わらしておくんなし」


 ネキがお腹をさすりながら瞬間移動をしてやって来た。手にはルリとネキが一緒に作った葡萄のタルトケーキを持っていた。


「ツリト、端で一緒にお茶しておくんなし」

「ちょっ」

「やらないでありんすか?」

「やるよっ!やったらいいんでしょう!」」

「さっさ、ツリト。わっちが作ったケーキでありんす。一緒に食べておくんなし」


 ネキはツリトを引っ張って少し離れると透明の球を作ってその中に簡易的な机とカップルシートを浮遊させた。


「ルールはどうする?」

「先に体を貫通されたら負け」

「フン。久しぶりに楽しめそうだ」

「ルリも久しぶりに全力を出すよ」


 ルリは後悔もありつつ楽しみで心が躍った。と同時にゼウスというフロンティアの王と戦うということに大きなため息を吐いた。

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