彼女は僕の事を見ていない
香織とメッセのIDを交換してから僕の生活に変化があった。
カオリン:おやすみ。りゅーくん。今日は話せてとても嬉しかった。
これからもよろしくね♪
りゅー1:おやすみ。カオリン
カオリン:おはよう。りゅーくん。今日はちょっと寝坊しちゃったよ。りゅーくんは大丈夫だった?
寝坊はしてないが・・・特に伝える事でもない。
既読スルーした。
カオリン:こんにちは。そろそろお昼だね? 私、今後りゅーくんにお弁当作りたいんだけどいいかな?
りゅー1:いらない。というか学校では話さないからお弁当は受け取れない
カオリン:返事ありがとう! もっと返事して欲しいな♪
カオリン:今日も一緒に駅まで帰れるかな? 帰れるなら校門でずっとまってるよ!
アイドルの出待ちかっ・・・。
「あ、りゅーくん待ってたよ。返事くれないからちょっと不安だった!」
「昨日も駅までは一緒に帰ったしな。特に問題ないよ」
「んふふ。前よりもちょっと距離が近くなったかな?
もっと私に構ってもいいんだよ?」
「というか、龍二にはあんまり構って貰えてなかったのか?」
「りゅーくんはね。この時間からこの時間だけ連絡しろ。とか学校では話しかけるな。とかそんな感じ。
でも、言われた時間に連絡するといつも構ってくれてたよ。デートも結構してたし」
「ふーん。デートね。どんな所に行ったの?」
「本屋さんに行く事が多かったなぁ。あと漫画喫茶とか」
「本屋か、どんな本を読んでるの?」
「最近はライトノベルを読んでて、ラブコメが面白いなと感じてるね」
「なんか最近のラブコメってちょっと、エッチだったりフェチ要素が多かったりするよなぁ。
僕は少し前の名作の方が好きだ『タイガー&ドラゴン』とか」
「あれもいいよね。りゅーくんに教えてもらって小説とアニメ両方みたんだけど。
アニメ版のヒロインが、初期の頃から
ドラゴン君にちょっと気がある感じに表現されていて違和感感じちゃったよ。
トラ子ちゃんはその時はまだ、ドラゴン君の事を好きになってないよ!
って思わずツッコミをしちゃった」
「たしかにあれは違和感あったね。
でも、1クールのアニメだししょうがないのかな。と思ったよ。
ヒロインが主人公にデレないまま終わるラブコメってありえないだろ。ってw」
と言う感じでカオリンは昔の作品も読んでいて趣味があうようだった。
その辺りは龍二が教えてたらしい、マメなやつだ。
「最近の作品だと何が好きなの?」
「『母親の再婚相手の息子が元彼だった』って作品、ああ言う距離感っていいよね!
高校生なのに結婚前から一緒に居られるなんって幸せだろうな。って」
「実際、元彼と同居になったら気まずし心の休まる時がないだろうけどね・・・ちょっと考えたくないな」
「私の場合は、りゅーくんが、相手の男の子だったら隠すつもりないけどね! だって別れてないし!今彼だし!」
「あぁ、、、所で、カオリンの彼氏の本名は?」
「?? 龍二くんだよ」
「・・・わかったよ。カオリン」
そう・・・
趣味の話が合って、可愛くて美人な彼女は
今も、弟の彼女なんだ。
だから、彼女は僕の事を見ていない。