初めての学校
どうやら、住処の近くにある『大学』……に行くみたいだ。
ほっんとうに、家の近くだ。
『私立桜葉谷大学』が、通う大学……か。
海沿いに面している学校だ。海風が心地よい。
大きな門を潜り抜け、敷地内に入るが……
「さて、どうすりゃあ良いってんだ?」
暫く右往左往していると
「あれ、どうかしましたか?」
と、同い年ぐらいの男性に声を掛けられた。
「ここに勉強?をしに来たんだが、どうすれば良いか分からなくて。」
「ああ、今日転入生が来るって話を聞いたな。……僕が案内しますよ。」
こりゃあ有難い。
招くようにジェスチャーされ、そのあとを着いていく。
正面玄関を抜け、階段を上がる。
二階の角にある部屋を、その人がノックする。
「青谷夏梅です。転入生の件で……」
「ああ、入りなさい。」
中に入ると、そこに一人の男性が座っていた。
「夏梅君、案内ありがとう。もう教科室へ向かってください。……君が、確か松橋遼太君だったかな。そこに座りなさい。」
案内してくれた人が、教務課の部屋を出た。
俺は、目の前の椅子へ座る。
「改めて、桜葉谷大学へようこそ。私は、教務課所属の谷原と言います。あいにく、学園長は今日は居なくてね……また後で挨拶すると良い。」
▪▪▪
一通りの生活を聞いた。
どうやら、『文芸学部』という学科でやるみたいだ。
単位とか大変そうだが、やるしかない。
「……それと君の学年だが、さっき案内した夏梅君と一緒の学年だ。」
成る程、それで『転入生が来ると聞いた』と言っていたのか。
文学部の教科室へ、谷原先生と向かった。
中に入ると、結構な受講生が居る。その一人は、さっき案内してくれた青年が居た。
「勝間先生、例の転入生です。……あとはよろしくお願いします。」
「分かりましたわ。」
どうやら、この女性が担当の先生みたいだ。
「……では皆さんに、改めて紹介しますわ。転入生の松橋遼太君です。」
皆は頷いた。
「それと、わたくしはこの学年を担当致します、勝間さおりと申します。よろしくお願いしますね。」
「はい。」
「じゃあ、席は……青谷くんの隣かしらね。」
青年……夏梅が、手を振った。
席に座る。
「よろしくね、遼太君。」
「……ああ、よろしくな。」
▪▪▪
お昼になった。
勉強時間が思ったより長くて戸惑ったし、大変だと感じた。
日本の人達、こんなこと毎日しているのか……。
「遼太君、お昼ご飯食べに行こうよ。」
夏梅が誘う。
「……ああ、いいよ。」
そういや、転生してから初めての食事だな。
『食堂』と呼ばれる場所へ向かった。
「………?」
あれ、どうやって食事をするんだ?
周りを見ると、みんなは機械みたいなのに触れている。
それをまじまじと見る。
らーめん?かれー?ていしょく?
色んな名前があるなぁ。
とりあえず「らーめん」と言う食べ物を食べてみよう。
ポケットから『お金』を取り出して、買う。
それをカウンターの人に渡して少し待つと、受け取った人がお盆を持ってきた。
「35番の方、ラーメンになります。」
……スープの中に、細長い何かがある。
緑色の輪っかのものとか色々入ってる。
夏梅が手を振っている。
溢さず、ゆっくりと持っていき、席へ座る。
「いただきます。」
一口食べてみた。
「………っ!?これ、すげぇ旨い。」
今まで食べたことのない味だ。
前世では、生肉をそのまま焼いたのを食べていたから、新鮮。
……あっという間に食べた。
みんな、こんな贅沢なもん食べてるんだなぁ。
「遼太君、午後も頑張ろう。」
「おう。」