幸運の魔族再び
某魔族が高校生として転生した頃。
また、違う魔族が転生の危機に陥った……
▪▪▪
「………え?解雇?」
シャラーガは、上司のミブェンにそう聞く。
「もう一度言えってかぁ!?もう用はねぇって事だ。後輩達が育ったしな!」
開いた口が塞がらない。
縄張りに数十年。一筋で活躍してたのに、たった一言で辞めさせるのかよ。
「ほらほら、荷物纏めて出ていけ!」
乱暴だよ!
……と思いつつも、荷物を纏めて拠点を出た。
「さて、どうしたらいいってんだ。」
住むあてなんてねぇよ。
暫くは狩りでもしながら、野宿かなぁ。
……ん?後ろから聞こえる音は馬車?
「ちょっと!兄さん危な……」
「えっ……」
後ろを振り向いた瞬間、俺は馬の下敷きになった。
身体中が物凄い痛い。
血が見える………
し、死んじゃうの?俺……
▪▪▪
『聞こえますかぁー!?』
……あれ?俺、死んだのか……
目を開けると、女神が居た。
「ここは、天国か……」
『あほぉ!そんなヤラシイ顔で見るんじゃないわ!……ここは天国では無いぞ。』
「……すいません。」
……じゃー何だってんだ?
『貴方は、幸運に恵まれた人です!』
幸運?何だそりゃ。死んだと思ったのに。
天国か地獄にと思っていたが……
「で、俺はどうなるんだ?」
『転生して貰いまーす!』
「………は?」
『女神会議にて、貴方を第二の人生の人として転生させます。これはもう決まりなのぉー。』
そうか、俺もまだ誰も見放して無かったのか……
『それではっ!転生開始っ!』
目の前が暗くなった。
▪▪▪
(転生しゅーりょー。第二の人生楽しんでねっ)
目を開けた。
部屋の片隅に居るみてぇだ。
身体の様子が違うことに気が付く。
目の前に、鏡があったので見てみると……
「………な、なんじゃこりゃあ!」
顔立ちとか、全然違うじゃん!
……これ、確かうちの前世では『人間族』と呼ばれていた種族そっくりだ。
部屋の机に、紙があるのに気が付く。
「どれどれ……『貴方には、松橋遼太 (まつはしりょうた) と言う名前の大学生として、日本で過ごしてね。女神のめっちゃんより。』」
全然知らない土地での生活が、これより始まった……んだろうか?