死神に選ばれた1
1人ポツンと取り残された青年は状況が飲み込めずにいた。
自分が何故「こんな所」に居るのか今の状況が解らずにいた。
今長話をした如何にも「死神」です。って感じの奴は説明通りの「変わり者」の死神なんだろう。
肝心な部分の説明も無くこんな何も無い空間に置いてけぼりになっても仕方がないと思うのだけどな?
と独り言を呟いたが、当たり前のように返事はない。
分かる事といえば「自分は死んだ」と言う事と「名前」だけだ。
死んだ事は理解が出来るが、「何故」「どの様に」「死」んだのかは何一つ思い出せない。
思い出そうとしても頭に霞が掛かった様な状態で何一つ「それ」は、何も解らない
自分は「罪」を犯したのかそれとも「自死」を選んだのかさえも分からず恐怖を感じた。
自問自答をどれくらいの時間繰り返したのかもわからない。
時間の感覚、自分が天井を向いているのか地面を向いているのはたまた寝転がっているのかさえも分からない。
何も考えなければすむのかも知れないが何も見えない自分が眼を開けてるのか閉じているのかさえ「解らない」のだ。
初めは自分の「声」が聴こえていたのだが、それさえも解らない。
只々何も無い「空間」に自分が「ある」と言う認識だけだ。
「居る」では無く「ある」その恐怖は、味合わなければ理解出来ないだろう。
1時間?それとも一週間?いやそれとも100年この「空間」に居るような感覚だ。
お腹は減る、喉も乾く、でも何も無い。
それに眠れない。
地獄の様な苦しみを時間が分からない何も無い空間で上も下も何の感覚も感じない場所でどれだけの時間を過ごせば自分の「罪」は許されるのだろうか?
「ごめんなさい…」「許して下さい…」この言葉をどれだけの時間繰り返したのかさえも分からない。
頭が狂いそうだが狂えない。
地獄とは、まさにこう言う事なんだとおもいしらされた。
どれ位の時間がたったのだろう?
一筋の光が視える、いや感じる。
その光の方に歩いているのか?
それとも引き寄せられているのかわからないが、だんだんと光が強くなりいきなり「扉」が現れた。
あぁ…「自分」は救われた、「罪」が現れたんだ。
これから「天国」に上がれるのだと、思っていた。
不意に扉が少し開き中からド派手「ギャル」達が覗いていた。
1人のギャルが「は〜いちゅうも〜く」と声をかけてきた。
あんたに言ってんだけど?っとムスッとした感じで声をかけられた。
返事もデキねぇの?っと他のギャルが言うと、その他大勢から口々に「ヤバっ」や「ありえねぇ〜」等四方八方から言葉が飛び交ってきた。
たまらず「す、スミマセン」と咄嗟に謝ってしまった。
「はあ〜ぁ」とワザとらしく大きな溜め息が聞こえる。
「メンド〜くさいけど〜決まりなんで〜簡単に説明しま〜す」っと気怠げに1番ケバケバしい子が説明を始めた。
「貴方は死にました〜でも〜罪深い行いを〜〜したので〜あなたは〜」っと気怠げに説明をしていると不意に「バシッ」と頭を叩かれた。
「アン、初めての説明はきちんとする約束でしょ?」
と黒髪の艶やかな凛とした美女が立っていた。
「だって〜」っと「アン」と呼ばれた子がバツが悪そうに答えるが「決まりは、決まりそれが出来ないといつまでも終わらないわよ?」と美女が釘を刺す。
まだ何か言いたげだが、咳払いを1つし「では気を取り直し、貴方は死にました。」
「しかし罪深い行いを犯したので貴方は輪廻の輪からは外れ罪を精算しなければなりません。」
と先程とは違い真面目な口調で説明が始まった。
「すみません、先ほど粗方の説明をきいたのですが?」と自分が言うと、そこにいた全員が「??」と頭にハテナが見えそうな程顔を見合わせて首を傾げていた。
「死神に選ばれたんですよね?」と告げると全員がコチラを向き「何でそれを?」と口々に告げた。
「誰からその話をお聞きになりましたか?」と黒髪美女に聞かれた。
「えーっと顔はわからないのですが、あたかも(死神)です。って感じの人です。」と告げると皆驚いた表情を見せた。
「失礼ですが、他にどの様な事を告げられましたか?」と聞かれたのであらかた聞いた話をし「宝くじ」に当たるような物だと告げられた事を伝えた。
そしてその「人物」が話を終わると急に居なくなり何も感じない部屋に閉じ込められ何日にも数時間だった様な不思議な体験をし光が見え扉があり開けたら此処に来た事を告げた。
皆口々に「え?何それ?」「そんなの知らない」と不安な話を始めた。