昼下がりの酒場
僕はいつも居眠りをする。
僕の大好きなこの酒場は木のいい匂いが漂っていて、ドスドスという木の上を歩く音や店の奥の天井からかけられたテレビからの音が混じった音は居眠りには最適なBGMになっている。
そして、12時を知らせる鐘の音がなる頃にいつものメンバーが集まり始める。
最初に来たのは、リュウトだった。
このパーティーの魔法剣士でリーダーを務める。
リュウト「マスター!オレンジジュースと照り焼きバーガーお願いします!よぉーし起こすかぁ。」
マスター「まだ寝かせて上げてもいいんじゃない?今日の朝から店の手伝いしてくれてたから、疲れてると思うよ?」
リュウト「それもそうですね。みんなが来たら起こしますよ。」
そして、カランカランッと音が聞こえたかと思うとミランダが入ってきた。
ミランダ「おつかれ~!あっ、マスター、いつものでおねがーい。」
リュウト「お?おつかれ。まだシュータ起きてないから静かに。」
ミランダ「おけ。」
マスター「よぉし、もうみんな揃うだろうから、料理してくね。」
ミランダ&リュウヤ「お願いします。」
2人の料理が完成する頃になってリンとキョウが到着した。
キョウ「おつかれー。マスター、俺とリンはいつもので頼む。」
リン「おはようございます。ちょっと寝坊しちゃって、時間ギリギリになっちゃいました。」
キョウとリンは兄弟で、その性格は対象的。
静かな巨人と言われるタンクのキョウと華奢で控えめな性格の風魔法使いのリン。
ちなみに、ミランダは一件何も考えてなさそうだが誰よりも脳の回転がはやい。職業はモンクでギャップの塊である。
リュウト「おっし、全員揃ったしシュータを起こすかぁ。シュータ、起きてー。みんな揃ったよー。」
シュータ「ファ~。みんなおはよ~。みんな来るの早かったね~。」
シュータが起きた。病気で体が弱ってるのもあるが、何より寝起きであるからなのか、のそのそと起き上がった。
一同「おはよー。」
マスター「丁度、料理もできたよ~!ほい、みんな配って~。」
シュータ「やった~!ご飯だ~!」
ご飯だと知ってご機嫌なシュータ。パーティーの頭脳とは思えない位の天然少年。
シュータは車椅子に乗っていて、料理を運ぶことなんてできず、他の一同が料理を並べた。
リュウト「じゃあ、みんなコップ持ってー!せーのっ、カンパーイ!」
キョウ「では、早速なんだけど、探索について。昨日言ってた通りダンジョンの深くまで潜ることになるんだけど、多分2日間は潜るから装備とか整えないといけない。だから、食べ終わったらギルドタワーに買い物行くんだけど、来る人いる?」
ミランダ「私行く~!ファイバークローを取りに行かないとだし。」
レイ「私はシュータとここで待ってます。何かあった時に私がいれば風魔法でどうにかできるから。」
リュウト「じゃあ、俺も買い物ついてこうかな。」
シュータ「僕の車椅子のカスタマイズパーツ忘れないでね!あれがあれば、魔力が車椅子に干渉しやすくなるから。」
キョウ「これで決定。今言っておきたいのはこれくらい。」
そして、他愛のない会話をしながらいつも通りの昼食をとる。最初に食べ終わったキョウは酒場の庭に出て、大剣を振り回し始めた。
そして、次いでリュウヤが年季の入ったボロボロの奥義書を読みながらミルクティーを飲んでいた。
ミランダ「お洒落な構図にそんな渋い本が紛れこんでるよ?イケメンな顔と構図が台無しだから、この前私のあげたカバーつけなって!」
リュウト「うん。」
ミランダは、閑静な返しに困ったような唸り声をあげる。だが、その割には、楽しそうな表情を浮かべている。
シュータ「ご馳走様でした~!」
ミランダ「そろそろ行こうかな~。キョウ、行くから準備して~。」
その声を聞いたリュウトは本をしまい、お皿を片付けた。
キョウ「準備できた。」
ミランダ「行ってきま~す!」
シュータ「いってらっしゃ~い!」
リン「あっ、待って。これがパーティーで買って欲しいやつのリストだから、パーティーのお金からお願いね。」
ミランダ「了解!」
そう言って3人はギルドタワーへ向かった。