侍女たちの噂話
会話文のみですが、女のお喋りです。
「最近本当に忙しくて、やっと休憩よぉ。」
「おつかれさまぁ。貴方使節団の王女と公爵令嬢付きだもんねぇ。」
「もー、アデリーナ様ったら毎日殿下をお茶に招きたいとかおっしゃるんだもん!あ、アデリーナ様っていうのは公爵令嬢ね。王女殿下を引っ張り出して毎日毎日ジルベスター殿下を呼び出すんだもの!準備が大変よ。」
「気を遣うわよね〜。」
「そうそう。お菓子とかも毎日同じものってわけにはいかないし、場所の確保とセッティングもあるし。着替えやメイクも毎日何度もやり直すし。ジルベスター殿下を招く前なんて本当注文が細かくて。」
「貴族としてはそんなものじゃない?」
「そうかもしれないけど、本当に注文が多いのよ。ただでさえ人手が少ないのに、化粧にばっかり時間取られたら他のことができないじゃない!」
「まぁ、ツェツィーリア様なんてほとんどお化粧なさらずにあのお顔だしね…」
「ツェツィーリア様は別格よ…ごてごて化粧したら逆にお顔を損なうわ…」
「ジルベスター殿下が惚れ込むのもわかるわぁ。しかもツェツィーリア様、侍女のことも気を遣ってくださるしね。」
「そうそう、ジルベスター殿下といえば、とうとうあの腕輪、お渡しになったそうよ!」
「まぁ!あの不思議な宝石の入ったやつでしょ?!ずーっと殿下が悩んでらした!」
「それよ!私たちがあれこれ協力したやつ。王太后陛下もノリノリで、何パターンも候補が出てきて散々悩んだのよ。」
「瞳の色が溶け合ったような宝石なんて素敵よねぇ…」
「本当、ジルベスター殿下の愛だわ…素敵…」
「貴方本当にツェツィーリア様ファンねえ。」
「だって次の人生あのお顔で!って神様に祈りたいくらい好きなお顔なんだもの!あんな綺麗な二重!鼻はすっと小さくて左右対象なんて羨ましすぎる!!」
「そ、そう…」
「ここだけの話、イェーガー様とローザ様が殺伐としすぎて、ツェツィーリア様とジルベスター殿下を見てるとなんか癒されるというかほっこりするというか…」
「それはわかるわ…」
「なんかお芝居でも見てるみたいだものね。」
「美男美女だし〜!」
「アデリーナ様が障害の立ち位置?!」
「全然障害になってないわよ。けど、毎日呼び出されてるジルベスター殿下がそろそろ限界よ…政務を中断しなくちゃいけないんだもの…」
「私、アデリーナ様をみてると、あの方を思い出してしまって…」
「あの方?」
「イェーガー様の寵愛を受けていた…」
「ああ、貴方昨年学園を卒業したのだったわね。」
「歓迎の夜会であの方を思い出した貴族の方々も多いと思います。なんだか雰囲気がとても似ていて…」
「そうね。わかるわ。ジルベスター殿下がなびいていないのが救いだけど。」
「殿下なら大丈夫でしょ。あの溺愛に割り込む隙がないもの。」
「でも、アデリーナ様、最近とある高貴な方から頂いたっていう首飾りをしてるんです。それがジルベスター殿下を思わせる色合いで…」
「どうせ自作自演じゃない?」
「ちょっと」
「だって、ジルベスター殿下はあの腕輪を作るのにあの騒ぎよ?」
「確かに…」
「しかも溶け合う色とか…お揃いとか…」
「アデリーナ様は匂わせて他の貴族を取り込みたいんでしょう。」
「「「無理ね」」」
「貴方たち!いつまで休憩しているのですか!」
「申し訳ございません、侍女長さま!」




