表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/46

セシリアの小さな疑問

短くてすみません。今日はセシリアの頭の中です。

わたくしことセシリア・ロブウェルがリンダブルグにやって来て一月が経った


輿入れして来た時は春だった気持ちのいい風が、いつの間にか熱を帯びて来ている。



わたくしの母国よりも南にあるから、年間を通して温暖で、雪が降ることなど滅多に無いそうだ。






ここの生活は余りにも快適で、こんなに楽をしてしまっていいのかしらと思う時がある。



王妃教育と言っても、オーラリアにいる時に王太子妃教育を終えていた(知らないうちに)ので、基本的には詳しい国の歴史やリンダブルグの貴族の歴史が授業の内容となる。マナーもオーラリアとほとんど変わらない為、自由な時間がかなりあるのだ。


王太后陛下も、とても親切にしてくださり、何かと心砕いてくださっていて、こちらが申し訳なくなってしまう。



体を動かすことが好きなので、本当は必要ないのだが、時々ダンスの授業も入れてもらっているし、国の教育や公衆衛生について興味があったので、王妃教育を越えて深く学べるように新たな講師をお願いした。





来週にはわたくしのお披露目の夜会があるので、それが終わると本格的に社交が始まり、忙しくなるでしょう。



そんなことを考えながら、オーラリアの家族へと手紙を書き終わり、一息ついたところで侍女がコーヒーを持ってやってきた。




このコーヒーにしても、リンダブルグが栽培に適した環境で国内で生産しているのは知っていた。しかし、コーヒーを飲む文化はないと聞いていたのに、ここに来てさも当たり前のようにコーヒーが給仕されたことに最初は驚いた。



聞けば、ハーブティーに関しても、専門家を養成し、様々な効能について研究する者たちがいるそうだ。オーラリアではどちらかというと嗜好品という面が強調されていたが、ジルベスター殿下は少し前からハーブの効能に着目しており、薬とまでは行かなくても、効果を研究して国民の健康意識の向上に役立てたいと考えているそうだ。



おかげでオーラリアにいた時と変わらずに飲み物を楽しむことができている。














とってもよくしていただいているのはわかってる。


殿下にも丁寧に扱ってもらっているけれど、私についてどう考えているのか、いまいちわからない。側室は置かないといっていたので、妾や恋人を持つ時くらいは相談してくれるだろうか。


思っていた政略結婚と何か違う気がする。


ただ、こうやって気を遣われているうちはお客様扱いなのだという気持ちが拭えない。





オーラリアから連れて来た、気心の知れた侍女につい漏らしてしまった。



















ジルベスターからの昼食の誘いを伺いに来たイェルクが、たまたまドア越しに聞こえた会話を盗み聞きするような形で聞いてしまい、踵を返してジルベスターの元へ走ることを私は知らない。





「殿下!ツェツィーリア様に何一つ伝わってませんけど?!」




そう叫んだイェルクの言葉に、執務室内に激震が走ったことも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ