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プロローグ

 気が付けば、俺は見知らない場所に立っている。

 見渡す限りにはただ広々と白い空間だけ。

 右、左、上、下、後ろ、全てただ真っ白だけ。

 そこではたと気づいた、目の前に見知らぬご老人がちゃぶ台の前に座っているながらお茶をすする。


 俺は無言でちゃぶ台のところえ足を動かし、そしてその爺さんの前で座る。

 そしていきなり俺の目の前にお茶が現れた。

 それをすする俺。


 何も会話をしない、ただお茶を楽しんでいる俺達。

 そして、徐に目の前の爺さんが話しだした。


「お主、随分と図太い神経を持っておるのう」


「まあな、それが俺の取り柄の一つだ」


「ふむ、そうか」


「そうだ」


 と、それだけ話した後、またお茶をすする俺達。

 数分、何も話しをしないでいた俺を、目の前の爺さんがようやく話しを吹っかけた。


「お主、自分がここに来た理由を知っておるのかの?」


「いや、最後の記憶は俺が自分の部屋に寝ただけだ」


「それで良くもまあ、あんなに自然と儂の前に座るながら茶をすするのう」


「だめなのか?」


「いや、だめでわないが、まあよい」


 といって、ため息を吐く爺さん。


 いや、もし歓迎されてないならそもそも茶を出さないだろ?

 と考える俺に、また爺さんに話しかけた。


「お主がここにいた理由を話そう」


「頼む」


「うむ、じゃがその前に、お主に詫びをするねばなるまい」


 といって、頭を下げる爺さん。

 詫び、ねえ。

 この爺さん、俺に何をした?


「すまなかった」


「………とりあえず、理由を聞こう。何故爺さんが俺に誤った? 爺さんは俺に何をした?」


「そうじゃな、簡単に言うと、儂はお主を殺した」


「………難しいのを頼む」


「儂が少し地球の様子を見てな、もう終わろおかと思って他の世界の様子を見にいくつもりじゃが、少しミスっちゃってな」


「そのミスっていうのは?」


「うむ、一人で転移するつもりじゃが、地球にいったいくつの魂を一緒に転移させてしもうた。それで急遽それを戻すが、お主だけが間に合わなかった」


「それで俺が死んだと?」


「うむ、そうじゃ」


 …………。

 この爺さん、謝る気はあるのかないのか、判断ができない。

 でもまあ、それは置いておくとして。

 先ずは聞きたいことがある。


「爺さん、誰?」


「儂はか「神なのか?」み。……うむ、そうじゃ」


「そうか」


 といって、黙っていた。

 数分、何も言葉を話せす俺。

 そして、徐にため息を吐くながらまたお茶をすする。


「怒っておらぬのか?」


「もし爺さんが言っていたことが本当だったら、怒っても何も変わらないだろ? もう死んでいるし」


「本当であったぞい、ほれ、お主の葬式じゃ」


 そういって、爺さんが手を振ると、俺の目の前に画面が現れた。

 画面の中には誰かの葬式が開いている。よく見ると、祭壇の前に俺の顔写真が置いている。

 その前には俺の母と妹が抱き合いながら泣き出していた。

 そばには父が母の背中をさすながら慰めている。


「そうか、俺は死んだのか」


「うむ、そうじゃ」


 そう言って、またお茶をすすろをと思っていたが、お茶がもなくなった。

 無言で爺さんの目の前に茶碗を置いていた。

 瞬間、茶碗にまたお茶がはいっていた。

 それをまたすする俺。


 そしてまた数分、今度は俺から爺さんに話しかけた。


「それで、俺はこれからどうする? 輪廻転生の輪に入っていたのか?」


「うむ、それが普通じゃが、今回は儂のせいでお主が死んでしもうたからのう。もし、死者が輪廻転生の輪に入っていったら、その死者の魂にいた記憶、感情、経験等々を全てを消される」


「そりゃそうだろ、もしそうしないならば、とっくに人々が自分が転生した人と囂々する」


「うむ、そうじゃ。でも今回はお主に詫びもかねて、お主をこのまま転生させよう」


「つまり、記憶を持っていたまま転生すると?」


「うむ、そうじゃ」


 これはあれか、ラノベによく聞く異世界転生の物のあれか?

 いや、まだ異世界に転生というのはきまっていない。

 また地球に転生させるかもしれないし。


「で、どうじゃ、儂の詫びを受けるのかの?」


「……ああ、一応、受けたい方針で行くつもりだが、転生先は選べるのか?」


「出来るぞい、お主はどこで転生したいのじゃ?」


「ファンタジーで頼む」


 即答だった。

 いやだって、ほら、憧れるじゃん、異世界ファンタジーの物語とか。


「うむ、そうか、ならいい世界がおるが、それでいいのかの?」


「どんな世界だ?」


 いちようどんな世界くらい知ってほしい。


「ありていに言えば、魔法のある世界で、技術はあまり進んでおらぬが、それを魔法で補える。後、魔物という存在もおる。ちとばかし危険じゃが、まあ、お主が言ったファンタジーというのはそう言うものじゃろう?」


「ああ、そうだな。じゃあ、それで頼む」


「うむ、そうか。ならば早速、転生の儀をはじめよう」


 爺さんがそう言うと、徐に立ち上がる。

 俺も続いて、立ち上がっていた。


「そのままそこに突っ立っておれ、儂が準備をする」


「了解」


 と言って、待つ数分。

 そして、いきなり俺の下に魔法陣らしきものが現れた。


「お主にはそこそこいい身分の家に生まれさせると、一つのスキルを与えよう」


「スキル?」


「うむ、その世界、というより全世界にはスキルがおる、じゃが、スキルの確認は世界それぞれ、という感じじゃな。でじゃ、お主が転生した予定の世界にはステータスという存在がおる。で、その世界のスキルの確認方法はステータスというわけじゃ。で、スキルはというと、自分の技術じゃな」


「ゲームの様な物か?」


「うむ、そうじゃ」


 成る程、便利そうでいいな、それ。


「で、どんなスキルを俺に与えた?」


「それはお主が決めればよい、儂がお主に与えたのはスキル創造というスキルじゃ。むろん、一回使用じゃがな」


 ふむ、成る程、なら後でじっくりと考えよう。


「そうか、わかった」


「うむ、それじゃ、そろそろ儀式をはじめるぞい」


「ああ、まった」


「ん? なんじゃ、まだ聞きたいことがあるかの?」


「ああ、爺さんの名前だ」


「ああ、そういえばまだ名乗らなかったのう、儂はオーディンじゃ、よろしくじゃ」


「オーディンの爺さんか。俺は荒谷誠也(あらや せいや)だ、こちらもよろしく。って言っても、もうこの名前で名乗れないけどな、もう死んだし」


「ふぉふぉ、そうじゃの、その説はすまなかったとしかいえんのう」


「ああ、詫びはすでに貰った最中だしな」


「うむ、そうじゃな、それじゃ、儀式を始めるぞい」


「ああ、わかった」


 そう言うと、オーディンの爺さんが俺に手を向けた。

 瞬間、俺の下にいた魔法陣が光りだしていた。

 そろそろかなと思って目を閉じると、急に何かに思い出した。

 慌てて爺さんに呼び込む俺。


「あ、あと、爺さん」


「ん? なんじゃ?」


「一様、礼の言葉くらいさせておく。転生させてくれてありがとう」


 と言って、頭を下げた。

 まあ、死んだ原因は爺さんだけどな。


「うむ、そうか。礼は受け取った、じゃ、これで最後じゃ、お主に良い新しい人生を進むよう、祈っておく」


「ああ、ありがとう」


 と言って、今度こそ目を閉じた。

 と、そこで、爺さんがいきなり声を上げた。


「あ」


「なんだ? どうした、爺さん?」


 そう聞くも、爺さんが何も返事しない。

 爺さんの目も泳いでいる。

 ……嫌な予感が。

 

「爺さん、何をした?」


「う、ううむ、取りあえず、さらばじゃ!」


「待て、じじい、お前、何をやらか…………」


 した。と言い終えた前に俺の意識が途絶えた。




オーディン視点。


 ううむ、またやってしもうた。

 これじゃ、詫びが台無しになるじゃろうて。


「はあ、まあ、スキル創造の回数を増やせばいいじゃろう」


 そういって、儂はあ奴のスキルを増やす。


「あと、一応、運値も少し増やそう、()()()()()()()()()にかわるのはちときついからのう」


 数分後。


「ふう、終わった。しかし、変な若者じゃのう」


 そう言いながら、儂は先ほどあ奴がいた場所をおもむろにみた。


「.........。ふむ、あ奴の人生、少し興味が湧いたわい、後で少し覗いてみよう」


 そう言いながら、儂は転移の準備をする。

 今度はミスらないように慎重にゆこう。


「ふぉふぉ、新しいみせものができたわい。楽しみじゃのう」


 そう言いながら、儂は他の世界に転移した。

 無論、二度目の過ちは犯さんがの。

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