建物の探索
逃げ込んだ建物の探索・・・暗がりで足下に注意しないと、大きな音が鳴っちゃうよ。
それだけは避けないと、ゾンビが寄って来ちゃう。
「足下、気を付けてくださいね」
「はい」
私達はその暗い道をゆっくりと進んだ。
そんな時、金属音が聞えた。
「あ、鉄パイプだ」
「これは良いね、取っておこう」
久美ちゃんは足下に落ちていた鉄パイプを拾おうと、腰を曲げた。
その時だった、近くの扉から手が出てきて、久美ちゃんを掴んだ!
「な!」
「久美ちゃん!」
私は急いで久美ちゃんが拾おうとしていた鉄パイプを拾った。
「久美ちゃんを離せ!」
そして、その鉄パイプで久美ちゃんを掴んでいった手を思いっきり叩いた。
すると、まるで骨が折れるような、そんな音が聞え、久美ちゃんを掴んでいた手は離れた。
「あ、ありがとう!」
「あぁ・・・」
扉が開き、その中からゾンビがゆっくりと出てきた。
やっぱりあの手はゾンビの手だったんだ。
でも、ゾンビの腕は私が思いっきり叩いたときに折れているから、垂れ下がっている。
この状態なら、ゾンビは左手を使えない。
「わ、私が!」
「晴!」
私はこのゾンビなら倒せる、そう思って、鉄パイプを握りしめ、ゾンビに近寄った。
「てりゃぁ!」
「あぁ・・・」
私は全力で攻撃したけど、頭には当らないで、ゾンビの右肩に当った。
そして、ゾンビは右肩も垂れ、両腕とも使えない状態になった。
だけど、それでもゾンビはゆっくりと私達の方に近寄ってくる。
「うぅ・・・両腕とも使えなくなってるのに、近寄ってくるなんて・・・」
私はその状態のゾンビを見て、少し怖じ気づき、1歩後方に下がった。
「怖じ気づくなら、攻撃しないで良いよ! 私が全部倒す!」
「久美ちゃん!」
久美ちゃんは私が持っていた鉄パイプを取り、ゾンビの頭を思いっきり殴った。
そして、ゾンビはゆっくりと、その場に倒れた。
「よし! さぁ、急ごう!」
「う、うん」
結局、私は久美ちゃんの足を引っ張っただけだったのかな・・・
やっぱり、私にはゾンビを倒すことが出来ないのかも知れない・・・
守られてばかりなのは、何だか・・・私も役に立ちたい。
「これだけ離れたら、後はゆっくりと周囲を確認しながら進みましょう」
「そうですね」
さっきのゾンビから少し逃げた場所で、私達はゆっくりと歩き出した。
周囲にゾンビがいてもおかしくないし、警戒しながら進むんだろう。
私も、しっかりと周りを見て、ゾンビがいたら言わないと。
「ゾンビはいませんね」
「はい」
「あ、扉がありますよ」
その扉はまるで非常口の扉のようだった。
だとしたら、この道が非常口から逃げるときの道。
だったら、この先はこの建物の中心になるんだろうか・・・だったら、ゾンビがいるかも。
でも、周りの扉の先は行き止まりだったし、食べ物も何もなかった。
「どうします? この先に進みましょうか?」
「他の扉は多分行き止まりだし、この先に進しか無いと思う」
「そうですね・・・では、合図をしたら、開けますよ」
「はい」
私達は先生の合図を待った、そして、先生が深呼吸をした、そろそろ合図が来る。
「行きます」
先生はそう言うと、ゆっくりと扉を開けた。
その先はかなり沢山のゾンビ達がうろうろしている・・・
こ、これは、もしも見つかったら・・・囲まれちゃうかも・・・
「ゆっくり進みます、音を立ててはいけませんよ?」
「はい」
私達はゾンビに存在をバレないように、ゆっくりと進んでいった。
ゾンビは私達に気が付いてない、やっぱりゾンビ達は音で周りを認知するんだ。
そうして、ゆっくり、ゆっくりと進んでいると、近くでガラスを踏む音が聞えた。
「あ、ヤバ!」
「あぁ!」
「しまった!」
久美ちゃんが足下にあったガラスに気が付かず、音を立ててしまった!
ゾンビ達が集まってくる! こ、このままだと捕まる!
「う! 走って!」
先生がそう言うと同時に、私達は同じ方向に一斉に走り始めた。
と、とにかく、あの奥の方の扉に!
「先生! 速く!」
「は、走るのはしんどいですね!」
先生がある程度まで近寄ったのを確認して、私達は扉を開けた。
「あぁ!」
「うそ!?」
しかし、その扉の先にまでゾンビが3体も!
こ、このままだったら・・・全員!
「でりゃぁ! 邪魔すんな!」
久美ちゃんが目の前に現われたゾンビに攻撃を仕掛けた。
その一撃で一体のゾンビは倒したけど、2体のゾンビに素早く対応が出来た無い!
この道は狭いから鉄パイプをあまり振れないんだ!
「もう少し広かったら!」
「あぁ!」
「久美ちゃん!」
私は久美ちゃんの横を通って、ゾンビにキックをした。
キックなんて初めてしたから、それで私はバランスを崩した。
「わぁ!」
「晴! 何で! く!」
「あぁ・・・」
倒れた私に覆い被さってきた。
「うわぁ! 止めて!」
私は必死にそのゾンビに噛まれないように、そのゾンビの頭を押さえた。
でも、ゾンビの力だし、私の力なんてまるで意味ない・・・そう思ったけど
意外な事に、私とゾンビの力は結構互角だった、だけど、それでもゾンビの方が強い。
ゾンビはゆっくりと私に顔を近付けてくる!
「晴から離れろ! この死体!」
久美ちゃんがゾンビを殴った。
この状態で真上から叩くだと私に血が掛かるだろうけど、久美ちゃんは斜めにゾンビを殴った。
そのせいで、その1回でゾンビを倒すことは出来なかったけど、その後の追撃で
久美ちゃんはゾンビを倒した。
「晴! 速く立って!」
「う、うん」
「あぁ・・・」
さっき私が結果ゾンビもゆっくりと立ち上がってきた。
後ろの方のゾンビの群れももうかなり近い・・・急がないと!
「道を開けろ!」
目の前のゾンビを久美ちゃんが倒して、私達はその通路に逃げることに成功した。
「先生! 速く扉閉めて!」
「分かってます!」
「あぁ・・・!」
「く、つ、強い・・・」
先生が急いで扉を閉めようとしたけど、ゾンビ達の抵抗もあって、中々閉めることが出来ない!
「先生! 私も!」
そして、私達は皆で協力して、その扉を無理矢理閉めようとした。
だけど、ゾンビの手が扉に挟まって、閉まらない!
「だぁ! 面倒くさい! 私が何とかする!」
久美ちゃんが鉄パイプで扉に挟まった手を何度も何度も殴打して、その結果、やっと扉を閉めれた!
「急いでバリケード!」
「はい!」
そして、素早く周囲の重たい物を集め、何とかバリケードを作る事に成功した。
あ、あとちょっとで中に侵入されるところだった・・・
「はぁ、はぁ、な、何とかなった・・・」
「ゾッとしましたね、これは」
「ごめんなさい、私がガラスに気が付かなかったばっかりに・・・」
「良いですよ、それよりも速くこの先に向かいましょう」
「はい、ありがとうございます」
私達は反対側の通路を探すことになった。
ここに、食べ物があれば良いけど・・・