ゾンビから逃げろ!
ゾンビに噛まれたのに、皆は私と同じ車に乗っている・・・
何でだろう・・・拘束はしているけど、この状態ならまだ動くことは出来る。
なのに、久美ちゃんは、私に寄りかかって眠ってる・・・
もしも、私がゾンビになったら噛まれちゃうのに・・・
「久美ちゃん、起きてよ、私から離れた方が良いって」
だけど、久美ちゃんは起きそうに無い、怖くないのかな?
「久美ちゃん!」
「・・・起こさないでよ」
「起きてよ、こんな近くに居たら、私がゾンビになった時に噛まれちゃうよ?」
「大丈夫だって・・・もう30分もそのままだし」
車で移動し始めて、もう30分も経つんだ・・・だけど、私はゾンビになる気配はない。
むしろ、若干調子が良いくらいだ・・・おかしい、どうなってるんだろう?
「でも、私の発症が遅いだけって言う可能性もあるよ?」
「その時が来たら・・・うん、覚悟はしている」
久美ちゃんは悲しそうな表情をして、座った。
その時に、私はチラッと前を見てみた、そこには沢山のゾンビの群れが歩いていた。
「先生!」
「こんなに!」
先生は素早くブレーキをして、その道を何とか曲がることに成功した。
あ、あんな中に突っ込んだら、車が壊れてたかもしれない・・・
「はぁ、はぁ、うわ!」
「きゃぁ!」
でも、曲がった方向にも沢山のゾンビがいた。
先生はそのゾンビ達を何とか避けながら、車を進めていった。
だけど、数が多い、何体かのゾンビを轢いて、その度に強い衝撃が車を襲った。
「こ、こんな場所で止まらないでよね!」
「先生! 前が見えないですよ!」
「分かってます!」
先生がそう言い、ワイパーでその窓を拭き、すぐ目の前には壊れた車が止まっていた!
「うわぁ!」
「く! 何かに捕まってくださいね!」
「ひゃわぁ!」
先生は、さっきと同じ様にブレーキを素早く踏み、ハンドルを素早く切った。
その時に、もの凄い勢いで引っ張られた。
ただ、その甲斐あって、先生の車は目の前の車を回避し、何とか事故を回避した。
「はぁ、はぁ」
「せ、先生! 早く走らせないと!」
「分かってますけど、無茶させすぎたようで、車が走らないんですよ!」
「そんな! ゾンビの群れが迫ってるのに!」
「仕方ありません! この車を捨てます!」
「え!?」
「急いで近くの建物の中に逃げましょう!」
先生の指示通りに動くしか無い、だけど、私は今は拘束されてる状態だから、動けない。
「晴! 待ってて!」
「久美ちゃん・・・私は良いから、速く逃げてよ!」
「あなたを見捨てるわけ無いでしょ!」
「久美さん! ハサミがあります! それで速く晴さんの拘束を切って下さい!」
「先生まで!?」
「私はあの建物の中に何もいないことを確認しに行きます!」
「はい!」
桃ちゃんは車から出て、隣の建物の扉を開け、中を確認したようだ。
その結果、建物の中にはゾンビはいないようだった。
「よし! 晴の拘束を取れた!」
「急いで!」
「でも!」
「良いから! 私達を心配するなら、さっさと動く!」
「わ、分かったよ」
私は久美ちゃんと先生に引っ張られて、車から出て、建物の中に入っていった。
何とか中に入ったは良いけど、中は真っ暗。
「暗いですね」
「懐中電灯があります、これでいいでしょう」
「いつの間に用意したんですか?」
「車に1つあったんですよ、準備をしていてよかったです」
「そうですか」
そして、先生は懐中電灯を点け、私達はその光を頼りに、この建物を探すことにした。
でも、その前にバリケードを作っておかないと。
「まずは急いでバリケードを作らないと行けませんね」
「そうですね」
そして、私達は全員で協力して、何とかバリケードを完成させた。
その間、何度か扉を叩かれたけど、開けることは出来なかったみたいだ。
この扉が押すじゃ無くて、引くでよかったよ。
「よし、これで良いですね、それでは、この建物を探してみましょう」
「はい」
そして、私達はこのくらい建物の中を探索することにした。
暗いし、足下に注意しながら探さないと、転けちゃうよね・・・うん。
「それにしても、ここはなんなんでしょうね」
「さぁ? 私もこっちには普段来ませんから、この建物がどんな場所なのかは分かりません」
「そうなんですか、じゃあ、何があるかも分からないんですね」
「そうなりますね、まぁ、警戒しながら進みましょう」
「はい」
場所が分からなくても、ここは人が住んでいた場所だし、大丈夫だよね。
迷わないように注意しながら、色んな場所を探していこうかな。
それにしても、もう1時間くらいは経つのに、私の体に変化はない。
どうしてか分からないけど・・・もしかしたら、私を噛んだゾンビは入れ歯だったとか?
うん、そうかも知れない、と言うか、そういうことにしよう。
でも、もしも体に違和感を感じたら、すぐに皆に言わないとね。
皆を襲いたくないし・・・さて、後ろ向きなことばかり考えいないで、今はこの建物を探索しようか。