第98話『文字魔法は難しい様です』
ちょっと余計な事をしてたら間に合いませんでした。
って言うか、実際文才が全く無いから苦労してますが、内容や文字数的にはそれなりに書ける作者さんなら『小一時間で出来るやろ』って程度の文章だと思いますけどね。
紅葉ちゃんの予想外な行動の結果、別に文字魔法は魔方陣を使わず文字だけでも使用出来る事が判明した。
しかし、レンの方を見ると大して驚きも無く普通に観察を続けていた。
結構簡単に試す所までは行きそうな方法なだけに、別に未知の方法では無いらしい。
一応魔方陣と言う枠に囲わず、文字単体で使う方法を幾つか試してみた。
単純に【光】と一文字で使用。
結果。
普通に円で囲うのと大きな差は無いらしく、普通に光属性っぽい魔力弾になった。
代わりに魔方陣の方は魔力を流し込み続けたら文字魔法を維持出来ていたが、文字単体の場合は一度限りらしく使用後に維持する間もなく消失した。
次は【射出】と描いて試してみた。
結果。
威力が低くなってる気がする。
もう一度試してみた際に、若干魔力弾を通す位置を変えてみると、威力が目に見えて下がった上に魔力弾が通った【出】だけ消え【射】が消えずに残った。
恐らく文字魔法を単体で描くと、文字の効果範囲が狭まる様だ。
一度目は丁度文字の中央で二つの文字に接する形で通過した為に、両方の効果が適応したらしい。
試しに上下左右に文字を配置せず、前後にして描いて魔力弾が2つの文字連続して通過する様に使った際は、魔方陣を使用した時と同等の効果の魔力弾になった。
更に文字の角度を変えると、魔力弾の軌道が変化した。
まぁ、これは試しに魔方陣で角度を変えた際も同じ様に軌道が変わったので、そんなに意味は無さそうだ。
魔力弾単体でもある程度軌道は変えられるので、透明らしい無属性や暗闇の中で闇属性を使うんでも無い限り、結構目立つ文字魔法に寄る軌道変化には、そんなに使い道は無いだろう。
さて、紅葉ちゃんのおかげで多少は応用の幅は広がったものの、文字魔法を使った魔法の案がなかなか思い付かない。
他のメンバーを見る限り、文字の単体使用で普通に文字魔法で強化した矢を放つだけの紅葉ちゃん。
剣に使って斬撃を飛ばしたり、火を纏わせて火炎斬りみたいな事をしている楓ちゃん。
特に思い付かないのか、魔力弾に土属性を付加し石塊の様になった魔力弾を飛ばしている桜。
文字を足場に宙を駆ける菊次郎爺さん。
って! 菊次郎爺さんが空を走っとるっ!?。
いや、よく見ると単純に【床】と描いた文字魔法を足場にしてるだけの様だ。
何をしているのか分かれば、そんなに難しい事をしてる訳じゃ無い。
ただ、一歩で十メートル以上は進んでるっぽいのは、どう考えても異常と言えるけど。
菊次郎爺さんを除けば、みんなコレと言って特殊な事は何も出来ていない様だ。
文字魔法に関して現時点で分かっている事は。
魔力で文字を描く事により字が意味する効果を対象に付加させられる(字の持つ意味の強さは上限を上げるだけで、効果の高さは込めた魔力次第っぽい)。
文字の周りを枠で囲み魔方陣にする事で、長い単語や複数の単語を1つの対象に付加させられ、更には使用後も魔力を絶えず送り込む事で魔方陣を維持して連続使用するが可能。
文字魔法は字を枠で囲わずとも使用可能(ただし使い捨てで、1度に複数の字を対象に付加する事は難しい)。
あっ、ついでに言うと菊次郎爺さんのやってた使い方から考えるともう一つ。
特定の単語であれば対象に効果を付加する以外にも、文字魔法自体に効果が現れる場合もある、と言った感じかな?。
ちなみに、定番のレールガンみたいなのは既に試した上、余り意味が無かったりする。
電気や磁力を使う関係上、変換に魔力を消費し尚且つ期待した効果を出すには魔力が思った以上に必要な、魔力消費が激しい魔法になってしまうのである。
多分、魔力量が同じなら最初に使った圧縮魔力弾の方が、威力も弾速も高い。
恐らく圧縮魔力弾がゴブリンの時に使ったビーム的な状態になる程度には消費量多いし。
あのソーラービームの様な圧縮魔力弾は光速に届くかは不明だが、確実に音速は超えている筈だと考えると、レールガンは消費魔力量が同じであれば余り必要性が無いだろう。
レンは菊次郎爺さんが使っている文字魔法による足場で空中を駆ける、と言う使い方に僅かな興味は抱いた様だが、未だに期待に満ちた目をこちらに向けてくる。
ぷ……プレッシャーが……その期待が俺には重い……。
コレならどうだっ!。
単体使用で【加速】と合間を狭く描いた物を大量に、ジェットコースターの様に角度を付けて等間隔に並べぐるりと一周させ、文字魔法を近い範囲で数多く使用する事による多重付加を狙った文字魔法の列に魔力弾を撃ち放った。
文字魔法の列を進む度に魔力弾は速度を上げ、攻撃目標である的は着弾したと同時に消し飛び、土砂を巻き上げながら隕石が落下した様なクレーターが出来上がった。
まさか、あんなんで的を消し飛ばすだけに収まらず、クレーターが出来るとは思わんかった。