第90話『魔力が少ない奴に向いた方法と言えば……』
動物実験しかしていないミーシャの習得方法に若干不安はあったものの、レンが『……失敗しても……菊次郎がいるから……命の危険は無い……』と不安は拭い切れなさそうな助言により、不安はあるものの桜が既に済ませたと言う微妙な罪悪感と一応命の危険は無いと言うお墨付きから、全員がミーシャによる習得法を体験した。
特にアクシデントも無く全員が無事ミーシャ式の属性魔法習得法を済ませた。
属性魔法を扱うのに必要なのは感覚的な部分であり、大半が手子摺る中でまたもや菊次郎爺さんは一歩先を行った。
『少々違うが、水気を扱う感覚に似とるな』と言う感想を口にした後に、手の平から水の塊を飛ばしてみせていた。
もう習得したらしい。
しかし、水を扱うイメージが思い浮かばないらしく、その後は珍しく四苦八苦していた。
「で、次は確か俺達が教える番な訳だけど、何を教えればいいんだ? 何をやればいいのか全く見当も付かないんだが」
一緒に依頼に行く以外に、俺達の練習方法がどうとか言ってた筈だけど、何を教えればいいのか全然分からない。
いや、魔法主体なミーシャの事を考えれば俺以外がやってる練習方法は余り役に立たないのは分かるんだけどさ。
「……老師が……感心してたの……やればいい……」
俺が悩んでいると、首を傾げレンがそう言ってきた。
あ~っと…………何があったっけ?。
魔力弾を複数浮かべてコントロールを鍛える練習とか? 多分魔力が多く無いと本当に制御向上にしか役に立たないよな。
魔力を操って纏ったり各部に集めり、逆に抑えたりとか? 恐らく魔法主体だと今一っぽそうだよな。
そう言えば、ミーシャの魔力ってどの位あるんだ?。
【魔力値・二百】
おぅ……見ようとした部分だけ見れた事に驚く前に、想像以上に微妙な量で目が点になったわ。
いや基準が分からないから、実際少ないのか判断出来ないけど。
一応魔法職で上から数えた方が早そうな立ち位置とは言え、同じ世界出身としてレンのも見れば少しは参考になるか?。
【魔力値・千四百】
あっ、全然参考にならんわ。
むしろミーシャの魔力量のショボさが強調されるだけにしかならん。
魔装具で増幅される前の段階でも割と魔力ある方の俺達がしてる練習しても、あんまり意味が無さそうな気も……。
流石にそれだけじゃちょっと申し訳ない気持ちで一杯になるし、何か無いか~……。
あ……他人の魔力を操れる位なら、外気と内気やオドとマナ的な部分を教えたらどうだろうか。
俺は出来ないけど、魔力が少ないミーシャが使えれば便利だし、概念的にありそうで無い物っぽい気がする。
「最初に教えるのは、発想はあるけど俺達にはまだまだ出来なさそ…………いや、菊次郎爺さんなら出来そうだけど、大気に満ちた魔力を扱うって発想の方法からいこうか」
「む? 儂も流石に仙道には至っておらんから、外気は使えぬぞ?」
あぁ、外気を取り込む=仙人って感じな訳ね、確かに最初は普通の爺さんっぽかったしな。
気は生命力っぽいから、外気なんか取り込んでたら多少は歳不相応に若々しい姿になってそうだよな。
「なんなのよ、その外気だとか大気に満ちた魔力とかってのは?」
その後、ミーシャと興味津々なレンに対して、俺と何故かそのまま話に入って来た菊次郎爺さんで大気に満ちる自然の魔力の説明が長々と開始された。