第89話『ミーシャ式属性魔法習得法』
とちって完成する前に眠ってしまったので、丸1日更新をずらして投稿しました。
次は遅れないように頑張ります。
21日目
昨日はアレから2人に、と言うか主にネオンに連れ回され服屋で着せ替えさせられたりして、休みの筈なのに休まらない1日を過ごした。
今日はミーシャとの約束を果たす為、みんなに伝えて回ったり待ち合わせの時間まで軽く練習したりして、あっと言う間に約束の時間になった。
みんな興味があったのか、いつもの桜、楓ちゃん、紅葉ちゃんだけで無く菊次郎爺さんまで一緒に行く事になった。
ギュンターも見学したそうではあったが、流石に自分は時間を取れなかった様でギュンターが魔法師目線で見れる人材、と言う理由でレンが同行する事になった。
「あっ……ちゃんと桜も来てくれ……オホン、遅かったわね、何か知らない顔も居るみたいだけど、アタシがアンタ等に属性魔法を教えるミーシャよ、感謝しなさいよねっ!」
ミーシャがこちらに気付いた瞬間は目を輝かせ嬉しそうにしていたが、すぐに顔を背けて強がる様な態度を取り始めた。
昨日の様子を思い出すと、若干優しい気持ちで見れる気がする。
「儂は菊次郎じゃ、今日はお嬢さんから教わる立場じゃから、遠慮等はせず呼び捨てで構わんぞ」
「……レン……老師が貴女の手法に興味があるから来た……」
菊次郎爺さんは深々と頭を下げ挨拶をし、レンは名前と用件を言うと興味津々な様子でミーシャを見ている。
「な、何かやり難いわね……兎に角こんな所じゃなんだし、場所移動するわよ、校舎裏で良いでしょ?」
ミーシャは戸惑っている様子を見せながら、背中を向けて校内に入って行った。
って言うか、校舎裏なのか……1人飯の様子が思い浮かんで何とも言えない気持ちになるんだが……。
「じゃあ始めるわよ、誰からやるの? 1人ずつしか出来ないわよ?」
校舎裏に到着すると、早速ミーシャが声を掛けてきた。
誰からと言われたが、特に考えて無いので他の4人に目を向けると。
「なら、アタシからお願いしようかしら?」
桜が誰よりも先に手を上げた。
何でこう言う所は無駄に男らしいんだろうか、おネエなのに。
「え!? いきなり桜だなんて……オホン、まずは桜からね、ちょっと後ろ向いて」
ミーシャは桜に後ろを向かせて背後から抱き付いた。
「こ、これがやり易いからやってるだけで、別にあたしがこうしたいからやたてるんじゃ無いからね!」
顔を赤く染めつつ、言い聞かせる様に周囲に向けて言葉を漏らしながら、桜の体に手を回した。
「って言うか、アンタは何してんのよっ!」
「……老師の為に記録……口頭だけでは説明し切れない……」
水晶の様な物を手に、周囲に魔方陣的な物を展開していたレンに声を荒らげるミーシャと、それにレンは淡々と答える。
録画用の何からしいが、それを聞いてミーシャは更に顔を赤く染めている。
まぁ、今の姿を映像に残されると聞けば分からないでも無い。
「っ~!? もうっ! 早く済ませるわよっ!!」
それから、ミーシャは桜と小さな声でやり取りをしながら、桜の手の平に小さな石塊が浮かび上がった。
「これが桜の属性魔法を扱う感覚よ、コレを自分でやれる様に練習すれば桜にも属性魔法が使える様になる筈よ」
「不思議な感覚ね……魔力を出す前にあんな風にする必要があるのね」
ミーシャが桜から離れると、桜は手の平をじっと見つめ、再度やろうとしたのか、その手の平からは魔力の玉が浮かび砂粒が僅かに舞っている。
「流石にすぐに出来そうには無いわね、あんなにしっかりした物はまだ出せそうに無いわ」
「これがあたし流の属性魔法の習得法よ! コレをやれば誰でも短い時間で覚えられるんだからっ!」
ミーシャがこちらに体を向けて自信満々な表情を浮かべて、胸を張ってきた。
「確かに思ったより凄かった……他者の体内の魔力に干渉して外から他者の魔力を動かす……そう簡単に出来る事じゃない……今まで自分の魔力を動かす事はしても他者の魔力を動かすなんて考えても見なかった……その発想は無かった……」
かなり無口な方だったレンが、かなり饒舌に喋り始めた。
それだけ凄いと感じたらしい、その勢いに若干ミーシャが怯んでる様に見える。
「と、当然でしょっ!? 試す相手が居なくて今まで動物相手に散々試して磨いて来た取って置きなんだからっ!!」
レンに向けてミーシャが胸を張って自慢げに語るが、いや、それ動物実験しかしてなかったって事じゃ……。
って言うか、そんな自信満々にボッチを自白してる様な物じゃなかろうか。