第85話『三度目の休日』
20日目
昨日はあれからやる気が削がれる事しか無かった。
余りに常人離れした動きをするので、何となく気になって魔力を纏う事に関して聞いてみたら。
楓ちゃんや紅葉ちゃんは意識して使ってないだけで、魔装具を通して常時使用してたらしい。
楓ちゃんは変化が無かったけど、紅葉ちゃんは足の速さが少し下がったり遠くの物が若干見え難くなった様だ。
何で微妙な違いが出たのか確認してみると、楓ちゃんは元々全身を魔力で覆っていたが、紅葉ちゃんは部分的に覆う状態になっていた。
全身に纏うと満遍なく強化されるが、部分的に覆う形で一部に集中するとより強く強化されるらしい。
結果的に楓ちゃんは脚部のみに集中する事で、今まで以上の速度を発揮した…………発揮して制御しきれずド派手に転倒してた。
流石に目は強化されてない状態では、自分の速度に追い付かず慣れない内は足が着地するタイミングさえ分からないらしい。
兎に角、魔法少……魔法使いだからって俺だけ魔力で強化すると言う方法を使えて無かっただけの様で、しかも他のメンバーより強化比率が低いらしい。
だって、全部足に集中させても楓ちゃんや紅葉ちゃんの速度には遠く及ばない程度しか出せそうに無いし。
結局やる気が削がれたので、その後は魔力を目に集中させて楓ちゃんや紅葉ちゃんの練習を見て速さに慣れる事だけをやって終わった。
途中で『アレ? これ頑張れば目からビームとかやれるんじゃね?』と思って、目に魔力を集中するついでに魔力弾作ってみようとしたけど、作る途中で目が痛くなってきたので無理だと思って止めた。
さぁ、もう昨日の事はもう置いといて休日だ。
前に約束したミーシャとの魔法練習をする為に、他のメンバーも誘って……といきたい所だが、実際約束はしたものの日時をキッチリ決めた訳でも無く、場所も決めていないので見つかるかどうかさえ若干運頼りになるので、流石に誘うのは自重した。
別に休日以外でも許可を取れば街に出てもいいらしいし、やろうと思えば休日じゃなくても出来るんだから、急がなくてもいいよな。
まず最初にギルドに到着、ちなみに俺1人である。
桜は前回の事もあり服を見に行ったらしい、別に街から出る気は無いし単独行動でも問題無いよな。
朝早くから来た為かギルドの中は勿論だが通行人も含めて外まで結構人の数が多い、大柄で殆ど裸と言う超絶目立つギルは居ない事は分かるが、そんなに背も高く無くついでにそこまで目立つ程派手な見た目じゃ無いミーシャは居るのかどうかハッキリとは分からない。
ちょっと失敗した気がする、って言うか前はここまで多く無かった気が……あ、侵略者戦のせいかね?。
ガヤガヤと賑わってる感じの中彷徨う事一時間程、通行人はそこまで減ってないがギルドに出入りする人集りは減ってきた。
人口密度はギルドの中の方が少なそうなので、とりあえず討伐系の受付がある方に入ってみた。
……ギルドの中は人が疎らにしか残っていないが、ミーシャは見当たらない……暇潰しに依頼でも見てみるか。
Cランク以下は数枚しか残ってない上に、それ以上のランクも数はかなり減っていて、残っているのは大半が遠い場所での依頼ばかりだ。
ちなみに一番上のランクは丸々残ったままなんだが、誰かやる奴いるんだろうか?。
大した依頼は残って無いし、中で待ってても来ないかもしれない。
外に出ると人通りが多いので、ギルドの入口でしばらく待ってみる事にした。
「あら~? 君は確か~、ギルちゃんと一緒に居た子じゃな~い」
メンドイのとエンカウントした。
「あの時の少年か、こんな所で何をしているんだ?」
もう1人居た、ぶっちゃけ見た目は痴女コンビと遭遇するとか、運が悪い様なある意味運がいい様な……微妙だ。